タマ・トンガの行動が教えてくれること ~迷惑客への団体の対応が問われる | DaIARY of A MADMAN

DaIARY of A MADMAN

毎日、ROCKを聴きながらプロレスと格闘技のことばかり考えています。

思わぬ出来事の波紋が、じわじわと広がりつつある。

「モラル」あるいは「マナー」とは、個々の判断に委ねるしかないのだろうか。それとも・・・。今回の「出来事」は実は大きな火種を孕んでいるような気がしてならない。


新日本プロレスの真夏の祭典「G1クライマックス 2018」の大阪大会(8/4~5)の2日目に、それは起こった。

公式戦「バッドラック・ファレ vs YOSHI-HASHI」の試合にタマ・トンガが乱入。椅子でYOSHI-HASHIを殴打したことからファレの反則負けが告げられた。

サンフランシスコ大会でケニー・オメガらに反旗を翻し、「我々こそがバレットクラブだ」と主張するファレ、トンガ、タンガ・ロアは「バレットクラブOG(=オリジナル)」を名乗り、結成当初のように乱入や凶器攻撃など反則行為を繰り返している。

G1が始まって以来、OGの試合はそのような展開ばかりだったから、ここまでは「見慣れつつある光景」だった。しかし、タマが突如リングを降り、フェンスを飛び越えると、1人の観客に詰め寄った。

ネット情報では「胸ぐらを掴んだ」と表記されているものが多いが、私が見た画像では、「喉元を掴んでいる」ように感じた。

その後、タマは制止に入った若手に椅子を振り回し、去っていった。
現状、被害?に遭った観客からの声明らしきものは発見できていないし、どこまで力を込めていたのかは分からない。

しかし、さすがにこの行為はTwitter等で様々な意見が出ている。

賛否で言えば、この観客が2日間を通じて大声で野次を飛ばしていた「迷惑な人」だったらしく、「賛」というか「是」の方が大きいように思う。タマ擁護の声と言った方が正確か。

ただ、もちろん「否」「非」の声も少なからずある。

この問題は大変難しいテーマだ。

というのも、新日本プロレスを中心に、世間でプロレス人気が上昇するにつれ、会場での「不快だった話」を目にする機会がどんどん増えてきたからだ。

プロレス観戦を楽しみたくて頑張ってチケットを取ったのに、一部の層によるつまらない野次やネガティブな会話で試合に集中できなかったという話は本当に多い。中には「もう二度と会場には行きたくない」とまで言い出す人もいるくらいだ。とても残念に思う。

今回のケースでも、「被害」に遭った人が、そういう“迷惑客” だったから賛否の声が噴出したのだろう。(別のケースでデスマッチを終えて傷だらけの葛西純の背中を思い切り叩いた客もいたらしい)

本来、「プロとして観客に手を出す」という行為は決して褒められたものではないと思う。「昭和の時代はこんなのは当たり前だった」という意見も多いが、世の中あらゆることが変化している時代に、暴力行為だけが「昔のまま」でいいはずがない。(そういう「昔話」をする人は、「今年の夏の暑さは異常だ」と言う資格が無いと思う。今は今、だ)

ただ、タマはプロだ。

殴ったりしたら論外だが、喉元を掴んだように見えても、本当は力が全く入っていなかったのかもしれない。その場にいたわけでもないので言い切ることはできないが、「野次」に反応してリアクションを取るのもプロとしての技術とも言える。

もちろん、それまでの状況(悪質な野次に周囲が辟易としていた)を鑑み、「折を見て一喝してやろう」と考えていた可能性も否定できない。そうだとしたら、なぜ、そういうことが起きてしまったのか。


ある記事で見たが、メジャーリーグは選手の一挙手一投足を注視し、ピッチャーが投球モーションに入るとシーンとなるそうだ。

一方、私も経験があるが、日本の野球はプロアマを問わず、攻撃側の応援団は選手を観るより、歌を唄ったり、手を振り上げたり、挙句の果ては観客を煽るためにグランドに背を向けてしまっていたりする。

これは、本当に「応援」なのだろうか。

要は、「自分が楽しみたい」だけで、試合などそっちのけ。更に悪いのは、そういう行為を周囲にも強要するのだ。

「立って!」
「唄って!」

もはや、何を観に来たのか分からない。
メジャーのファンはベースボールを楽しみに来ているが、日本の野球ファンは「応援する行為」が楽しくて来ているのだろうか。

それぞれに楽しみ方はあると思う。

そのことを否定するつもりはない。

私はよくLIVEに行くのだが、激しい音楽だからというのもあるが、やはりそこには「娯楽」と共に「強要」の文化があったりする。(立ちたくもないのに、立たざるを得ないとか)

 

しかし、よく海外のミュージシャンは「日本の観客は音楽を聴いてくれるが、欧米はただ騒ぎに来ているだけ」と感想を述べているので、そう悪いものではないのだろう。

 

野球と音楽は日本と欧米で真逆の反応を示しているようだ。

では、プロレスはどうだろう・・・。



今回のタマ・トンガの1件が教えてくれたのは、ファン側だけでなく、やはり主催側の毅然とした態度が必要だということだと思う。

もし、タマが個人的に怒りを覚えて1観客に手を出したというのなら、今の時代では何らかの処罰が必要であろう。

そして、周囲がうんざりするくらいの野次を飛ばしたり、選手に手を出したりするようなファンがいたら「迷惑行為」とみなし、退場を促すしかない。

少し前に新日本プロレスの岡倫之が「迷惑行為を働く客には断乎とした態度を取る。自分は嫌われてもいい」といったことを表明していたが、その心意気は素晴らしい。でも、それを1選手に委ねてしまってはダメだろう。

試合前にアナウンスするだけで「きちんと対応しています」と言うのではなく、団体としてそういう“迷惑客” と向き合って欲しい。

いつの時代も、業界を支えているのは熱心なファン。そういうファンをがっかりさせてしまっては、またいつ冬の時代に逆戻りするか分からない。

新日本プロレスには、今回の1件を真摯に捉えて欲しいと願うばかりだ








プロレス ブログランキングへ