午前中、中村医師が福岡に帰って来られた。
お疲れさまでした。
心からゆっくりお休みくださいと申し上げたい。
忘れたくない中村医師の言葉
ペシャワール会会報
中村医師より
朝倉の水害は私達がマルワリード用水路流域で悩まされていた
パターンに酷似しており、現地ではいかに土石流や鉄砲水を
避けるかで、多大の労力を割きました。
日本は森の国です。
国土の三分の二を占める森林は、アフガニスタンの万年雪
にも比肩されるほど貯水能力が高く、河川水の安定に寄与
してきました。
しかし、終戦直後に植林された杉やヒノキらの針葉樹は、
今や森林の半分以上を覆っています。
一見美しい緑の山に見えるが、実状は荒れた人工造林は
役に立たない。
自然の雑木林と異なり、人工造林は手を加えていないと、
根が浅くなり、保安林として機能し難くなります。
それがあっけなく削り取られ尋常でない量の流水を生み、
凶器として人里を荒らしたことが印象に残りました。
更に飢饉こそないものの、日本での深刻な問題は里山の
衰退です。
長い目で見れば、本当に怖いのは郷土の荒廃です。
私達の先祖が営々と築いてきた郷土は単なる 「 日本の領土 」
ではありません。
そこで息づいてきた文化 --
自然と折り合って生きる知恵、多様性を許す寛容さの源泉であり、
受け入れる故郷です。
どうしていいかわからぬ時に、とりあえず戻れる拠り所、大地と
人間を結ぶ接点、それが伝統や文化であって、決して売り渡せ
ないものです。
郷土回復への真剣な努力が、今こそ必要なのは日本の方なの
かもしれないと思いました。
今や人工造林の問題だけではなく、村の鎮守の森や山さえ
他国企業へ売り払い、ソーラーパネルを造設し続けている。