9/14 (土) 10:06配信
香港・東涌で、ゴーグルを着け、つえを持ってデモに参加する
85歳の 「 ウォンおじいさん 」 ( 2019年9月7日撮影 )。
【 翻訳編集 】 AFPBB News
【 AFP=時事 】
「 ウォンおじいさん 」 はつえを頭上にかざし、催涙弾の発射を
やめるよう機動隊に訴えた──。
ウォンさんは、香港民主派デモの最前線でデモ隊を守っている。
デモ隊と警察の間に立ちはだかる 「 ウォンおじいさん 」
高齢のウォンさんだが、定期的に香港デモの衝突現場に
姿を現し、機動隊とデモ隊の間に率先して身を置く。
今や日常となった衝突を鎮めたいとの思いからの行動だ。
「 若者が殺されるぐらいなら、年寄りが死んだ方がいい 」
繁華街の銅鑼湾( Causeway Bay )で起きた一連の衝突の
合間にAFPの取材に答えたウォンさん。
頭からガスマスクをぶら下げながら、
「 私はもう年だが、子どもたちは香港の未来だ 」 と語った。
ここ3か月にわたって行われている大規模デモは、
時に暴力的な様相も呈してきた。
参加するのは若者が圧倒的に多く、一部調査によると、
参加者の半数は20~30代で、77パーセントが大卒だという。
ウォンさんと仲間の 「 チャンおじいさん 」 はデモに参加する
高齢者の中でも特に積極的だ。
2人が所属しているのは、「 守護孩子( Protect the Children ) 」
と呼ばれるグループで、そのメンバーの大部分を高齢者と
ボランティアが占めている。
ほぼ毎週末、警察とデモ隊の間に入り仲裁を試みるが、
警察が突撃すると分かれば、デモ隊のために時間稼ぎを
することもある。
■ 平和的な方法
銅鑼湾で催涙弾が再び飛び交い始めると、チャンさんは
ウォンさんの手をぎゅっと握った。
「 死ぬなら一緒だ 」 と叫びながら、衝突の最中に戻らないよう
ウォンさんを引き留めたのだ。
チェンさんはいつも、ヘルメットの代わりにスローガンが書かれた
目を引く赤い帽子をかぶっている。
守護孩子の主な目的は若者の保護だ。
しかしウォンさんらは、デモ隊に対しても警察を挑発しないよう
強く求めている。
「 香港の本質的価値は平和的な方法で守るべきだ 」
一連のデモで、これまでに12歳の子どもから70代の男性まで
1100人以上が逮捕されている。
多くは暴動の罪に問われており、10年の禁錮刑が科される
可能性もあるという。
ウォンさんは、抗議活動しかないと意気込む若者らの
気持ちを理解できると話す。
これまで何十年にもわたって、中国が公然と独裁主義を
維持しながら豊かになり、そして力をつけていく様子を
見てきたからだ。
守護孩子を主催するロイ( Roy Chan )さんは、高齢の
参加者を尊敬しているとしながら、その一方で高齢者たちが
このような場に出てこなければならない現状を残念に思うと
述べる。
「 人生の最後の数年間は家で快適な生活を送るべきだ 」
「 だが、彼らは戦いに加わり、若者を守っている 」
ウォンさんは銅鑼湾に現れた翌日、今度は空港近くで
行われていた抗議デモの現場に登場した。
そして、
「 ほら、子どもたちは家に帰るんだ 」
「 年寄りに面倒を見させてくれ 」 と声を上げた。
【 翻訳編集 】 AFPBB News