初めての上海。

太平洋戦争前は欧米各国の租界が置かれ「魔都」と呼ばれた街。

 

今も中国最大の街の一つとして発展を続ける上海は、想像した以上に面白い街でした。

旧租界を中心に広がる市街は広く、黄浦江を挟んだ浦東地区には近未来的な超高層ビルが林立。

 

今回は中心部の観光スポットを巡りましたが、わずか3日では上海の街を理解することは無理のようです。

周辺にも沢山の観光スポットがある上海には、これからも途中下車を続けようと思います。

 

上海は広大

 

台北・香港・バンコク・ホーチミンなどを観光してきましたが、上海はズバ抜けて広大でした。

黄浦江を挟んだ両岸の中心市街地だけでも1日では回りきれません。

一番の見どころの外灘(バンド)・豫園と浦東地区だけでも1日がかり、最近注目の田子坊や旧フランス租界、旧日本租界の虹口などを回るなら3日あってもギリギリです。

効率良く観光するなら、南京路周辺など地下鉄駅から近いホテルに泊まりましょう。

周辺観光地を含む殆どの観光スポットには地下鉄を使っていくことができます。

効率よく観光するのなら、現地ツアーに参加するほうが良いかもしれません。

 

旧租界も広大

 

欧米各国の租借地と聞くと限られた狭い範囲を想像しますが、上海の租界は広大です。

旧市街地の全てが租界と言って良いほどで、各国が各々整備した特徴ある租界が延々を広がっています。

豫園のあるあたりが旧上海城だった中心部ですが、それを租界がぐるっと囲んでいます。

19世紀以降に整備された租界はヨーロッパ流の都市計画により整備されていて、街路樹のある整然とした街路と2〜4階建の集合住宅が特徴的。よく整備された都市公園も多くあります。

外灘地区は高密度な業務地区、周辺は大小の邸宅や集合住宅が集まる住宅地です。

 

豫園はスゴい!

 

上海中心部にある豫園。

伝統ある中国式庭園を中心に、周辺は観光客相手の商店が密集しています。

敢えて例えるなら東京・浅草寺と仲見世のようですが、こちらほうが規模が遥かに大きい。

観光バスで庭園側で下車して往復するだけでは判りませんが、庭園を中心として大小の土産物店が密集しています。定番の中国土産なら、ここが品数豊富で一番安いでしょう。

 

そして何より中国式庭園の豫園が凄い!

正直いって余り期待していなかったのですが、本格的な中国式庭園を初めて体験しました。

日本などにある中国式庭園とは全くの別物。さして広くもない敷地に人工の池や岩山を巧みに配置し、塀などの遮蔽物を利用することで、実際の面積以上の広がりと多様性を創り出す秀逸な技法。

園路を進む毎に様々に変化する眺め、各所に配された奇岩や繊細な彫刻などが飽きさせません。

多数の団体客で一日中混雑していますが、朝や夕方など若干空いている時間に、たっぷりと時間をとって鑑賞したい庭園でした。

 

縦横に走る地下鉄は東京にソックリ。

 

上海の街の地下には、ガイドブックによれば17本もの地下鉄が走っています。

全てが同一会社線なので乗り換え自由、郊外を含む上海の主要スポットを網羅しています。

この地下鉄、駅の構造や雰囲気、車両などが何故か東京の地下鉄によく似ています。

券売機・改札口・壁や天井の仕上げなど、特に車両がロングシートなところが、そう感じさせるのかもしれません。

路線網が複雑で、乗り換えの便が悪い駅が多いこともソックリ。他路線に乗り換えるのに延々と通路を歩くことも多いので、注意しましょう。

案内表示が簡字体ばかりなのも要注意。券売機などは英語表記にも切り替えられますが、中国語の発音に基づくローマ字表記なので、なお判りにくいのが不便です。

とはいえ運賃が安くて渋滞知らずの地下鉄は自由観光の強い味方です。

 

疾走する電気バイク

 

排気ガス対策なのか、上海の街中では電気バイクが沢山走っています。

それも古いガソリンバイクを改造した手作り感満載のものばかり。

この電気バイク、法的位置付けが曖昧なのか、歩道や歩行者天国を大きなクラクションを連打しながら疾走しています。

確かに上海の大気汚染は酷くて、浦東地区の超高層ビル群にはいつも霞がかかっていました。

 

繁栄と貧しさ

 

ごく最近開発された浦東地区はともかくとして、黄浦江西側の旧租界地区は新旧の上海が混在した街並みです。

再開発によって誕生した超高層ビルや高級コンドミニアムが目立つ一方で、租界時代の建築が沢山残っています。

特に中心部にも残る古い集合住宅には、古い上海がそのまま残っています。

街路に面した側には店舗が街区を囲み、その上が高層住宅、更に所々に街区の内部に入る路地があって、内部は古びた集合住宅が密集しています。路地の入口には厳重な鉄柵があり、夜間は固く施錠され、昼間は番人が住民以外の出入りを見張っている。そんな住宅が沢山あります。

そんな古い街区が延々と更地になって、新しいビル群を建設中なのが現在の上海です。

 

街の中心部の繁華街などで、浮浪者・ホームレスを頻繁に見かけたのは意外でした。

高級な欧州車が目立ち、ブランドショップが建ち並ぶ上海中心部に、貧しい身なりで蹲る浮浪者たち。

数十年前まで、共産主義国・社会主義国には貧富の差がなく、失業者も乞食もいないと日本の学校の教科書に載っていたものですが、経済の自由化が進んだ中国では、貧富の差の拡大が顕著なようです。

 

いつでも、どこでも大きな声は中国の文化

 

上海は観光都市。欧米やアジア各国から大勢の観光客が訪れます。

それに加えて中国各地からも大勢の観光客、制服で団体で観光する学生・生徒も目立ちます。

改めて感じたことは、欧米・日本とは違う中国文化。

数人で集まっていると、ホテルのロビーでもレストランでも博物館でも随分と大きな声で、ひっきりなしに話し続けます。子供は活発で、こちらも大きな声。

そんな耳元で大きな声は何故? 漢民族・北方民族に遺伝的に難聴が多いとの説もありますが、どうも眉唾。

 

長年にわたって欧米文化に同化しようと努力してきた日本人ですが、ほんの数十年前の海外旅行大衆化した頃に、パリやローマを闊歩した「ノウキョウの団体さん」がホテルや美術館で大声で話し笑う姿が嘲笑されたのを忘れてはいけません。

欧米文化とは異なる中国文化。

欧米流マナーが常識化した日本人には随分と迷惑な中国文化ですが、中華思想が根強い中国で、果たして欧米文化への歩み寄りはあるのでしょうか。