hearthのお気楽洋書ブログ

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Project Management (G.Michael Campbell) - 「世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント」- 218冊目

ジャンル: ビジネス・経済
英語難易度: ★☆☆
オススメ度: ★★☆☆☆

今、ある会計関連のパッケージソフトの導入プロジェクトに関わっています。 予算も多額で関係者も多いこのプロジェクト。考慮すべきポイントが多岐に渡り、手続きに抜けや漏れが出ないようにしたい。 で、必要に迫られて手にした本です。 (オモシロ本として紹介しているのではないので、★は二つでした)
この本、プロジェクトを成功に導くための組織の束ね方、人身の掌握方法、スケジューリング、予算取り、更にはトップへの報告ポイントから打ち上げの奨励まで、そのノウハウが実に詳細に説明されています。 ERPの導入プロジェクトなどには欠かせない知識と言えるでしょう。
(2014年発刊)


メモポイント

● プロジェクトを成功に導く12の黄金律。

1. Gain consensus on project outcomes. (目的は事前に明確に同意)
2. Build the best team you can. (ベストメンバーの人選)
3. Develop a plan and keep it up to date. (周到に計画、まめに更新)
4. Determine what you really need to get things done. (本当に必要な条件を絞り込む)
5. Have a realistic schedule. (現実的な計画作り)
6. Don’t try to do too much. (欲張りはNG)
7. Remember that people count. (メンバーは大事に)
8. Gain the support of management and stakeholders. (トップからの支援)
9. Be willing to change. (計画の修正を恐れない)
10. Keep others informed of what you are doing. (周りを理解者に)
11. Be willing to try new things. (新たな方法を試す)
12. Become a leader. (管理者ではなくメンバーの士気を鼓舞するリーダーに)


● プロジェクト進捗についてステークホルダーから尋ねられた場合の対応。 これは大事。全てを盛り込もうとせず、聞かれたことに答えることが効率的。しかも即座に応えられることで、十分に練られた計画であるとの印象を与えられて相手は安心する。

You should also know how much detail you will need to provide. Sometimes in a preliminary review like this, the stakeholder will not want a lot of detail. If that’s the case, leave the details out of the plan, but bring along any supporting information you have prepared. That way, if they ask you a question, you can respond quickly without having to say “I’ll have to get back to you with that.”


● どんなに練られた計画だったとしても想定外のトラブルが発生するのがプロジェクト。しかしプロマネたる者、スポンサーに対しては、どんな状況でも自身のコントロール下にあると思わせなければならない。「ノー・サプライズ!」

Never surprise your sponsor with a problem. Remember in Chapter 6 about the politics in senior management—there must be a perception that they are in control.


● 問題点の8割は2割の原因から発生する。パレートの法則に基づいた優先順位のつけ方。チェックリストの有効性。

The Pareto diagram is the source of the famous 80/ 20 rule that says that 80 percent of your problems will come from 20 percent of the sources. You are trying to evaluate where the greatest source of problems is occurring and take corrective action. In this case, the video component seems to be the greatest source of problems, so it becomes the highest priority for corrective action. Using checklists and the whole suite of available quality tools will aid you tremendously in getting the results you and stakeholders want.



話はかわって。

先日、黒澤明の「天国と地獄」をテレビで観ました。 有名な作品なのでご存知の方も多いと思います。 ストーリーはこんな感じです。
ある大企業の重役(三船敏郎が演じる)の息子が誘拐され身代金を要求された。 しかし実は誘拐された子供とは重役のお抱え運転手の息子であり、一緒に遊んでいたときに取り違えて攫われたのだった。誘拐犯はその事実を知ったが変わらずに重役に身代金を要求、重役は我が子と取り違えられた他人の子供のために自身の全財産を投げ打つかどうかを悩む、といったもの。

ネタバレになるのでこれ以上は書きませんが、いきなりなぜこの映画の話をしたかというと、この仲代達也が演じた主任担当警部の仕事振りを見て「プロジェクト・マネジメントのリーダーみたいだなぁ」と感じたからでした。 プロマネのテクニックはある程度、書籍で理解することができるかもしれませんが、感覚的な側面について知るにはこの映画はとても参考になると思います。 この映画で描かれる捜査班は、組織横断型プロジェクトチームというよりも、どちらかと言えば通常の警察組織のライン業務の範疇に入るのでしょう。それでも全員で「犯人逮捕」という一つの目標に向かって、様々な手続きを同時進行で緻密に計画して積み上げていくステップにはプロジェクト・マネジメントとの相関性がとても高いように思えました。

そしてこの映画の中でプロマネにあたる主任担当警部(仲代達也が演じました)が秀逸です。特に全体定例報告会のシーンなんかゾクゾクします。(捜査員達が順番に立ち上がって報告する「踊る大捜査線」などでよく見る例のアレです) 大勢の捜査員達からの情報を集めて、冷静沈着で入手した情報を漏れなく分析し即時に判断、的確な指示を与える。しかし冷徹というわけではなく、情熱的で暖かい心も持っている。 まさに、経済学者のマーシャルが唱えた「Cool Head but Warm Heart! 」の体現者ですね。

今回は映画のオススメになってしまった…

Project Management, Sixth Edition (Idiot's Guides)

Project Management, Sixth Edition (Idiot's Guides)

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