はじめての「投資信託」入門

竹川美奈子さんが執筆された『改訂版 一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門』(ダイヤモンド社, 2018.9)を読みました。

本書は、竹川さんのわかりやすい文章と宗誠二郎さんのかわいらしいイラストで、投資信託の基礎を学ぶことができる一冊です。

概要

改訂版 一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門 / 竹川美奈子著.
東京 : ダイヤモンド社, 2018.9. 192p : 19cm.
ISBN: 978-4-478-10639-6


竹川美奈子さんは、ファイナンシャル・ジャーナリストとして活躍されている方です。

投資のすそ野を広げる活動として、「1億人の投信大賞」の選定メンバー、「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)」の幹事をつとめられています。

最近の著作には『税金がタダになる、おトクな 「つみたてNISA」「一般NISA」活用入門』(ダイヤモンド社, 2018.1)、『貯金ゼロ・知識ゼロ・忍耐力ゼロからの とってもやさしいお金のふやし方』(朝日新聞出版, 2017.11)があります。

本書は、2013年に発売された内容に、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の情報を追加した改訂版です。旧版以降、より身近な存在になった投資信託について、基礎から教えてくれる内容になっています。

本書は全6章の構成。第1章から第5章までが投資信託の解説、第6章が購入方法の説明にあてられています。
  • 第1章 そもそも投資信託って何!?
  • 第2章 投資信託の儲けと損はどう決まる?
  • 第3章 投資信託はどのように運用されている?
  • 第4章 投資信託でお金をふやすための「3つの戦略」
  • 第5章 納得できる正しいアクティブ投信の選び方
  • 第6章 投資信託はこうして買いなさい

お金をふやすための3つの戦略

この本では、投資信託でお金をふやすための3つの戦略が解説されています。

3つの戦略とは、「長期」「分散」「低コスト」のこと。

この3点の重要性を示すデータとして

(1)毎月1万円を10年間、世界株式(MSCIワールド)に投資したケース
(2)毎月1万円を20年間、世界株式(MSCIワールド)に投資したケース

上記2つのシミュレーション結果が紹介されています。

どのような結果になるかは、直接確かめていただきたいのですが、両者のグラフは積み立て投資の有用性を示すデータです。

2つのシミュレーション結果から、積み立ての長期分散投資であれば、短期的にはお金が減ることはあっても「負けにくい」運用を目指せることが理解しやすいのではないでしょうか。

投資で大切なのは、続けることです。リーマン・ショックのような下落相場でも投資を継続できるように、覚えておきたいグラフだと感じました。

流行り物投信ではなく、スタンダードナンバーな投信を選ぶ

もう1つ印象に残ったのが、テーマ型投資信託には気をつける、ということです。

長期で資産を形成するためには、音楽でいうところの「スタンダードナンバー」な投資信託を選ぶと良いそうです。

つまり、オーソドックスでバランスがよく、長期的に運用されてきた実績がある投資信託を選ぶということです。

AI(人工知能)、ロボット、オリンピックといった流行で設定されたテーマ型の投資信託は、短期間で飽きられてしまうことが多く、パフォーマンスが冴えないことも多いそうです。

テーマ型投資信託の宣伝文句を読むと、心惹かれることも多いのですが、注意が必要だと感じました。インデックスファンドだと、そのような注目銘柄も含んでいるので、あえてテーマ型投資信託を購入する必要はないかもしれませんね。

本文とは関係ありませんが、イラスト中の流行歌の例えが、絶妙なチョイスです笑

まさに「投資信託の教科書」のような一冊

この本は、タイトルに「一番やさしい! 一番くわしい!」とあるとおり、投資信託の基礎から購入の方法までをやさしく解説した内容になっています。まさに教科書のような一冊です。宗誠二郎さんのかわいらしいクマのイラストが内容の理解を助けてくれます。

この本を読んでいただきたいのは、つみたてNISAやiDeCoで、投資信託をはじめて購入する方です。用語解説や索引が充実しているので、気軽に引ける参考書として活用することができると思います。




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お金をふやすための投資を無理なく続けるための方法を解説した良書です。

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「コツコツ投資家」11人から学ぶお金の本です。