2018年10月8日月曜日

「赤とんぼ」ミステリー

この曲「赤とんぼ」に似てない?

作曲家「山田耕筰」(1886~1965)の代表作
童謡・唱歌の「赤とんぼ」。

誰もが知っており、
郷愁を誘うメロディーが印象的ですね。

以前にブログで山田耕筰について
若いうちは「耕作」で、
髪の毛が薄くなったころから「耕筰」に
名前を変えたことを書きました。
「竹かんむり」を「作」の頭に付けて
毛を補ったという面白エピソード。

そんなユニークな山田耕筰ではありますが、
彼の「赤とんぼ」には
ある疑惑があるのです。

それは、「何だか似ている」疑惑です。

これが世の中で噂されるようになったのは、
かの有名な小説家、吉行淳之介
随筆で取り上げたことに始まります。

吉行は、この「赤とんぼ」の
「ゆうや~けこやけ~のあかとんぼ」までの
メロディーがある曲と酷似している
と気づき、執筆したものが、
「文藝春秋」(1981年9月号)に
掲載されました。

それは、ドイツロマン派の代表的な作曲家
であり、音楽評論家であった
「ロベルト・シューマン」(1810~1856)の
「ピアノと管弦楽のための序奏と協奏的アレグロ」
の一部に流れるメロディーです。

この動画を視聴してみてください。



「ピアノと管弦楽のための序奏と協奏的アレグロ」ニ短調作品134


何だかよく似たメロディーが出てきませんか?
曲中に、18回も出てくるようです。

この曲は、作品134なので、
シューマンの死後出版された可能性があるので、
1856年以降世に出た思われます。

「赤とんぼ」は、三木露風の詩に、
1927年、山田耕筰が曲を付けました。

シューマンの曲とはおよそ70年ほど
後になりますので、
シューマンが「真似た疑惑」はありませんね。

と言いたいのですが・・・

私が考えるには、(他の人も言っていますが)
シューマン自身も、このような
東洋的なメロディー(ヨナ抜き)を
どこかから拝借した可能性もあります。

多分、ドイツかヨーロッパの古い民謡か何か
ではないかと推測するのです。
クラシックの曲には
古い民謡や国歌のメロディーを入れることが
時々あります。
シューマンは、自分の曲に暗号まで入れる
作曲家だったので、可能性は
無きにしもあらずです。

山田耕筰は1910年から3年間
ドイツに留学しています。

このことは、ミステリーを解く
鍵になるのではと思っています。

山田がドイツ留学中に、
ドイツの古い民謡か
シューマンの「序奏とアレグロ」を
ドイツのどこかで耳にし、
記憶の中に留めた可能性もあるわけです。

三木露風の「赤とんぼ」の詩を見たとき、
山田の頭の中から、
このメロディーが無意識に浮かんだのではと
思うのも外れではないかも。

しかし、作曲家が意識的に盗作することは
まずあり得ないと思います。
全くのオリジナルなメロディーが、
たまたま他の曲と似ていただけという
場合も多いのではないでしょうか。

ただ、私は、「赤とんぼ」の歌に
時々違和感を感じることがあります。

「あかとんぼ」の部分の旋律が、
日本語のイントネーションとは
違って聞こえませんか?
3番の「嫁にゆき」もそう。

詩があって曲をつける時には、
言葉のイントネーションを損なわないのが
作曲の基本ですが、
それができていない。
わざとしたとしか思えないのです。

こんなことから、
山田はどうしてもこのメロディーを
「赤とんぼ」に付けたかったのだと思います。

「赤とんぼ、似ている疑惑」
いつもついて回りますが、
その疑惑が書かれた1981年には、
もう山田耕筰は亡くなっていました。
本人に聞くことはできなかったので、
ミステリーのまま・・・
そっとしておきましょう。

歌の前半だけではなく
後半のうねるような美しいメロディー。
これこそ、山田耕筰の才能です。
やはり傑作ですね。



     

      
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