身体という断崖に唯一の相棒としてとまらせる蝶
雨宮真由
身体を断崖と表現するところに
相当な覚悟や厳しさが伝わると同時に、
一抹のあやうさを感じて、
そこがいい。
相棒として選んだ蝶は、
美や芸術の象徴か。
切迫感やぎりぎりの感じが、
同じ志を持つ読者にはさぞ
甘美に聞こえることだろう。
同時に、
身体を断崖と表現することを
選択した作中人物の
もう後がない感じや、
どこか
その断崖という表現が
身体と重なると、
大きな大きな
傷口のようにも見えて
崇高であり、
不安でもある。
美や芸術の象徴としての蝶に、
気まぐれや移り気というイメージが加わったとき、
残された断崖の気高さと絶景が、
かなしさを誘う。
身体という断崖に唯一の相棒としてとまらせる蝶
雨宮真由
歌誌「かばん」2015年3月号より
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