王様は、岐伯に聞きました。
「では、風の邪気が、腑を傷めれば、どんな病になるのだ?」
岐伯はこたえて言いました。
「風の邪気が、足の陽明胃経の経脈を流れて、胃に入れば、
胃風という病になります。
頸から汗が多く出て、風が当たるのを嫌がり、
邪気が食べ物、飲み物が通る道を遮って通れないので、
食べた物、飲んだ物が下に行けず、お腹がパンパンになり、
服の帯をゆるめると、お腹が大きく膨らんでいます。
しかし、冷たい物を食べると、うんちが漏れ出ます。
医者は、病の人の体を見て、お腹が大きければ、胃風であると分かります。
この、胃に入った風の邪気が、足の陽明胃経の経脈に沿って上がり、
目の内にまで至ることがあります。
その人が太っていれば、風の邪気は外に出られないので目が黄ばみ、
熱中という病になります。(食べられない王様4)
その人が痩せていれば、風の邪気は陽気を伴って外に出るので、
寒中という病になって、涙が勝手に出て来ます。」
私たちが普段に使っている、かぜ症候群という病は、
風の邪気による病の一つではあるかもしれませんが、
岐伯が話している風邪(ふうじゃ)と、現代医学での風邪(かぜ)は、
まったく違うということがよく分かります。