ベルサイユのばらを求めて (5) - Gay Games in Paris

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これまでのお話

ベルサイユのばらを求めて (1) - 旅立ち

ベルサイユのばらを求めて (2) - モンサンミッシェル

ベルサイユのばらを求めて (3) - ロワール渓谷

ベルサイユのばらを求めて (4) - ノルマンディ海岸


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パリの東部に、ショパンやプルースト、モディリアーニやエディットピアフ等の著名人が多く眠る墓地がある。

その墓地の外れには、イギリス文学の文豪オスカーワイルドの眠る墓もあるという。

オスカーワイルドというと、子供の頃に読んだ「幸福な王子」や、学生時代に何度と繰り返し読んだ「ドリアングレイの肖像」くらいしか思い浮かばなかったのだが。

調べてみると、同性愛であることで投獄、破産、そして出獄後は失意のままヨーロッパを転々とし、最期はパリのホテルの一室で亡なるという、彼も同性愛者の歴史の中を生きた一人であったのだ。

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ノルマンディからパリに戻ると、前に比べてやたら街にオカマたちが目につく。

蒸し暑い気候の中、右を見ても、左をみても、鍛え上げられた美しい上半身を惜しげもなくタンクトップの隙間から見せつける異国の男達。

フランスのど田舎で1週間も清く正しく静かに過ごしていたから、悶々としてそんな気がしているという訳ではないの!

4年に一度のLGBTのオリンピックである「Gay Games」が開幕して、世界中のオカマ達1万3千人がパリに集まってるからなのである!!!

オープニングセレモニーが行われる、パリの外れにある競技場に向かう地下鉄に乗り込むと、各国のカラーで身をまとったマッチョな選手たちですでに一杯で、オトコだらけの夏のギューギュー詰めの満員電車に、中年オカマの自分はくらくらしてきて、鼻血ぶー寸前(死語)である。

競技場につくと、選手専用口へ向かう選手たちを横目に、何の競技にも参加しない、過去に体育の授業で赤点をとったこともある自分は、一般席へ・・・。

選手入場がはじまるまで、とりあえず、ビールよ


オリンピックの選手入場は、毎回ギリシャが一番初めと決まっているが、同じようにGay Gamesも、第1回開催地の"サンフランシスコ"が一番初めの入場だ。

各国の選手達が自国のカラーや民族衣装を身にまとい、国を代表して、国のLGBTの人たちを代表して笑顔で歩いている姿をみて思わず涙腺がゆるむ、涙腺も締りの悪くなった中年オカマの自分である。

アメリカやフランスはやはりダントツの参加者数だが、その中で日本や台湾からの選手が少人数ながら胸を張って登場した時には、思わず周り気にせず「がんばって~~!!!」と声ひっくり返しながら叫んだわ。

一方で国によってはは、国名のプラカードこそ登場したものの、入場行進の参加者はゼロ。まだ同性愛が法律で禁じられている国や、同性愛者であることを公にできない社会の国がまだまだあるのだ。


日本の国旗持ってくりゃよかったわ!

ゲイゲームズでの水球の試合は、国ごとではなく都市ごとに行われる。

我がサンフランシスコチームの初回の対戦相手は、花の都パリチーム!

コーチ不在の中、キャプテンに真剣に耳を傾ける
サンフランシスコの選手たち


何をゴールに決めて、何を犠牲にしたの。
(C) Yuming


パリチームを下した後も、1週間の闘いを続け、その結果サンフランシスコは、シルバーメダル! (ゴールドはロサンゼルスに持ってかれたわ・・・!)


試合の後は、皆でセーヌ川沿いでピクニックだよ!

宿の近所のスーパーでワインやチーズ、バゲットにシーフードサラダなどを持ち寄って、セーヌ川を眺めながら、語らう。

青春!

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2018年の今でこそ、こうやってパリという街が市をあげてこのGay Gamesの開催を盛り上げてくれている。

競技参加者も自分のような観戦者も、世界各国からやってきた"仲間達”とゲイであることに胸を張って、堂々と安心して街を歩ける。

100年前のオスカーワイルドの時代を考えたならば、本当にありがたいことなのだ。

セーヌ川が夕焼け色に染まるころ、安ワイン片手にそんなことをしみじみ考えていたら、また涙腺ゆるむ中年オカマ。

もう、ほんとあちこち締り悪くて大変だわ・・・!

オスカーワイルドはこんなオカマだらけのお祭りをみて、
何を思うんだろうね





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