設計を進めるとき、検討中のメモを残す設計者は多いです。
設計検討メモは下記の利点があり、単なる一時置きのメモではなく、それなりの可読性がある方が良いです。
●設計検討メモの利点
- 検討状況の整理により、意思決定の補助になる
- 検討難易度と日程が明確になり、各検討内容を優先付けできる
- アイデアを可視化し、新たな発想に繋げられる
- 何故いまの形状になったのか、人への説明が容易になる
そんな設計検討メモ、どういった形でやるのが良いのか迷い、これまで色々試してきました。具体的にはOne noteやメモアプリ、markdownからのhtml変換ですね。
どれも一長一短あり、最初は熱心にメモを書いていたのですが、時の流れとともに起動回数が減っていきました。気がつけば、タイトルに有るように「エクセル・パワポ・紙」が僕の中の定番として落ち着いていました。
設計検討メモへの要求事項
- 優先度や期限でソートできるTodo・課題点リスト
- 開発スケジュール、部品出図期限を確認できること
- 公差を計算できること
- CAD図にコメントつけて保存できること
- ポンチ絵が描けること
以上が、ざっくりメカ検討のメモに必要な機能です。
エクセルで出来ること
- 優先度や期限でソートできるTodo・課題点リスト
- 開発スケジュール、部品出図期限を確認できること
- 公差を計算できること
- CAD図にコメントつけて保存できること
エクセルだけで、要求事項の半分が埋まってしまいました。 エクセルは有能です。
ソーティング能力も高ければ、条件付き書式で期限間近の案件をハイライトさせたり、終わった案件をグレーアウトさせたり、やはり便利です。スケジュールやTodo管理はスマホアプリ含めいろいろと試しましたが、エクセルが最も便利でした。PCに向かって仕事してる最中にスマホ触ると、集中が途切れちゃいますしね。
表計算ソフトなので計算も得意です。設計的に厳しい断面の絵を貼り付けて、登場人物の寸法と公差を入れていけば、累積公差(二乗和平方根)と積上公差が明らかに。これでCADで描くべき絵が明確になるわけです。バネ力とか、梁のたわみなんかも計算式を書いておけば、後は数値を入れて検討するだけでよく、関数電卓が完全にいらない子になります。繰り返しになりますが、 エクセルは有能です。
パワポで出来ること
- CAD図にコメントつけて保存できること
- ポンチ絵(簡易図)が描けること
図の貼り付けやコメントはエクセルでもできます。パワポが優秀なのは、1ページ1検討にまとめられるので、後から自分や他人が見てわかりやすいメモに出来ることですね。エクセルよりも図形やテキストボックスの編集もしやすいです。
また、丸や四角などの簡単な図形を組み合わせることで、ちょっとしたポンチ絵も描けます。
設計業務とは、一番詰まっている箇所を明確化し、そこを詰める方法を検討するものです。そのためには詳細な絵よりも単純化された図形の方が理解に優しかったりします。図形と寸法をもとに、あといくつの寸法を捻出すればいいかを明らかにする。そうすれば、必要な寸法を捻出するための構造検討に移れます。
紙で出来ること
- ポンチ絵(創造図)が描けること
紙、ノートは絵を自由に描けることが最大の強みです。
構造検討みたいに色々なアイデアを出す段階でCAD絵を描くと、とにかく時間が吸われます。それよりも、紙に簡単なポンチ絵を描きつつ、どんな構造が取れるのか、どの部品同士を絡ませれば良いのかを紙面に描くほうが短時間で多くのアウトプットを生めます。
絵があると他の人との情報共有も楽ですし、そこから新しいネタが生まれることがあります。持ち運びも楽だし、起動作業なしに誰でも使える気軽さも良いです。
電子の世界が充実している昨今ですが、はるか昔に発明された紙とペンというテクノロジーは今でも偉大です。
まとめ
設計検討メモでエクセル・パワポ・紙を分業して使うのがやりやすいよ、との話をしました。
まとめてみると下記の通りですかね。
- 日程・数字を扱うものはエクセル
- 状況を整理するにはパワポ
- アイデア出しは紙
これらが現状のベストプラクティスです。
しかし、忙しくなってくるとメモが荒くなったり、メモ書きをサボったりして後で二重検討みたいな手戻りになることもあり、完璧ではないとは思います。
もっと容易に、短時間でわかりやすいメモを残すツールなどご存知でしたら、教えていただきたいですね。