前回に引き続き、ご紹介(自分自身の記録?)したいのは、『科学的に正しい筋トレ』庵野拓将 著という本です。「科学的」とあるように、この書籍に紹介されている内容は実験によって確かめられ、現在では正しいとされている情報です(ただし、筋トレに関する研究は近年盛んになったばかりであって、今後この情報が覆る可能性もおおいにあると、著者も認識していらっしゃいます)。

本書の大部分は、筋トレに関する有益な情報を支える実験内容で占めていますが、今回の記事では筋トレに関する有益な情報を先に示し、実験内容については簡単にご紹介させて頂きます(ご興味ある方は、書籍を手に取っていただくか、本書の元になったブログ(リハビリMEMO)を御覧ください)。

筋肥大の効果を最大化させる「運動スピード」

  • 筋肥大の効果を最大化させる「運動スピード」は「8秒以内」
    + 筋力を強くしたいのなら「6秒以内」

ダンベルを手に握って腕を引き伸ばしするトレーニングをアームカールと言いますが、このトレーニングは二つの筋肉の収縮様式から成り立っています。即ち、

・ダンベルを引き寄せる動作(ポジティブ動作)
・ダンベルを持つ腕を伸ばす動作(ネガティブ動作)

この二つです。筋肥大には、この二つの動作を8秒以内に行うことが推奨されています。この情報を支える根拠がマクマスー大学のシェプストーンらの実験の報告でした。

実験内容は割愛しますが、以前、紹介した「サイズの原理」が関係しています(一つの運動神経が少ない筋線維とつながっている一つのユニットを「小さな運動単位」と言い、一つの運動神経が多くの筋線維とつながっている一つのユニットを「大きな運動単位」と言います。筋肉は分解と合成を繰り返しており、合成を促進させるためには、「大きな運動単位」を筋トレに動員させ、合成を促進させる物質を分泌させる必要があります)。

上のカッコ内に記した様に、筋肉の合成を促進させるためには、「大きな運動単位」の筋肉を動員させる必要があり、その条件が8秒以内なのです。

また、筋肥大ではなく筋力を増加させる為には6秒以内にポジティブ動作・ネガティブ動作を行う必要があります。この事を実験をもって示したのが、シドニー大学のデイヴィースらでした(2017年)。

ポジティブ動作・ネガティブ動作について

  • 筋肉を伸ばす動作(ネガティブ動作)は意識しなくてもいい

アームカールにおいては、ダンベルを持った手を伸ばす動作がネガティブ動作であり、スクワットにおいては、足を曲げる(腰を落とす)動作がネガティブ動作にあたります。

特に正解がない「セット間の休憩」の様に(セット間の休憩時間を短時間派は、短時間にすることによって成長ホルモンの分泌が促進されると言うが、そもそも筋肥大に成長ホルモンは関係しないことが判明している)、科学的な実験のうえで言うなれば、ネガディブ動作を意識する必要は特にないけれども、ネガティブ動作を意識すべしという従来の常識に対するアンチテーゼとしてこの項目が設定されています。

なぜ「ネガティブ動作」が推奨された?

実は、ネガティブ動作(筋肉にブレーキをかける動作)はポジティブ動作よりも大きな重量に耐えることができます(ネガティブ動作には自在に伸縮するバネのようなスプリング能力を持つチチンといういタンパク質が関連していますが、詳しくは本書か著者のブログを御覧ください)。

そして、2009年、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学のロイグらは8つの研究報告をもとにメタアナリシスを行い、「ネガティブトレーニングはポジティブトレーニングよりも筋肥大の効果が高い」と結論づけられました。この報告が筋トレの新たな「常識」として根づいていったのです。

ところが、その後、多くの研究者がこれに疑いの声をあげました。その理由は、ロイグらがメタアナリシスの際に扱った8つの研究報告の中で、精度の高い筋肉量の計測方法が用いられたのは3つだけだったからです。

そして、この3つの研究結果に対象を絞り、あらためて詳細な解析を行ったところ、ネガティブトレーニングで筋肥大のやや高い効果が示されたものの、双方のトレーニング効果には有意な差はありませんでした。

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