執拗に手を洗う癖をつけた人の皮膚は黒くこわばってゆき          

                            後藤葉菜
 

思いぐせは、病と連動するという考え方がある。

 

しきりに手を洗う行為は、

 

なにかの関係性をきれいにしたい、

洗いざらいにしてすっきりしてしまいたい、という

思いの代替行為なのかも知れないし、

 

大きな隠しごとを胸のうちに閉じ込めるかわりの、

その後ろめたさからくる代償かも知れない。

 

こわばる皮膚はあくまで結果であり、

原因である硬化してゆく心をどうにかしなければ、

どれだけまわりに言われようが、

手洗いを自制しようが、

 

結果は変わらない。

 

自分の心にアプローチできるのは、

自分自身だ。

 

そのことにまだ気付いていない、

手を洗い続けるひとと、

 

それをただ傍観するしかない作中人物という

ひとつの物語の過程に、

 

出口の見えない重苦しさを感じる。

 

経緯を丁寧に解きほぐしてゆくために費やす

莫大な時間や、

解決へと導く工程の困難さを、

 

黒くこわばった皮膚が物語っている。

 

 

 


 

執拗に手を洗う癖をつけた人の皮膚は黒くこわばってゆき          

                            後藤葉菜

 

                歌誌「かばん」2015年3月号より

 

 

 

 

 

 

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