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杉浦由美子「女子校力」

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「女子校っぽいよね」―同性にはすぐにピンとくるらしい。モテることより先に笑いをとりにいく、基本は他人に関心がない、余計なことをつい言ってしまう…一見すると、好き放題。そんな女子校出身者は社会に出て、冷たい視線にさらされる。異性もいる職場での女子どうしの監視。男性上司のメンツがわからない。「世間知らず」。誇りとコンプレックスの狭間で悩む彼女たち。でも空気を読まずに自分を主張できることこそ、新しい時代を生き抜く力では。ここにきて一部で人気が上昇。なぜいま女子校なのか?78名の取材から見えてきた、いまどきの女子校育ちの強さと存在感のヒミツ。
(「BOOK」データベースより)

セーラー服

今日は3月3日、ひなまつり。女の子の日だからって訳じゃないですが、女子に関連して女子校の書籍など。

我が娘が中高一貫の女子校に通って6年。とうとう卒業を迎えるわけですが。

その昔、女子校に通っていた私の経験および、我が娘の姿を見るに。

不安だ…。この先の娘に一抹の不安を感じる…。

何が不安かって?それはね、我が娘が女子校カラーにガッツリ染まりきっていること。

かつてこのブログでは、女子校にまつわる本「女子校ルール」「女子校育ち」をご紹介したことがあります。

上記の2冊とも、初読の感想は同じ。

「これ、ダンナ(娘の父親)にゃー見せらんねなー」

そしてこの本は、果たしてダンナ(娘の父親)に見せられるか否か。

「女子校を取材している」と言えば、「女子校ならではの病んだ部分をあぶりだしてください」とリクエストされることがしばしばあった。しかし、取材の結果わかったのは、「女子校の病んだ部分」というのは、女どうしの確執や嫉妬、いじめ、魑魅魍魎とした人間関係ではなく、「世間のなさ」なのだ。

この本「女子校力」で著者 杉浦由美子さんが言う『世間のなさ』は、おんぶ日傘で箸より重いものを持ったことがないお嬢さんって話じゃありません。

その逆。箸どころかバリ重い机も段ボールも

「どっせーい!」

「うりゃうりゃうりゃ~!」

「どっこーい!」

と、力強く運んでしまう男らしさ。かつ、その男らしさが対外的にどう見られるかをわかっていない『世間のなさ』なのです。

今回取材した女性の多くが「女子校は楽しかった」と語り、「楽園のようだった」「いまでもあのころに戻りたくてたまらなくなる」と語る。だが、それと同時に、「でも、共学に行けばよかった。そうしたら、もっと空気が読めるようになっていたはず」とも嘆く。

過去にご紹介した「女子校ルール」および「女子校育ち」でも同じようなことを言ってましたが、女子校って女子だけの生活ですからね。共学校では男子に「おねが~い♪」と可愛く頼めるものが、頼る相手がいない。

で、自分たちで何でもやっちゃう(と自分たちでは思っている)と「オトコに可愛く頼むスキル」を構築できないままに、未だ日本社会で求められている「オンナは可愛げがあってこそ」な世界に放り込まれてしまうのです。

女子校内部で自分たちが認知している“可愛い”と、今の日本社会で一般的に認識されている“可愛い”と差異があることに、我が娘はいつ気付くのであろう…。

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ああ、ちなみにね。この本で言及している「女子校にはスクールカーストが(少なくとも今は)ない」という箇所を読んで、「そんな筈ないよ!だって私の学校ではスクールカーストがあったもん!」っていう感想を抱く貴女。多分貴女と私は同世代。

確かに1980年代~1990年代初頭の女子校では格差・スクールカーストなるものも存在していたのは事実ですが、少なくともこの本の取材当時(2013年)ではかなり印象が変わっているようです。

その理由は詳しくは書籍をお読み頂きたいのですが、簡単に言っちゃえば女性の社会進出が進んだことによって学校選び・ブランドイメージが変化したってことですね。

これ、1969年生まれで女子校出身者で娘が現在女子校通いの私 さくらとしては、非常に納得できる意見でありました。

このように世間の目がなく、カーストもない閉ざされた女子だけの空間では、みな何をしているのか。
端的にいうと、好き放題をやるようになる。

逆に、私個人的には納得しかねると思った箇所は下記の引用。

日本でもっとも世間がないと言われる女子学院では、生徒は自由にオタク化していく。

日本でもっとも世間がない!!!

あのう…著者の杉浦由美子さんは何かJG(女子学院)に恨みでもあるのでしょうか?私聞いたことないですよそんな話。JGは日本でもっとも世間がないんでしょうか。

でも…まあ…そりゃ…確かに…そう言われれば…そうかもしれないなあ。納得しかねると言いつつも…納得してしまいそうになる…。

前出の女子学院出身者が言う。
「男性の先輩に『女子校出身なら女友だち多いんだろ。俺いま、彼女いないんだよ。だれか紹介してよ』と頼まれることがあります。でも、紹介できるような友だちがいない。ろくな女がいない。みんな変態なんですよ。一流大学出て、オシャレして、一流企業でバリバリ働いていてもどこか変態」

ですがJG出身者の皆さんご安心ください。JGに限らず、どの女子校であっても、どこか変態です。だいじょーぶ!変態はキミだけじゃないよ!

かつ、変態が嫌かって聞かれたら決してそうではないのですよ。いや変態は嫌ですけどね。変態変態と連呼しているこのブログもどうかと思いますけどね。

杉浦由美子さんは女子校出身者について『世間がない』とコキおろしつつ、その『世間のなさ』なればこその女子校&女子校出身者の魅力についても語っています。そもそも杉浦由美子さん自体が女子校出身者。愛すればこそつい自虐に走ってしまう。その事実こそが変態。

—(前略)—卒業して二十年以上たっても縁が切れない友人がいることは、生きていくうえで代えがたい財産だ。
たしかに私も友人たちも、いまだに世間知らずで不器用だ。だが、だからこそ成し遂げられることもあるように思える。
(おわりに より)

この春、我が娘は女子中学校&女子高校を晴れて卒業し。どうやら今のところ、共学の大学に通う予定(未定)になっておりますが。はてどんな生活が待っているんでしょうねえ?

女子校パラダイスを出て、一般社会との差に驚愕するのか。

それとも「どっせーい!」「うりゃうりゃうりゃ~!」「どっこーい!」と、力強く世間の荒波を突破していくのか。

そのどちらになるかは、神様しかわからないヒミツ。

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