岩手県 一ノ関市をあとにし、新幹線はやぶさ、やまびこ、磐越東線と電車を乗り継ぎ、福島県 田村郡 三春町にきました。

 

 

 

 

三春町は福島県のほぼ中央部、阿武隈山系の西裾に位置し、郡山市の北東に隣接している人口1万8千人の町です。

 

町のほとんどが標高300~500mの丘陵地で、ゆるやかな山並みが続いています。

 

三春町は岩盤が強い地にたち、震災にも強く、その昔は5万石の城下町として名を馳せた地であります。

 

平成の大合併の時も城下町気質なのか合併を選ばず、三春町単独で生き残る方向を選択しました。

 

 

 

三春町は日本三大桜のひとつ、樹齢1000年を超える巨大桜、『三春滝桜』があり、これは国の天然記念物に指定されています。

 

桜の見頃には人口1万8千人の町に30万人もの観光客が押し寄せるそうです。

 

本日は立派な巨木のみを見れましたが、4月も見てみたいと思いました。

 

また本年は独眼竜として戦国の世に名を馳せた『伊達政宗』の正室『愛姫』の生誕450年の節目となり、

 

この愛姫は三春城主の娘であったことから、現在三春町では愛姫物語を強くPRしています。

 

町田市と三春町の関わりは町田市の芹が谷公園に三春町の滝桜の苗をいただいていたり、

 

町田市のイベント時には物産店を出店してくださり、市内のイベントを盛り上げてくれたりしています。

 

今回、三春町を訪れたのは、三春町の『地区まちづくり協会』の視察のためです。

 

これは現在町田市において現在進行形でおこなわれている『地区協議会』の先行事例でもあります。

 

 

町田市の『地区協議会』とは、地域住民の生活全般に関わっている町内会・自治会と、

民生委員児童委員協議会、青少年健全育成地区委員会の他、

教育・福祉・防犯・防災・健康・環境等の多様な専門分野で活躍する地区内の各種団体が一つのテーブルに集まり、

 

地区の情報を共有し、地区の課題について話し合い、

 

取り組むべき事業を自ら選択し、事業を実施するための組織です。

 

現在、町田市では9つの地区協議会が設立されています。

 

多様な地域団体間で連携・協力するためのネットワークを築き、力を集めて地区の課題解決に取り組むものです。

 

これからの行政としては、市民協働でのまちづくりが必須でありますが、

町田市における地区協議会も現在てさぐりでその運営が行われている状況であり、

先行事例である三春町の『地区まちづくり協会』の事例を参考として町田市に持ち帰るべく、三春町を訪れました。

 

福島県 三春町の 『地区まちづくり協会』では、

地区民の意向を尊重し、自主的活動を通じての成果を町政に反映させるとともに「みんなが安心して暮らせる地域づくり」を目的としています。

 

三春町では昭和51年もの以前から町の長期的振興を図るため、町民自主参加な地域実現をめざし、『三春町まちづくり協議会』を設立しました。

 

三春町 まちづくり協会の主な活動内容として、

 

運動会、

敬老会、

球技大会、

生涯学習活動、

健康づくり事業、

土地利用の検討(利用計画策定、開発行為に対する異見)、

 

環境美化活動、花いっぱい運動、クリーンアップ作戦、

広報誌発行などがあり、

 

また各地区の活動として、

 

石柱拓本ラリー、

盆踊り、

ゴルフコンペ、

敬老会歌謡ショー、

交通教室、

田んぼアート、

文化祭、

収穫祭、

 

などがあります。

 

 

今回の視察で町田市の課題と思われる点を何点か質問しました。

 

①地域にまとまってもらう地区協議会ができたときからの、行政側の職員の市民協働の意識はどうか?

 

 

②地区協議会と町内会自治会の関係はどうなっているのか。両方存在する場合、役割分担は?

 

 

③町内会自治会もそうだが、地区協議会でも、役員を受ける町民の負担感は問題になっていないか。なっている場合、どのような対応を考えているか?

 

 

④地域団体では、活動の担い手や資金不足が課題になりがちだが、何か対策をしているか?

 

 

⑤地域を担当している職員の意識は?職員は地域の独自性を掘り起こし、どのように課題解決に寄与しているか?

 

 

質疑応答を通じて様々な角度から理解が深まりました。

 

 

通常、これら各地区の活動を支えるためにそれぞれの地区協会に、担当職員制度がひかれ、事務局としての役割を行っていますが、

 

三春町は平成13年度を最後に担当職員制度(役場職員)は廃止され、

 

現在では一般企業を退職された方等が専従嘱託員として組織されています。

 

民間企業からの専従嘱託員の登用をしてから、それまでの画一的な通年行事の運動会や敬老会といった事業のみだったのが、

 

石柱拓本ラリーや田んぼアート、歌謡ショー、廃れていた盆踊りの復活、など新しい発想の事業がはじまったそうです。

 

 

また、担当職員制度の時代には公務員である市の職員まかせになってしまいがちで、どの地区も特色のある地域運営が出来てなかったものが、

 

専従嘱託員制度にしたことにより、住民自ら率先して自分の地域の特色を最大限に活かそうとする意識が強くなったそうです。

 

 

三春町においての現状における課題として、

高齢化に伴う組織の担い手不足、参加者の減少、等の課題がありますが、

 

『まちづくり協会』も地域住民の福祉の向上や地域コミュニティの醸成ばかりでなく、行政と地域住民をつなぐ基礎的な組織として重要な役割を果たしています。

 

 

住民のライフスタイルが変化し、少子高齢化や人口減少が進む状況だからこそ、住民ニーズが多様化し、防犯や防災、高齢者福祉のなど、地域運営組織に求められる役割がますます重要になってきます。

 

 

とかく個人主義になりがちな現代、三春町では『向こう三件両隣』の隣組制度の意識が強く残っている素晴らしい町だなと感じました。

 

このような地域では、長い人生で『お世話しっぱなし、なりっぱなし』といった世代間不均衡は姿を潜め、『それぞれがお互い様』で『助け合い』、自他共栄の精神が強くなると思います。

 

町田市と三春町の市民協働を比べて縷々似て非なる事象を研究するに、

 

住民も行政も根底にある意識を改革していかねば、温かい地域はつくれないのだと強く感じました。