認知症は治らない。

どのお医者さんもこう言う。どんな本にもそう書いてある。

 

でも父は卒業した。

 

***

大好きだった妻が亡くなり、毎日のように 「ママは?」と父は尋ねた。

→わたし:「ママは天国でしょ!」と上を指さす。

 

「そんなの知らない。

どこで死んだんだ。

いつだ。

葬式に僕は行ってない!」 

→「ママのお位牌みてごらん、何月何日って書いてある?」、    「ねっ、毎日ママにお祈りしようね」

 

こんなやり取りの繰り返しが続いた。半年くらいかな。

 

でも少しずつ変化はあったのです。

 

「ママは?」

→「ママは天国でしょ!」と上を指す私。と同時に父も上を指さし

はじめた。(なんとなく覚えたようだ)

→「X月の何日?」と聞くと、「〇○日」と父が答える。

(そう、その日はママの命日グッド!

 

1年も経つと、父は家に来て下さるヘルパーさんに言った。「僕はもう結婚しないよ」と。(ママがもういないのは分かってるんだ!)

 

ある日私にこう言った

「ママがさっき夢に出てきたよ!照れ 東京オリンピックは今年だよね?」

→「パパ違うよ、今年は冬のオリンピック。東京は2年後だよ」と言うと、

「大変だ!ママに東京オリンピックに連れて行ってあげるって言っちゃったびっくり。訂正しなきゃ」

 

どのお医者さんからも、どんな認知症の本にも、認知症を発症して10年も経つ人がこんな会話をするなんて症例を聞いたことも読んだこともなかったから。

 

でも父はできたんですニコニコ

 

このあと、主治医は『もう認知症のお薬は要らないね!』と言ってくれました。

 

父、認知症 卒業ラブラブ

 

勿論、認知症は治るんです なんて主張したいわけではありません、私だってなぜ父がここまで回復できたのかわからないのですから。。。

 

でも思いつくことは幾つかあるんです。

 

また少しずつ書いていきますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

認知症は治らない。

どのお医者さんもこう言う。どんな本にもそう書いてある。

 

でも父は卒業した。

 

10年以上前、こんな行動から【あれ?おかしい】と感じた。

 

「シャンプーがないよ!リンスがないよ!」風呂場で父が叫んでる。

ドアの外にあるのに。

父のシャンプー。母のも、私のまで。

7-8本ドサドサと置かれているシャンプーにリンスのボトル達。

次の朝も「シャンプーがないよ!リンスもないよ!」と叫んでた。

 

毎月行く会合の場所が分からないみたい、母が言う。

一緒に父と電車に乗って会合へ。

電車の中、父はずっと鞄をゴソゴソ。

ゴソゴソ、またゴソゴソ。ずっとゴソゴソ。

駅に着いた、でも右も左もわからない。

毎月来ているところなのに。

駅からたったの2分の場所。かかった時間は20分。

その時おもわず父の写真を撮った、

その顔は不安に満ちていた。

 

そんな父に変化が見られたのは、大好きな母の葬儀だった。

 

葬儀場に向かうタクシーの中、

なんで喪服なんだ? ママはどこだ? 誰の葬式だ?

誰が死んだ? ママはどこだ? 

これが45分も続いた。

 

棺桶の中の母をみて、父はわんわん泣いた。

そして参列者の前に立ちマイクをつかみ

これはもうしっかりとした挨拶をした。

昔の会社の同僚と、ビシッと背筋を伸ばし対話をする父。

タクシーの中の父はそこには居なかった。

こんなしっかりとした父はもう何年も見たことがなくて

私の目は点になっていた。

 

火葬場

ママはどこだ? なんで骨なんだ!!! 

また私の目は点になった。

 

でも大好きな母の死は、父の認知症卒業への出発点だった。

 

ここから父は少しずつ、回復への快進撃を始めた。

 

認知症が治る病気である とは言えない。

医学的にもなんの論証もないから。

でも確実によくなる人は居る!

父はその一人だ。

 

少しずつ、私の体験談を書き残していこうと思います。

 

 

明日土曜、TBS 8時AM~「サタデープラス」でが特集されるそうですラブ

 

内容(番組Pから引用)
★あなたの足ウラ・足先から分かること!
★普段、ほとんど意識することのない足の裏。しかし、足の裏こそが健康と美容の要なのです。足の爪、両サイドを丸く切っている人は、巻き爪のリスクあり!?足の裏にカサカサがあったら、要注意!足の変形なんてどうせ見えないし気にしない・・・実は、健康に大きな影響をもたらすのです。西村知美が、足の裏で健康チェック!あなたの知らない足の裏の世界を紐解きます!
 

うぉー、私のやっていることはこういうことです照れ!! 

 

ちょうど来月7月から、こういう『足の健康診断セミナー』を開催します。是非お一人でも、お友達と一緒に参加してみてください(東京・表参道にて)。

 

実は足は、足裏だけで健康チェックができるだけでなく、本物の健康をとりもどせる宝の部位なんです。足という体の土台からしっかりと修正し→キレイな姿勢→腰痛・肩こりを改善→快便・美肌ラブ!へと繋げていきませんかグッド!

 

詳しくは、

⇒ (最新の記事) 外反母趾④セミナーのお知らせ 

⇒ 加えて、http://foot-rescue911.jimdo.com/ をご覧ください。

 

 

夏は嫌でも裸足になる機会の多い季節ですから、外反母趾の方は悩みますよね。
楽そうにみえるサンダルでも、親指の付け根が締め付けられて痛かったり・・・。ビーチサンダルも指の間の皮がむけちゃったりして。

外反母趾の痛みに悩んでいらっしゃる方。
なんでこんな形になるのか知りたい、痛みから解放されたい方。
東京・表参道で少人数制のセミナーを始めます。
(少人数で行いますので、みんなの足サンプルをみながら、自分で触って体感しながら進めていきますので、楽しみながら学べるクラスになっています)

開催地は、東京・表参道(地下鉄出口からすぐ)
予約制となっております。

7月実施のセミナーは以下です:

毎週(水、金):『あなたの足を知る』セミナー【基本講座
足の構造と自分の足とのギャップを学び、なぜ痛みがおこり、歩行・姿勢が崩れているのかを体感するクラスです

 

毎週(木):『冷えてむくんだ脚を夏に向けてほっそりさせよう』セミナー

 

11日~(月):『外反母趾から解放される』セミナー(3セッション)

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ご興味がありましたら、是非お越しください。
目からウロコがいっぱいのセミナーになっています。みんなで笑いながら、足裏をのぞいてみませんか

父にキレてしまったショボーン。。。

 

優しくて普段は何事にも・誰にも感謝をわすれない父。だから喧嘩などほとんどしたことがないのに。

 

認知症になってこれが四回目の喧嘩だ。

 

認知症の特徴として(年齢によるものなのかもしれないが)我慢が効かないのである。

今、今、いま でないと嫌なのだ。だから、本が欲しいと言ったら=今本が欲しいのだ。明日本屋に行ってくるから待ってて と言っても通じない。 

すぐに忘れてしまう自分のことが分かっているからなのだろうか?多分そうではないのだろう。母がバナナの皮一枚ごみがでただけで、皮を握り締めてごみ捨てに走ったように、やはり思いついた今は今でないとだめなのだろう。

 

はじめての喧嘩は、ご飯が今食べたいのに待たされた事だった記憶がある。その時は母がご飯の支度をしていたのだ。私が帰ってきた時には父の目がイッチャッてたのだ(=やばい人の目だった)。

 

こういった場面に対応するには、自分だけは第三者になったように俯瞰から見下ろして・言葉を発するのが良いのです。セトモノとセトモノがぶつかったら壊れちゃう!だから一方が柔らかくあれ!ってTVCMをやってますよね、まさしくあれです。でも私も昔はできなかった~。目がイッチャッてる人に力づくでぶつかっていっちゃった。結果→ なにもいいことは無かった。

 

それから何度となく、腹に据えかねることが起きると、その場面を俯瞰から見るんです(この人がおかしくなったのではなくて、脳の病気のせいだ!と頭で租借し)そうしたうえで、大きく深呼吸するんです!そうすると、怒る気は失せるんです。こうやってぶつかることなくスルーしてきました。

 

なのに、今回は不意をつかれました。 

夏が近づくと、朝明るくなるのがはやくなるせい??か、朝の3時には行動を起こすのです・・・(朝3時ってまだ暗いはずだよね!?)

朝の3時に食器を片づけ始めたのです。普段だったら、まだ早いからもうちょっと寝て片づけてね!と言えるのだが、今回はやっと寝られたところだったのに(毎時間トイレに起きるので、こちらも起きて介助するせいでなかなか寝付けないのです)”起こされた”からでしょう。

 

「何時だと思ってるの、ガシャガシャうるさいよ!」 と口をついてしまったら、

父は「もう夜だ!」って。

どこが夜じゃい!となり、寝起きで・脳みそも動いていない私は、訳わからず不満を述べはじめてしまったのです。

 

しまいに父は、「あのね、もっと優しく話しなさい、女なんだから」と。 しごく冷静で・・・。

(さっきのセトモノとセトモノのTVCMのように、父はマシュマロになってくれていたのだが、拾った喧嘩(笑)引くにもひけず)、 ”女なんだから”(優しく話しなさい)という言葉に噛みついてしまったのだ!

 

「優しくなれ って言ってますけどね、あたしはね女も捨てなきゃいけなかったのよ、お父さんやお母さんの面倒をみなきゃいけなかったんだから!」

「働き盛りだったのに、大好きな仕事も辞めなくちゃいけなかったんだから」

「結婚だって!!」 と・・・。

 

全部200%両親のせいにしてちゃっている自分えーん

悲劇のヒロインにしちゃってる自分ショボーン

止まらなかった・・・。

 

自分でもビーキャー言いながら、あたし親のせいにしてると思ってた。

全部自分の意思で決めてきたのに、全部親のせいにしてるって・・・ゲロー

 

お父さんは、理解はできなかっただろうし、もう覚えちゃいない。

でもね、認知症はちゃんと相手の心の声はキャッチしてるんだよ

相手が怒っていれば、悲しいと感じるし・委縮もする。相手が淋しそうなら、可哀想と感じるし・じっとしている。相手が一生懸命頑張っていれば、いい子にしようとしたり・お手伝いしようとしたりする(→これが健常者には重荷になることが多いのだが(笑))

 

わかっているから、マジお父さんごめなさい。

 

でもねお父さん、あたし13年分の不満をぶつけられて、ストレス発散できちゃったところもあるんだ。実はお母さんにも昔同じことを一度してしまったことがある。罪悪感で2度と口から出てこなかった。これが最初で最後だから大丈夫だよ。

 

認知症のご家族を支えるときには、

すぐに忘れてしまうほど記憶は短命だけど、心の声はとても敏感にキャッチできるということを忘れないでいてください。その声はきっと認知症の方の心に残るんだと思うんです。

でも同時に、ご自分を守るために、我慢は度々吐き出す事も忘れないでくださいね。

私みたいにすべて親のせいにした核爆弾を落とさないように。

 

あー、やっぱ反省ー。ショボーンショボーン

 

 

 

母のガンが発見されて以来、一度もブログを書いていなかった。

書けなかったし、書きたくなかった。

でも改めて振り返って昔書いたものを読み返してみたら、あーこんなこともあったな~とか、
忘れていた大切な想いや、介護する者として、記録して良かったこともたくさん見つけられた。

だから、まだ記憶が薄れないうちに書き残しておこうと思う。
これから介護に直面する人達の少しでもお役にたてるように。

今日は、「認知症の発症を見つけるサイン」と題しました。

きっと当人は(高齢になれば)物忘れがひどくなったわ位に思うだろうし、若い方(40代や50代)は仕事で疲れているんだろう と思うに違いない。誰が脳が委縮しているなんて想像できる? だから、当人では発症を判別なんてできない!と私は思ってます。

周りの家族や人々が、アレ?と思い、病院で診てもらってCTなりで脳の委縮を確認できて初めて診断されうるものなのです。その他に、認知症を判別するテストというのがあります。長谷川式テストと呼ばれるものなのだが、私はかなりの疑問を感じました。

内容は、
・今日の日付は?
・野菜の名前を挙げてください(10秒以内)
・100から7を引いて行ってください(計算)
・3つのものをいうので暗記してください →あとでどんな3つだったか聞かれる。
こういった内容だ。

決してこのテストを否定するわけではない。画期的なテストだと思う。けれど、高齢者に対してのテストとして考えてみてほしい。毎日が日曜日な高齢者に日にちは曜日を聞いたって、わからなくたって、私は何も言えない。介護している私だって今日が何日、何曜日かわからなくなることはしょっちゅうなのだから(唯一、今日は特売の日~!って時は曜日に敏感になるけどね(笑)。

野菜の名前なんて、買い物したことないおじーちゃんがこたえられるわきゃないでしょう。野球好きに、好きな野球選手を上げさせる方がいいなずなのだ。

100-7を引いていく計算。自分でやってみてほしい。マジ難しいぜよ。他のどの数字より難しくて脳みそがキリキリするのだ。 私はたまに歩いてる時にやってみてます。かなり頭で件名に計算して暗記している自分がいます。だから私がおばーちゃんになった時には考えなくても口をついて出てきちゃうかも~!テストにならんね(笑)

桜、電柱、犬。こんな3つを暗記してもらい、他のテストをしながら、さっきおぼえてもらった3つは何だったか聞かれる。これもいいテストである。若い時には意識していないが、絵(イメージ)として描く能力が必要なことが分かる。タモリさんは100位覚えられるとか聞いたことがある。信じられないけど、訓練の賜物なのだそうだ。こういうことをすると認知症の予防になるのだろう・・・、しかし10個超えてくると普通は厳しいよね。

このように、微妙に思うテスト内容もあれば、なるほどと思う内容もある。
昨今、高齢化社会に伴い認知症の方も倍バイで増えている環境の中、テスト内容も進化しているので、心配ばかりする必要はないと思います。

その中で、私がこれはいいと思ったテストは、
真っ白な紙に、「時計表示で10時5分と描いてください」と言うものだ。認知症になると空間の判断能力が著しく低下するのだそうで、まず〇を描いて1~12を割り振ることがむずかしくなったりするのだ。いくらデジタルの時代とはいえ、腕時計やら家の時計やら、見なれた時計の1~12を割り振ることができないとは、わたしも想像していなかったのだが、見事にできない方は多い。そして、時間、短い秒針と長いものを区別することも難しいようで、時間が皆さんバラバラなのだ。 その時思い出したの、私の母も10:40という表示を見て、12:05とか わけのわからないことを言って私も驚愕した日のことを。(なのにご飯の時間だけは分かってたのは何故だろう???→ 腹の虫は正確だった!ということだろうか(笑))

たとえば(二等辺三角形の)展開図を見せて、これを組み立てるとどんな形になるか答えさせるといったテストもあるようだ。こういうのも全く答えられない→これも認知症を決定づけるものといえそうだ。

家庭内で、私が気づいたサインはこんなことだ。

ある日夕食を母が作ってくれたのだが、大きなお皿にしゃうぶしゃぶ肉が3枚ピロリとのっけられて出てきた。

少な!薄!つけ合せなし??しかもご飯も何もなし。肉は味無しで油まみれだった。

知らぬ間に、こんな食事を父も母もしてるのか!ショック!と思い、これ以来食事は私がつくることにしたのだ。次に気づいたのは、私が焼きそばをつくると、次の日焼きそばの具材を買ってくる、カレーを食べればジャガイモやニンジン、肉が冷蔵庫に次々と入っていくのだ・・・。買い物にいくと、何となく昨日食べたものを思い出して買ってきていたのかもしれませんね。 TVでおばーちゃんが店に行くと何を買いに来たのか思い出せなくて、何となく納豆を買って帰ったら、冷蔵庫に10個以上の納豆が入っていたのをみました。

こういったことをきっかけに、お風呂のお湯を入れはじめたことを忘れお湯があふれたり、ガス栓が開いていたり、間違えてオーブンボタンを押したのでしょう電子レンジが真っ赤になっていたり・・・。

今の時代は、お風呂のお湯を自動で止めてくれたり、オール電化にもなり、火事などの危険も回避できるようにはなってきていますよね。(台所に、IHはおススメですよ)でも新しい技術はなるべく早くに教え込まないと、新しい物から零れ落ちてしまうのが高齢者であり・認知症の症状です。ちょうどTVが地デジになってしまいTVを換えたら、リモコンボタンが全く分からなくなってしまい・・・、毎回電源は抜くわ、配線はブッちぎるわ、最後には地上派になっていて砂あらしだけがうつっていたり・・・。エアコンを嫌がるので、扇風機をかけていたら(しかも古いボタン式の扇風機をあえて購入していたのに)止め方がわからず、ある日扇風機は家の外で回っていました・・・。

まあここまで来ると、おかしいのは誰にでもわかることでしょうが、一緒にくらいしていてもアレ?アレ?を重ねて、やっと疑いになるというのが現実かとは思います。当人も病院に連れて行かれるのは嫌がりますし、認知症という言葉が誰にでも知られるようになった今は、当人も自分に疑いを持っている状況でもあるかもしれないので、病院で診断を下されるのを嫌がることも多いでしょう。とても繊細な問題だとおもいます。

でもにんちしょうは早期に薬を飲み始めれば、進行を食い止めることはできる!というのが今の医療だそうです。うちはもう手遅れだったけど、きっとこれからの医療はもっともっと進歩していくから、早くに食い止めて、新薬を待つ!これも手段の一つと考えましょう。



認知症の症状としてよく挙げられる徘徊。母にもやってきた。

徘徊とは:家の中や外を歩き回る行為。

どうして認知症の方は徘徊してしまうのか?

ある方から聞いたのは、体の中のエネルギーを発散する場がなくて、地にそのエネルギーを返すがごとく歩き回るのだそうだ。
なるほど。なんとなくしっくりきた言葉だった。日々何をすることもなく、でも体は元気ならエネルギーを発散させたい気持ちもよくわかる。

母の徘徊は可愛いものだった。
遠くには行かないで、マンションの下まで行って戻ってくるのだ。(よく耳にする症状は、家を出たはいいが、目的地はどこなのかわからなくなりあてもなく歩いて行ってしまったり、家までの帰り道が全く分からなくなったりするのだそうだが)うちはまだエレベーターで登り降りしているくらいなので、可愛い物だった。だから私はこれを”母のプチ徘徊”と呼んでいたのです。

でも次第に、ごみ一つ見つけても出ていくようになり、バナナの皮を握り締めて出て行ったり。そのうち義務感なのか?なんらかのルーティーンになってしまったのか?ティッシュ一枚でもごみとなると外に出ていくようになってしまった。時には、靴が見つけられずに裸足で出ていったり、ほとんど下着のかっこで出ていってしまったり・・・。こうなると私も止めに行くのだが、追いかける・叫んで止めたりするのはまったくの逆効果なのである!! 「お母さん、裸足だよ、靴履いて行こうよ」といっても、母は逆キレして、私の手をはらって逃げるように走っていくのである。だから(下着の時には無理やりにも止めたけど)とにかく声はかけずに、後ろから見守ることを続けました。

どうして徘徊してしまうのか? 
わたしが思ったのは、母にもなんらかの目的があったのです。

きっとわたしの“お手伝い”をしてくれていたのだと 今はそう思えるんです。食事もつくれなくなり、買い物もできない。私が唯一お願いしていたのは、お洗濯とそれを干す事。(干すことは、背筋も伸ばせるので運動になって○ですよ。母は死ぬまで背筋がピンとしてましたから)でも洗濯なんてたったの1時間ごときのことで終わってしまう(これも悪化していくにつれ時間はかかることになり、二枚も干したらもう洗濯のことなんて忘れちゃう)のだから、きっと私が毎日走り回っているのを横目に、何かしてあげよう・しなきゃとおもったのだとおもうんです。

しかし、母のお手伝い?!行為であった徘徊は、やはり度を増していきました。管理人さんから、「お母さんがごみ置き場のバケツの中でおしっこしようとしてるの」って・・・叫び。驚愕でした。きっとトイレに行きたくなったんだけど、そうしていいかわからなくなって、バケツに入ったのでしょうね。

そんなこんなしていたら、ある日ついにプチ徘徊はリアル徘徊になってしまったんです。

夜10時ころ、わたしがお風呂に入っていたら玄関をガシャガシャする音がして!いかん!と思ったのだけど、私もマッ裸であります。夜遅いとはいえ、どうせプチ徘徊だろうからすぐにもどるでしょうと追いかけず、とりあえず服を着たときには母は戻ってきたのです。でもその何時間か後、私も寝ていたのですが、なんとなく変な空気を感じて飛び起きました。そうしたら玄関のドアがワイドオープンになっているではありませんか!!! ん? お母さん? お母さんが居ないドクロ

時間は朝の3時。そんな時間にウロウロするなんておかしい。すぐに家の周りをみてまわった。
だれも歩いていない街。居たのは新聞配達の方と意味ありげな人だけ。聞いてはみたけれど、みんな見てないと言う。1時間近く探したけど、家にももどっていないし、どこの隙間からも出てこない・・・。

はじめて警察に捜索願を出した。
夜の10時に出ていってしまったとき、Tシャツに薄いパジャマパンツだったのを思い出し、そう警察にお伝えした。この時、季節は秋だったのだけど、朝3時はとにかく寒くかった。あんな薄着で。。。もう靴は一人では履けないので、スリッポン。これで長距離は歩けないはずなのに。

朝5時すぎ、あかるくなってまた探してはみたけれど、ダメだ~、ほんとに消えちゃったよ~しょぼん
時を同じくして、新聞には『徘徊による認知症行方不明者数 1万人超え』という記事・・・。
ついに母も1万分の一人になってしまったのだ。

もう今は何もできない。もう一人の認知症のお父さんも起きてくるから、とにかくじたばたせずに朝ごはんを作り始めた。朝8時、2つほど離れた町の警察から電話がきた。

「お母さん見つかりましたよ!」もう涙なみだ。
なんと私の足で 50分はかかるほど遠いところで見つかったのだ!お母さんの体力・スリッポンを考えると、2時間以上はかかる距離だ。でも私が居ないのを確認してから5時間くらい失踪していたのだから、もしかしたらずっと歩いていたのかもしれないよねしょぼん

お母さんは川べりでお花を摘んでいただそうだ。警察の車からでてきたお母さんの手には摘んだお花、そして満面の笑顔だった。あんなに寒かったのに・・・、足も痛かっただろうに。戻ってきてくれてありがとう、警察のおまわりさん ありがとう!って思った。

驚異のお母さんはまったく疲れも見せず、よく食べ元気モリモリであった。たくさん発散させたかったエネルギーを自然に返したのかもしれませんね!でも後日母の足をみて、涙がでました。そこには青くなってしまった足の爪・・・。スリッポンなんかでたくさん歩いた証拠でした。

どうして、夜中に出ていったりしたのだろう?

ずっと考えていたのだけど、もしかしたら?!というSTORYがその日あったのです。
朝、認知症の二人はお出かけをしようとしていました。したいことはダメとは言わずなんでもやらせるようにしていたので、今日も後ろからじっと見ていました。二人は仲良く手を繋いでテクテク歩いていましたが、(ある程度の距離で引き換えさせないと歩き疲れて動けなくなってしまうので)声をかけました。「どこ行くの?」

「3人でお寿司を食べようと思ってスーパーにね」という父。でもそのスーパー、たまたま工事中でやっていなかったので、そう伝えてお家にもどることにした。お母さんの手には、財布のようにみえる縦長の日記帳・・・、これじゃお金払えんよ! →①お出かけ失敗という事実

②この時期、父は玄関の鍵がしまっているかをとにかく心配しており、1日中気にして母に鍵はしまっているか確認をしていた。特に夜は何度も聞くため、母はよくうるさい!とキレていた。母はキレると外に出ていってしまう(これもこの時期の傾向だった)。きっと夜10時にもこのやり取りがあり、キレて外にでていったのであろう →②キレるとプチ徘徊

③きっと母は寝ていて、①と②をなんとなく思いおこしたのでしょう。そのまま時間の感覚もなく着の身着のまま外に出てしまって引き返せなくなってしまったのだとおもうのです。母が見つかった場所とスーパーは同じ方位にあったのです。

すべて私の頭の中の仮説ではあるのだけど、徘徊をしてしまうのは、その人なりの“目的”が絶対にあるのです。迷惑をかけたくて出ていくのではないのです。

認知症の方とのコミュニケーションは本当に難しいのです。
何を聞いても、答えは返ってこないのです。思いのままを言葉で伝えることができなくなってしまうのです。それが認知症の現実なんです。

どうして外にでていったのかだけでなく、なにが食べたいのか、何がしたいのか・してほしいのか、何が嫌でぐずるのか? 暑いのか寒いのか、嬉しそうに笑っているけどなにがそんなに嬉しいのか? 言葉にして伝えられなくなってしまうんです。これは性格がなすことではありません!脳の収縮が原因なんです。

だからみなさん、お父さんやお母さんが認知症になり、徘徊をしてしまったら、その裏にある彼らの出かけた目的を想像してみてあげてください。何かしらの心配事があって・気になって動き回るのです。 

自分自身のことだって人間100%理解できることなんてないよね!(なんでこんなダメ男好きになってるんだろう~?、なんでお金もないのに着ないかもしれない服買っちゃったんだろ~?ってね)そうなんです。自分のことも100%理解できないんだから、親とはいえ100%理解している訳ないんです。理解できるなんて無理なんです。だから、なんでも否定してしまわず、やらせて・見守ることのできる大きな心をあなた自身が持つようにしましょう。

なーんて、かっこいいことを言ってますが、私だっていつもできていたわけではありません。
毎回失敗して・反省して。そんなうちに大きな見守る心と、心から笑える力がついてきました。これはご両親・認知症の方又は神様があなたにくれる大きな贈り物なんだと思います。今まだ私も介護を続けていますが、この贈り物に感謝しつつ毎日笑顔で過ごしています。
介護というと、やはりお下の世話が本当に悩ましい問題になります。

トイレ掃除
特に男性は立っておしっこをするのであります。今の若い方は座ってする方も増えているそうですが、戦後の男子は立ってするのが男のステータス~!みたいなところがあって、かつその姿が気持ちよさそうだったりするので、おじーちゃんに座ってしてよ なんて言えなくて・・・。それに認知症だと、そんなこと言われてもすぐ忘れちゃうしね。

だんだん弱ってくることもあって、おしっこも的に的中しなくなるし、キレも悪くなるのでしょう。
トイレは一度使われるだけで、汚れ+悪臭となって襲ってくるのであります。 しかも私の部屋はトイレのそばなので・・・。一日に3度も4度も掃除・選択をくりかえし、手もボロボロに荒れてしまったこともあります。

ありとあらゆるスプレー、クリーナーを使ってみました。その中で、今も使っているベストなものをご紹介します。

① トイレマジックリン‐王道であります、香も残り過ぎず、基本はこれがあれば安心です。

② オゾン水 ‐ これは殺菌力がアルコールの7倍もあるらしく、消臭力もあり!かつ無臭。壁への飛び散りなんかは、マジックリンでは臭いがついてしまうのではないかと思い毎日はつかえませんでしたが、オゾン水なら大丈夫。使ってみてびっくりです、本当にトイレの臭いがバサッと消えたのですから!!オゾン水生成器というのを買わなくてはいけないので(5万円くらい)お高いのですが、キッチンや家中の掃除にも使えるのでコスパ大であります。ネット情報によると、歯医者さんの器具の消毒に使用されていたり、ペットのシャンプーやら野菜の農薬を流すのにも使われているので、手が荒れる心配もゼロです。
 
クエン酸、みょうばんも使ってみましたが、においが残るのが気になり自然と使わなくなりました。

毎日何度もトイレマットを洗濯するのも大変なので、何かできないか?とやってみました。
よかったかな?!と思うのはペット用のおしっこマット。表はティッシュのような素材、裏はビニールになっているので、床にしみません。ホームセンターで買えます。でも、ビニール面を床にあたるので、滑らないか??心配でした。それに毎回染みるので(色がつくのは分かり易い反面)見えることでまたブルーになります。。。なので今は使ってません。

男性のおしっこ垂れ(トイレマットと便器の隙間)には、隙間シートというのもあるので、これは便利です。今では100均にも売っているので安心して使い捨てができます!

うちはトイレが狭くて、昔からトイレではスリッパを履いていなかったのです(マットレスだけで床がうめつくされてしまうので)。介護が始まってからは、母が家の中ではいているスリッパのままトイレに入っていくようになりました。初めは、う~む、中と外は区別したいな~とは思いましたが、父のおしっこ飛び散り問題に直面してからは、これはいいアイディアだ!と私もそうするようにしました。

けれど、踏んだおしっこが家中を汚すことになるのですが、これもしょうがない!毎日掃除ができていいじゃない!と発想の転換をして掃除しています。
でもどうしても許せなかったのは、自分の部屋にこのスリッパで入っていくこと!!これは勘弁してくれ~と思い、どうしたかというと、4畳の小さなお部屋ですが、入り口に仮想玄関をつくり、そこでスリッパを履き替えたのであります。気持ちだけの問題ですが、これだけでもなんか
汚れと離れられる気がして、良いであります。めんどくさいけどね。

臭い
あんまり解決できてません。消臭スプレーもつかいますが、ぷーんと漂ってくるのは止められないのであります。。。
ので、アロマスプレーをつくって自分の部屋にまき散らして自分を守ります!

アロマスプレーの作り方:
精製水(自分で使うなら水道水でもいいでしょう)‐45ml、
無水エタノール(私は蒸留酒のジンがあったので使っちゃってます)‐5ml、
加えて、ペパーミント(消臭)にティートリ―やユーカリ(殺菌)‐あわせて10滴位。
アロマオイルはオイルなので、水に溶けにくいのでアルコールに溶かしてやってから、水とまぜます。以上!簡単でしょグッド!

うんちというもの
母は認知症の悪化で、うんちも汚い物とわからなくなり、うんちを持って家の中を歩き回っていたり、窓から捨てようとしたり、排水管に詰め込んでいたり叫び、なんとかタイムリーにキャッチできたから良いものの、お買い物から帰ってきたときの、今日はどんなびっくりがひそんでいるのか???という不安とハラハラは未だに忘れられません。
(そうなんです、認知症が進むと、汚い!という認識はなくなってしまうようです。でも人間位なのでしょうね、うんち=汚い なんて。牛だって、虫だって、豪華な栄養として食べちゃうんですからね。)


下着の汚れ
もうこれは除菌ハイタ―につける!これしかないでしょう。
リハビリパンツという手段もあるのですが、お下がノー・コントロールになる冬には履いてもらっています。履いて暖かいというメリットもあるからです。でも夏は、可哀想で。薄手のものも出てきていますが、暑苦しくて可哀想なので、夏はとにかくハイタ―につけてお洗濯するのみ!

追加
今は便利なものがたくさん出てきています! ついこの前までなかったのですが、今ではビニールの使い捨て手袋(病院の先生たちが使用する手袋)がどこででも手に入る時代になりました!エコではないですけど、介護する側も手が荒れること位でも気が滅入ります、荒れれば雑菌なども入り込みやすくなります、こういったものも積極的に使用して、自分を守りながら一緒にがんばりましょう!


介護をしていて、臭い汚れに悩んでいる方が少しでも楽に・気持ちも楽になってくれたらしあわせです。
すい臓がんになってしまったお母さん、

天国に旅立ちました。

300日の余命宣告をぶち破り、80日あまりも延命してくれました。
あの年齢で、しかも認知症でもあったのに、80日も頑張り続けられるとは!しかも自宅から旅立てるなんて、きっときっとお母さんは幸せだったと思います。

認知症を発症してから8年あまり、最後にはガンにまでなったお母さんですが、本当にいろいろありました。あまりにも笑えるエピソードが満載で、すぐにでもブログにアップしたかったのですが、なんとなくペンは進まず・・・。でもやっぱり文字にして残しておきたくもあり、少しずつ思い出しながら書いてみようかな~と思います。
本当は漫画にして出版したい位なのですが、わたし絵がヘタクソで描けないから・・・。


お母さんには申し訳ないけど、娘としてやっちまったことを今日は書いてみようと思います。

お母さんが亡くなったのは、夏に入る頃。
葬儀屋さんがご遺体の血色が悪くならないようにドライアイスを持ってきて、首回りに置いて行ってくれました。でも、やっぱり夏を感じるころだから、朝にはドライアイスは減ってなくなっちゃって・・・。(葬儀屋さんも需要が多いらしく、なかなか新しいドライアイスを届けに来てくれなくて・・・)

だから、スーパーに飛んで行って買ったの。

ビールビール!
350mlx6本 (笑)

「お母さんも呑みたいっしょ? 暑いもんね~」なんて言って、
首の回りに敷き詰めてあげました。
お蔭で、お葬式までお母さんの顔はピカピカで!本当にキレイでしたよ。

親族が続々と会いに来てくれたので、
「暑いよね、ビール飲む?」ってお母さんの首元からビールを出すと、親族みんなギョッ叫びとしてました (笑)。

まだ三途の川も渡ってなかっただろうけど、きっとお母さんも笑ってくれてたと思います。
やははにひひ

そうなんです。
黄疸で黄色くなった原因は、母の場合は”すい臓がん”だったことが判明したんです。

CTを撮ったら、すい臓に大きな腫瘍があり、これが胆管を圧迫していたために黄疸がでたのだそうです。

この腫瘍、たくさんの血管を巻き込んでしまっているらしく、手術はできないのだそうです。きっと若い方ならば相当大変でも手術はできるのかもしれません(かも、ですが)。しかし母のような高齢者では身体自体が手術に持ちこたえられないとのこと。。。

そしてすい臓ガンの場合、
余命は300日生きられるか否かなんだそうです。。。

もちろんその人によるし、合併症で早まってしまうことも、もっと生きられる方もいるとのことですが、「月(つき)単位で覚悟をしてください」と言われてしまいました。

治らない病気。あとMAX300日。。。

「これからの治療についてですが」と先生に聞かれて、
即効、「治療はしません」って答える自分がいました。

親なのによくそんな考える時間もかけずに、決めちゃえるの?って思う方もいるかもしれませんね。 でもね、10年も大病や認知症の介護を続けてきた私だから、もうわかってるんだよね。私の腹(はら)がそう言ってるの、治らない病気・あと最長で300日しかない、それならこれ以上痛い思いや不安な思いはさせなくていい・させちゃダメだ!って。

その晩、さすがにW杯には身が入らなかった~。でもなぜか泣かなかった。親友は思いっきり泣いていいんだよって言ってくれたけど、涙でなかった。

ビール飲んで、これからの闘いに向けて”独り決起集会”をした。

今日、認知症が悪化した母は病院でかなり暴れまくってしまったらしく、1週間といわれた入院はたった2日での退院となった。

今晩も独り決起集会になりそうだ。
認知症の父と、認知症にガン宣告された母。
あたしがんばりきれるかな・・・・・、不安だーーーーーー!