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ち絵さんが小さいピンクの花を花瓶に差して言った。
「10年も花が咲かなかったけど、やっと咲いたのよ」
花弁は細く、開いた花火のようで愛らしい。
鉢植えにして庭の隅に置いてあったとのこと。
花の名は「ショウジョウバカマ」だと教えてくれた。
10年も花が咲くのを待っていたとは・・・
その辛抱強さに圧倒されてしまった。

【ショウジョウバカマ(猩々袴)】
日本の各地の産地で少し多湿なところにはえる常緑の多年草です。和名は花を猩々(しょうじょう:猿の一種)の赤い顔、葉の重なりを袴に見立てたものということです。
花期:春
("植物園へようこそ"から引用)

一方茶花(ちゃばな)として使われ、赤白が混じってとてもかわいい感じのツバキがある。
この可憐な花も別の容器に生けてあった。
花の名前を尋ねると、ち絵さんはチョウチョのゼスチュアをして
「コチョウワビスケ(胡蝶侘助)」
だと言う。
なんでこの名が付いたのかは「植物園へようこそ」には載っていなかった。
察するに茶人の遊び心ではないかと思う。

更にもう一つ。
首うなだれた花。
これは訊かずとも判っていたから、別の角度から質問した。
「クリスマスローズはどうして下を向いて咲くのかね」
理由はち絵さんにも分からないそうで
「高い位置に生けているよね。下から見上げる花だね」
との回答があった。