【太陽と月】

陽の人は太陽で、
陰の人を月というように、
私たちはしばしば人の性質を
太陽と月に例える事がある。



あなたの周りにも、
太陽のように輝く明るい人や、
月のように照らす穏やかな人が
きっといるだろう。




「女はより優秀な子孫を残すため、
自分とは遠いDNAを匂いで嗅ぎ分ける。
嗅覚でパートナーを選んでいるのよ。」


と、昔聞いた事がある。



だからなのか、

「まるで、
太陽と月みたいに正反対ですね。」

と言われるカップルや夫婦も多い。




我が家もそれに漏れず、
暮らしの中で正反対だなぁ
という事が多分にある。



私は勝手に、
明るく楽観的な自分が太陽で、
冷静で慎重な相方は月だと思っていた。



私の住むジョホールは
空が大きく、高く、広い。




昼間は太陽が、
夜は月が綺麗に見える。



夕陽の射す時刻になると、
ジャングル一帯が紅く染まる。



夕焼が空を包み込んで、
静かに夜の帳が降りる時、

その位置にいつのまにか
月がぽっかり浮かんでいる。




そこで、ハッと気がついた。




「ああ、
太陽と月は一緒には
いられないのだなぁ。」





少し寂しくなった。
雲が月を隠した。





しばらくして、
ひゅぅーと風が吹いた。



見上げた月の横には
キラリと光る星があった。




金星だった。






それをじっと見ながら思った。




「ああ、
私は太陽より、金星がいいな。」