東京・福生の銘蔵「石川酒造」が醸す、夏にキリリと味わえる日本酒

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多満自慢 純米吟醸 夏の生酒

石川酒造/東京都・福生

 

北広島市で毎年開催されている「北の酒まつりinきたひろしま」が今年も7月13日・14日に開催されるという事で、早めにチケットを購入しよう&ついでに夏酒を購入する為に、サッポロファクトリーの目の前にある「地酒とワイン 蔵太郎」に訪問。近所にこのレベルの酒屋さんが多くあるので、有りがたいです。

 

今回目を付けたのは、多満自慢の夏酒。

嫁さんが多摩出身という事もあって東京都のお酒には何かと嗅覚が働くみたいです。大都会東京とはいえ、最近話題になった東京港醸造なんてのもあり、澤乃井や屋守、嘉泉といった銘酒も多く人気があります。多満自慢も肩を並べる程人気のある蔵の1つですね。こちらの石川酒造は1863年創業と歴史も深く、明治時代には既にビール醸造も行っており、現在も「多摩の恵」という地ビールも生産しています。

 

 

 

 

 

そして、今回の多満自慢・・・

普通のお酒とは違います。

 

その秘密は「協会28号酵母」です。

SAKE DIPLOMAのテキストにも載ってる[新しいきょうかい酵母]の項にも載ってる、アレです。

 

 

 

 

ワインの様な味わいで、日本酒がダメという人にも是非飲んで貰いたい!

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特徴は何と言ってもその酸味

 

生酛系の乳酸では無く、これはリンゴ酸が主体となっています。

石川醸造のサイトに商品情報が無かったので、いくつかの酒販サイトを調べてみると・・・

 

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 酸度 4.9 

 

うはっ、コレは変態好み(笑)

自分基準の日本酒における酸度の平均値は0.8~1.8くらい。

 

なぜ、これだけの数値をたたき出すリンゴ酸が含有しているかというのは酵母の仕業。リンゴ酸高生産性多産酵母とされる協会28号酵母を使用しているのが主因です。

 

【きょうかい28号酵母】

1.酸度が高い

2.リンゴ酸量が全有機酸量の80%を占める

3.コハク酸が少ない

4.香気生成は7号と同じ

 

リンゴ酸が主成分であることを特徴とする多酸酒、ブレンド用、増醸酒用、貴醸酒用、長期熟成酒用、低濃度酒用

(日本醸造協会HPより抜粋)


というわけで、有機酸量の大半がリンゴ酸になるという酵母を使用しています。リンゴ酸が多い=リンゴ香が強い、というよりは荒々しい酸っぱさが有る、と考えた方が良いかもしれません。カプロン酸エチルが生み出すリンゴの様な香り(=吟醸香)とは質が少々違います。ワインではリンゴ酸が乳酸菌の働きによって乳酸に変化するMLF(マロラクティック発酵)がありますが、この多満自慢はMLFなんてしていないので、若くてフレッシュなソーヴィニヨン・ブランのワインに似た雰囲気もあります。一度飲んだら忘れられない・・・それが28号酵母の魅力!

 

外観は、透明~僅かなレモンイエローを帯びており、無色とも言えなくない程度で、香りも華やかで、リンゴ、ライム、セルフィーユ、少しだけサワークリームも入っているかな?そして味わいは28号酵母の成せる甘酸っぱいリンゴの風味。ワインとも思えるし、炭酸が無いシードルの雰囲気もある、不思議な日本酒です。強いて言うのであれば、カプ垂れの様な・・・"リンゴ酸垂れ"を感じます。コハク酸生成が少ないという特徴もあるので、旨味よりも甘酸っぱさを感じる正に"夏酒"と呼ぶにふさわしい味わいだと思います。

 

冷酒やロックで飲むのが最適でキリっと冷やして飲むのも良いのですが、このお酒であれば更に最適な飲み方があります。

 

 

 

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サムライ・ロック

 

それは"日本酒カクテル"です。

基本的なレシピは

 

日本酒・・・・・・・・・・45ml

ライムジュース・・・・15ml

お好みでライム(セブン&アイの冷凍ライムを使用)、ミントの葉(自宅ベランダ産)を飾りに

 

特に、この多満自慢に関しては元々のリンゴフレーバーが強烈なので、日本酒を25~30ml程度、ライムは5ml程度≒1tspとして、残りを炭酸水に変更しました。サムライ・ロック・ソーダですね。

アルコール度数も更に抑えられるので、ゴクゴク飲めちゃいます。つまり、危険な飲み物だと(笑)日本酒は飲めない!という若い方に是非味わってほしい・・・コレなら絶対に飲める筈。

 

 

リンゴ酸高生産酵母として、28号と77号の2つの酵母が頒布されていますが、77号酵母に関してはリンゴ酸が6~7割程度となりカプロン産エチルの生成も快活なので77号を利用した酒は市場でも多少は見かける事があります。28号に関しては荒々しい印象もあってかブレンド用であったり熟成向けのお酒以外では中々口にする機会が無かったので、こういう楽しみ方もあるんだな、と改めて勉強させられました。

 

 

 

 

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