記憶の中の宝探し 限りなき時間遡上

記憶の中の宝探し 限りなき時間遡上

珠玉の思い出を引き出して楽しんじゃおう!

 

哀しい気持ちの時ってね
過去の悲しい記憶がやけに
よみがえってくるのですよ。
 
それは
私が小学校1年生の頃のこと。
 
母の知り合いから
仔猫を一匹いただいたのです。
 
小鈴(こすず)という名前をつけました。
 
仔猫をもらって2ヶ月後、
転居になり
次の居住場所は町工場の
社宅になったのです。
 
社宅の造りはアパート形式で
1階が倉庫で2階に7世帯。
 
我が家は奥から2番目の部屋。
 
仔猫は引っ越しの際、
一時的に親戚へ預け、
落ち着いたところで
我が家へ帰ってきたのでした。
 
そのあくる日のこと、
 
ちょっと目を離したすきに
小鈴は外に出て行ってしまい
急いで追いかけるも
2軒となりの部屋に入って
いってしまい
その部屋の住人が
すごいケンマクで
子猫の尻尾をつかみ上げ
2階から下に放り出してしまったのです。
 
暑い日で玄関のドアが
開けっぱなしに
なっていたのが災いでした。
 
私は急いで小鈴を抱き上げ
人生初めてあの
醜い言葉を大声で発したのでした。
 
このクソババア!
なにしやがんだ~
 
ってね。
 
お陰で小鈴は後ろ足の片方を負傷。
 
その日の晩、
母が、アパートじゃ猫は飼えないから
逃がしに行こうと
買い物カゴに小鈴を入れ
 
外が見えないように
風呂敷をカゴに巻いて
社宅から少し離れた大きな庭のある
お屋敷の庭先へ
垣根の隙間から中へすす~っと
放してやり、

 
私と母はそそくさと社宅へ戻りました。
 
あの時の悲しい気持ちは
今もはっきりと覚えています。
 
次の日
私は学校帰りに
小鈴を逃がした
お屋敷の周辺を探し回りましたが
結局
見当たりませんでした。
 
50年以上が
経過しているにもかかわらず
今日はその小鈴のことを
ふと思い出していました…


 
 
 
 
 




夢でも会いたい

イメージはできているのに…

かたく閉じた唇は
しばらく開くことがなさそうだ






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