美しいと伝えたい。
そう思うからこそ、
今日はやめておきたい。

ただ、
それらの物語を読むごとに、
もう覚えてしまったその場面を読むたびに、
涙は溢れます。

その涙を思いますに、
そのときを
かけがえなく生きた証に
泣けるのだと思うのです。


 一輪の花
 その花が美しい

 一茎の命
 その命が愛おしい



木原敏江さんの作品、
今回持ち帰りまして涙をいただいておりました。
吟遊詩人のような方でございます。


 そっと弦が爪弾かれると、
 物語は
 繰る頁に
 零れ出します。


美しいと伝えたい。
だからその作品を語るのは今はやめておく。
ただ流れる涙に
つくづく思いましたことを
語っておきたいと思いました。


今だから切なく思いましたことを
語ります。

 人口の六割ほどが感染するのを
 待っている
 そうすれば感染は収まる

それに類したことが語られますとき、
その〝六割〟を語る声音に
ふっとざわつくことがございます。



ニュースで数字を語る言葉に
心を打たれましたのは
一人のお医者様の数字を語る声とお顔でございました。
八割ではなく二割の方々へと
真っ直ぐに向かう言葉。
真摯なお声と眼差しでございました。

 亡くなっていく方を出さないために
 一つの命でも救うために

その数字は一つ一つの命に向き合わねばならないお医者様の
お気持ちと感じました。


これは感染症との戦い。
それは世界が否応なく投げ込まれた戦いです。
それを見つめる視点がないと、
先を見通せません。
ただ、
戦いと言いますものは、
ときに、
人の死をひどく無機質なものにいたします。

スケートリンクに運び込まれるご遺体、
トラックで次々と運び出されるご遺体、
命との別れを一つ一つ手順を踏んで進めていく余裕が消えた情景は、
無惨なものでございます。


死を厳粛に受け止めること、
それを許さぬ最たるものは戦争と考えております。
だからこそ平和は失ってはならぬと思っております。

感染拡大の恐ろしさの一つは、
この〝死の厳粛の喪失〟のように思います。

木原敏江さんの
「日なたへ日かげへのロマンス」の
こぞに、


「頭文字」の
青太に、



ぽろぽろと涙を溢しながら、
六割に達するというそのときまで
命を守るという心を
そのために急激な拡大を防ぐという視点を
大事にしたいと思いました。


画像はお借りしました。
ありがとうございます。



人気ブログランキング