いいサウンドはアルデンテから? | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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いいサウンド、響きのある音って、どういう音だと思いますか。

音をどんなふうに捉えるか、これ、大切なことだと思うのです。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

音の芯

アメリカに留学されていて、現、九州交響楽団首席トランペット奏者の松居洋輔氏のインタビューが、

管楽器の雑誌パイパーズ466号(最新号)に掲載されていて、その中に、こんなお話がありました。

 

アメリカ人がよく「音のセンター」と言いますね。それを、音の「ツボ」と捉えるのは間違い。そうではなく「音の芯」のことだと捉えないといけない。

 

興味のある方はぜひ、パイパーズを買って記事を読んでみてください。

さて、音の芯、感じたことはありますか。

 

よく響く音

よく響く音、太いふくよかな音、そういう音を志向する時に陥りがちなこと…

たとえば、ふわふわのマシュマロみたいなモノをイメージしてしまって、

ただのフヨフヨの音になってしまうというようなこと…

ぼーっとした、はっきりしない、実体のない、マイク乗りの悪い、存在感のない音…

そんなサウンドになってしまうこと…

ぼくもそうでした。

きっとどの楽器でも同じだと思うのですが、

よく響く音や太いふくよかな音って、そういう音とは違いますよね!

 

アルデンテ

スパゲッティのアルデンテ(al dente)ってわかりますか。

イタリア語で、『歯ごたえのある』という意味です。

麺全体が茹で上がってしまうのではなくて、麺の中心に、わずかに芯を残した状態。

これが、アルデンテ。スパゲッティの理想的な茹で方なのですね。

音も、ある意味これと同じなのかな、と思うのです。

中心にコア、芯がちゃんとあって、響きはその周りにある。

この、コア、音の芯を意識に置くことって、いろんな意味で大切なことだと思うのです

 

 

ツボって何?

では、ツボというのはどういうものなのでしょうか。

管楽器では、トランペットの人がよく口にする単語だと思います。

 

管楽器って、運指によって、ある長さが決まった管です。

長さが決まった管は、ある決まった周波数に共鳴します(それは1つではありません)。

ちゃんとその周波数ピタリの音を鳴らしてやれば、その管はよく共鳴してくれます。

これがすなわち、ツボをちゃんと捉えた状態だと、ぼくは理解しています。

たとえば時々あるのですが、チューニング管を極端に抜かないと音が合わないということは、

その管のツボから外れたところで吹いている可能性が高い。

吹き方に問題があるのでは? となるわけです。

管楽器は、拡声器ではなく共鳴体なのですね。

でも、『音のセンター』と言った場合は、このお話のことではないよ、というわけです。

もちろん、音の芯、コアが、ツボをちゃんと捉えている必要はあるとは思うのですが…

 

響きは余韻じゃない

ちなみにもう一つ…。

響きというのは余韻とは違います。

音の終わりに余韻や残響やディミヌエンドをどんなにつけても、

それが『響きのある音』ということにはなりません。

(余韻とディミヌエンドはまた違うものですが…)

響きは、音自体に、音の芯(コア)の周りに存在するものです。

リラックスした吹き方、自然な空気の流れ、確かなソルフェージュ、歌、

それらによって自然にできるものです。

余韻は、吹き手が作るものではなくホールが作ってくれるものです。

 

芯を意識したピアニシモ

ピアニシモが大切だという話を、以前に書きました。

 

それにはこういう意味もあるんだな、と思うのです。
芯、コアを意識したピアニシモ。
クレシェンドは『響きが増えていく』ことだと意識することがあるのですが、
芯のまわりの響きが多くなっていく、と捉えると、理にかなっていそうですね。
そのためにも、芯のあるピアニシモは大切なのですね。
 
さて、響きのある音ってどういう音だと思いますか。