今日は日本の同性愛者関連のニュースから。

 

本日、名古屋地方裁判所である判決が下りました。

 

今回の裁判に至る背景と経緯を整理します。

 

2014年、名古屋市で男性(当時52歳)が知人によって殺害された事件で、殺害された男性のパートナーであった内山靖英さん(45歳、同市在住)が、犯罪被害者の遺族への給付金(犯罪被害者等給付金)が支給されなかったことは不当だとして、その決定をした愛知県公安委員会を相手取り、給付金不支給の取り消しを求めた裁判。

 

国の犯罪被害給付制度では給付対象の遺族の範囲として、配偶者だけでなく「事実上婚姻関係と同様の事情にあった人を含む」とあるため、訴訟では、同性パートナーがこの要件に当てはまるかが争われました。

提訴した内山さんは殺害された男性と約20年間同居、生計を共にしており、内山さんが自身の給料を男性の口座に入金したり、男性のほうは家事や内山さんの親御さんの介護も担当したりと、事実上の婚姻関係にあったと訴えています。

 

事件の刑事裁判でも「(2人が)夫婦同然の関係にあった」と認定されていました。こうした事情から、内山さんは国の犯罪被害給付制度に基づき、遺族として2016年12月に愛知県公安委員会に遺族給付金を申請。しかし、公安委員会は2人が同性だったことから「配偶者や事実上の婚姻関係には該当しない」と判断し、不支給と決定したのでした。

 

この決定を不服として、2018年7月9日に名古屋地裁に訴訟を起こしていました。

 

そして、本日4日の判決で、名古屋地裁の角谷昌毅裁判長は

「税金を財源にする以上、支給の範囲は社会通念によって決めるのが合理的だ」という判断を示しました。

そのうえで、「共同生活をしている同性同士の関係に対する理解が浸透し、差別や偏見の解消に向けた動きは進んでいるが、婚姻の在り方との関係でどう位置づけるかについては、社会的な議論の途上にあり、婚姻関係と同一視するだけの社会通念が形成されていない」として訴えを退けました(同性パートナーへの支給認めず 遺族給付金訴訟で名古屋地裁NHKニュースウェブより引用)。

 

 

同性カップルを巡っては、女性が同性パートナーの不貞行為に対して損害賠償を求めた訴訟で、異性間の内縁関係と同じ権利が認められるかが争われましたが、昨年9月、宇都宮地裁真岡支部が事実婚に準ずる法的保護の対象になるとの判断を示し(一審)、今年3月の東京高裁・二審判決でも一審の判決を支持し、両判決とも不貞行為をした元パートナーに対し損害賠償や慰謝料の支払いを命ずる判決を下しました。(同性カップル事実婚、賠償額も異性婚と差なし  高裁判決朝日新聞デジタル参照)

 

日本では同性婚が認められていないため、こうした「内縁関係」や「事実婚」状態の同性カップルは多く存在しています。

 

婚姻による法的な保護がないため、法的な保護や経済的メリットを鑑みて、パートナーを守るために養子縁組をするカップルもいます。ドラマ『きのう何食べた?』の第8話の中で、養子縁組の手続きをしようとする中年ゲイカップルのシーンが登場します(ザ・テレビジョン <きのう何食べた?>「たった一言に泣かされた」ヨシくん&テツさんの“絆”が話題!)。

今回の判決で、同性カップルは「配偶者や事実上の婚姻関係には該当しない」とされ、「税金を財源にする以上、支給の範囲は社会通念によって決めるのが合理的だ」との判断がされました。

 

「共同生活をしている同性同士の関係に対する理解が浸透し、差別や偏見の解消に向けた動きは進んでいるが、」と近年のLGBTを巡る議論や同性パートナーシップ制度導入の動きについて考慮したものの、判断の基準としては「婚姻の在り方との関係でどう位置づけるかについては、社会的な議論の途上にあり、婚姻関係と同一視するだけの社会通念が形成されていない」として、同性カップルは内縁関係とは同一のものとは言えないと、結論付けられてしまいました。

 

社会通念というのは、住む国や地域、または世代によっても違ってくると思いますが、現在でも日本ではこの同性カップルの存在は、例え長年連れ添って生計を共にしていたとしても、異性間の「内縁関係」や「事実婚」状態とは区別されてしまうものなのでしょうか?

 

また、今回の事件や訴訟が全国に広がってきている「同性パートナーシップ制度」が導入されている自治体内で起こった場合、少なくともパートナー登録した同性カップルだったならば、その自治体の公安委員会は犯罪被害者等給付金を支給相当とする見解に至るのでしょうか?(ちなみに茨城県は日本初で都道府県単位での制度を導入。いばらきパートナーシップ宣誓制度

 

もし、その可能性があるのであれば、まだ導入されていない自治体では早急に制度を整えて、少しでも同性カップルが不利益を被らないようにしてもらいたいものです。そして、もし万一ならないのであれば、やはり制度上もう一段上の権利保障が認められる関係、ヨーロッパでは標準となっている法的なパートナーシップ(フランスのパックスなど)を整備する必要があるでしょう。

 

また、同性婚の議論についても、当事者やそれを支持する団体や政党以外ではまだまだ盛り上がっていないこともありますが、今回の判定なども踏まえ、本格的に法改正や憲法改正まで含めた議論を進めるべきではないでしょうか?

 

かく言う、僕らヨーロッパでの同性婚カップル(夫夫)も、日本では全く別人のふたりという扱いです。

 

海外在住の国際夫婦の場合でも、日本大使館を通じて、もしくは直接本籍地の役所へ出向き、日本の戸籍(他に韓国、台湾以外に戸籍制度はありません)に婚姻の事実を記載する必要がありますが、僕が2年前にベルギーで結婚した時も当地の日本大使館窓口で「日本国内では男性同士の婚姻が想定されていないので、報告も必要ありません」と言われました。

 

今のところ、夫Yvesと一緒に日本に移住する予定はありませんが、郷里には独り暮らしの高齢の母も居るので、可能性はゼロとは言えません。僕が日本に本帰国(永久帰国)した場合、夫Yvesとの婚姻関係が日本では認められず、Yvesには在留資格(在留特別許可)が下りないことになります。事実そういうケースで遠距離生活を余儀なくされている国際同性カップルも存在するのです。

 

近年の世論調査などでは、高齢者を除き、同性婚に賛成の割合が半数以上という結果が出ているのですから、反対・慎重派の多い与党・自民党も巻き込む形で議論の俎上に載せるべきではないでしょうか?
 

また、同性愛者自身の側も傍観姿勢だったり、もっと声を上げて社会全体での理解増進に努めないと、いつまで経ってもこうした不利益な状況が解消されないことに間接的に与していることになってはいまいかと、同じ当事者ながら歯痒さも感じてしまう次第です。

 

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