イントロダクション
第一章 ウソをつく」とはどういうことか
第二章 国際政治で使われるウソの種類
第三章 国家間のウソ
第四章 恐怖の扇動
気にかかった文章】
イントロダクション
私は「国際政治で使われるウソ」を、本書のなかでは厳密に功利主義的な観点から見ていくことにする。その主な理由は、国際政治にはウソを正当化できるような圧倒的な理由が存在するからであり~。
ウソは危険な世界において国家を動かしていく際に有益な道具となる場合がある。
第一章 ウソをつく」とはどういうことか
私が関心を持っているのは、その人物が「正直であるかどうか」-つまり彼自身が「真実だ」と信じている事実や話を述べているかどうかーであり~。
オサマ・ビン・ラディンが「サダム・フセインにたいしてアメリカに対抗するために同盟を組むことを提案したが、後にその考えを改めた」と証言~。
ある人物が話を「印象操作」したり、事実を「秘匿」しようとする場合でも、それは「ウソをつく」ということにはならないが、それでも完全に「正直であること」にはならないのである。
他国を欺くために「ウソをつく」というのは、リーダーたちにとって最後の手段である~。
第二章 国際政治で使われるウソの種類
リーダーたちは、自分たちが邪悪な存在だから、もしくは彼らが自己中心的な利益を得ようとしているという理由から「恐怖の扇動」を行うわけではない。むしろ彼らは、ある特定の脅威をあおることが国益にかなうと信じているために、それを使うのだ。
第三章 国家間のウソ
中国、日本、そして韓国の三カ国は、北朝鮮の脅威をあまり深刻に受け取っていなかった。彼らの注意を引くために、アメリカ政府は~とろがこれはウソであった。
第四章 恐怖の扇動
国家のリーダー自身には脅威が台頭しつつあることが見えているにもかかわらず、彼らが「ドアのすぐ外まで来ているそのオオカミの存在に気づいてもらうには、国民を騙さなければならない」と考えたときに使われるものだ。
リーダーたちは個人的な利益の獲得のために自国民を搾取しようとするわけではなく、それが「国民の利益になるはずだ」と信じて(恐怖の扇動を)実行するのだ。
フランクリン・ルーズヴェルトは1941年の晩夏の「グリア号事件」で国民の意見を反ドイツに傾けさせ、アメリカを第二次大戦に参戦させることを狙ってウソをついている。
「恐怖の扇動」を使って国民の支持を広く集めることであり、それによって人々の疑いの目を頑固な専門家のほうに向けさせることなのだ。そうなると、彼らは孤立化して自らの判断にも疑いを感じ~政府の政策を支持しはじめることもある。~レスリー・ゲルフは、このような恐怖を感じたために2003年のイラク戦争を支持したことを率直に認めている。
当たり前であるが、ブッシュ政権はウソをつき、それ以外の騙しを使いながら、「サダムフセインは迫りくる脅威である」という印象を作り上げ、それによって「予防戦争」ではなく、「先制戦争」を開始しようとしたのである。