母と惑星について、および自転する女たちの記録

作:
 蓬莱竜太
演出: 栗山民也
出演: 芳根京子、鈴木杏、田畑智子、キムラ緑子
観劇日: 2019年3月10日(日) 13:00
上演時間: 第1部(65分) / 休憩(15分) / 第2部(65分)
劇場: 紀伊國屋ホール
チケット代: 8,500円(E列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

初演も観に行きましたが、待望の再演です。
こういう芝居、大好きです。

母(キムラ緑子さん)の突然の死。
娘三人(長女:田畑智子さん、次女:鈴木杏さん、三女:芳根京子さん)は、ある目的のためにイスタンブールに来ています。
三者三様、母親との確執を胸に旅を続けますが……。

初演の時から、母親(斉藤由貴さん)と三女(志田未来さん)が変わっていますが、今回のキャスティングも良かったです。

娘三人を中心に描いていますが、そこから垣間見える母親の人生にも想像が膨らみます。
自身も母親を疎ましく感じていたからこそ、自分が死ぬ時は、あっさりと、しかも葬儀の準備までしていたことに(お寿司まで注文していたことに泣けます)、何だかんだ言いながら、娘たちのことを想っていた気持ちが現れていたように感じます。

タイトルの『母と惑星について、および自転する女たちの記録』は、最初、何のこっちゃ?と思いましたが、観終わった後はナルホドと……
娘たちは、決して母親の衛星ではない。
自転しながら(衛星も自転しますが)、自分たちの軌道を描く惑星なんだ、ということでしょうか。

芳根京子さんは、舞台で拝見するのは初めてかと思っていましたが、2015年の『幕が上がる』にも出演されていたようで……まだ朝ドラ出演のブレイク前だったためか、気づきませんでした。
でも、他のベテラン三人と堂々と渡り合って、後半の母親とやりあうシーンや、最後の一言が母親を死なせてしまったと慟哭する場面などは、胸が詰まる思いで観ていました

母親のことを恐れ、毛嫌いしながらも、憎みきれずに愛情を求めてしまう娘たち。
ラストシーンは、そういった複雑な想いが昇華していくようで、とても後味のいい終わり方でした。