島根県の松江市役所を訪れて「まつえ産業支援センター」の産業支援について勉強させていただきました。

 

 

 

 

全国どの地域でも産業支援施策は重要課題として取り組まれています。

 

その背景として、人口減少が急速に進む我が国では、生産力の低下と市場の縮小は避けられないことから、

 

人々の生活水準を継続的に維持向上させる新たな方策が求められ、

 

注目されたのが、多様化・個性化する市場ニーズに的確に応えられる「地域産業」でした。

 

産業支援政策は、市域活性化や定住人口の増加に資すると町田市でも重要事項として考えてこられ、
本年新たに、「町田市産業振興計画19-28」を策定しました。

 

しかし町田市は交通の結接点や、都心のベットタウンとして急速に発展してきた背景があり、主だった産業が無いのが現状です。

 

そこで、日本の歴史的にも重要地であり、長い歴史の中で脈々と歩みを続けている島根県 松江市を訪れ、今後の未来を切り開くであろう最近の産業振興について教えてもらいました。

 

松江市は室町時代の京極氏、関ヶ原直後の1607年堀尾氏を元として、明治維新まで10代続いた「松平家」によって守られてきました。

 

明治22年4月に全国の22の市と共に日本で初めて市制をひいたそうです。

 

松江市はその後次々と合併していき、平成11年の大合併、平成23年8月の出雲市との合併を経て現在の形となりました。

 

今では、人口20万4人、 面積 572,9平方キロメートルの山陰地方をリードする中核市です。

 

松江市は平成30年に中核市となり、昨日伺った鳥取市と共に島根県内初の中核市となり、日本で一番小さい中核市と言われています。

 

中核市となったことで、県と市で共同の保健所を運営するなど、大変珍しい試みをしています。

 

松江市は日本で7番目に大きな湖である宍道湖に面していて、蜆の水揚げ量は全国一位です。

 

水が豊富で、松江城の城下町の市域を深い堀が囲んでいて、自然豊かな歴史深い城下町です。

 

松江市は昭和26年に、京都、奈良、と共に「国際文化観光都市」となり、現在では年間1000万人と大変多くの観光客で賑わっています。
今回の視察の道中でも多くの外国人観光客の皆様が日本の史跡や人々にふれ、日本独特の人情を楽しんでいる様子でした。

 

松江市では平成23年に「ものづくり」のまちである東出雲町と合併したことを契機に、新たに「ものづくり産業」を雇用を創出する主力産業と位置付け、その振興を図ってきました。

 

生産性の高い企業が地域において活動していくことは、地域経済の活性化や、
ひいては若者の定住化や流入人口の増加に繋がります。

 

変化の激しい経済状況の中、市内の企業が新製品開発、技術力向上、販路開拓などの企業の競争力向上に積極的に取り組んでいけるよう、

 

『まつえ産業支援センター』において補助金などの支援制度と、伴走型の支援をしています。

 

「まつえ産業支援センター」の事業として、
①ものづくり産業の支援
②中海、宍道湖、大山圏域ものづくり連携事業
③海外貿易振興事業
④ソフト系情報産業振興
インド人IT人材確保
⑤伝統産業の振興
があります。

 

今回特筆すべき点は、
①ものづくり産業支援として「http://www.matsue-isc.net」があります。

 

市内製造業者300社の基本情報、加工技術、製品情報、設備情報、地図情報、イチオシ製品、等が検索できるサイトを自ら開設し、

市内企業同士や市外企業とのビジネスマッチングに役立っています。

 

②中海、宍道湖、大山圏域ものづくり連携事業として、
ビジネスマッチング商談、展示会を開催し、圏域内外から285社が参加し651件の 商談が行われ、
販路拡大、共同開発、技術支援、業務提携の促進に繋がっています。

 

③海外貿易振興事業として、大根島牡丹の新しい輸出先として台湾とロシアをターゲットに、商品輸出促進事業を展開し、海外進出未経験の事業者も多数参加しています。

 

これら全ての事業の元は、僅か15人の「まつえ産業支援センター」の職員の方々が一人あたり年間1000件以上の訪問をし、
市内の産業人の困り事を直接聞き、問題解決に向け共に最大限行動してきたものです。

 

どこの自治体でも、とかく今ある補助金を管理し斡旋することに終始しがちですが、

従来の行政としての仕事を越えて自治体の生き残りに大きく舵をきった姿は大変勉強になりました。

 

その姿勢に市民や事業者から信頼を得て、松江市全体を前に進めていると感じました。