働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会 中間整理

2019年06月30日 | 雇用類似の働き方
2019年6月28日、厚生労働省「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」は、雇用類似の働き方に係る論点整理等を行うため、2018年10月から13回にわたり議論を重ね、これまでの議論の内容と今後の検討の在り方について中間整理としてまとめ、公表しました。

雇用類似の働き方に関する保護等の在り方について

(1)基本的な考え方、対象者について
現在の労働基準法上の労働者性(以下「労働者性」という)が認められない者に対する労働政策上の保護の在り方を検討する視点として、現在の労働者性が適当であるかを念頭に置いておくことは必要であり、継続して検討すべき課題であるが、労働者性の見直しは、これまでの労働者性の判断基準を抜本的に再検討することとなるため、短期的には結論を得ることは困難と考えられる。このため、当面は、自営業者であって、労働者と類似した働き方をする者を中心に検討することが適当。

検討に際しては、保護の必要性に関する考え方の整理が必要であり、引き続き検討が必要。
*本検討会では、交渉力や情報の質及び量の格差の存在、他人を使用せず個人で働き、その対償として報酬を得て生活している者である観点、自営業者の中でもより労働者に近い者である観点等が指摘。

上記の考え方も踏まえ、「雇用類似の働き方」として保護の在り方を検討すべき対象者については、発注者から 仕事の委託を受け、主として個人で役務を提供し、その対償として報酬を得る者を中心として考えることが適当。

その上で、保護の内容ごとに、対象者の具体的な要件を検討することが考えられる。

(2)保護の内容について
本検討会での議論を踏まえ、各検討課題について、3つに整理。

1.本検討会で優先的に取り組むべき課題
・契約条件の明示、契約の締結
・変更・終了に関するルールの明確化等
・報酬の支払確保、報酬額の適正化等
・就業条件
・紛争が生じた際の相談窓口等

2.専門的・技術的な検討の場において 優先的に取り組むべき課題
・発注者からのセクシュアルハラスメント等への対策
・仕事が原因で負傷し又は疾病にかかった場合等の支援(セーフティネット関係)

3.1、2の検討状況や雇用類似の働き方の広がり等も踏まえつつ必要に応じ検討すべき課題
・スキルアップ・キャリアアップ
・発注者との集団的な交渉
・セーフティネット関係-打ち切られた場合の支援等
 社会保障等、出産・育児・介護等との両立
・マッチング支援

(3)今後の検討について
これまでの本検討会での議論の内容を踏まえ、優先すべき課題を中心に、ガイドラインによる対応か、法的な対応かといった手法も含め、スピード感を持って検討を行うことが適当である。(「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」中間整理概要より抜粋)

紛争が生じた際の相談窓口等
紛争解決支援については、契約条件の明示等の紛争の未然防止のための措置と一体的に検討することが必要であり、実効性のある紛争解決制度について、優先的に検討を進める必要がある。

その際には、本検討会において以下のような議論があったことを踏まえ、引き続き検討することが適当である。

紛争が生じた際の相談窓口や簡易な方法による紛争解決制度については、
・現在でも、取引に関する相談に関して下請かけこみ寺の利用は可能と考えられるが、雇用類似の働き方におけるトラブルは「取引」に関する 相談に限らず、ハラスメントのような人間関係に伴うトラブルも想定 されることから、何らかの支援が必要ではないか

・円滑な問題解決のためには、法的な拠り所が必要であり、報酬の不払い、契約の打ち切り等に係るルールが必要といった意見があった。 その他、トラブルの典型例とそれに対する対処方法等の公開や一般的な法的紛争機関、相談窓口等の周知が有益ではないかといった意見があった。((雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会・中間整理より抜粋)

発注者との集団的な交渉
発注者との集団的な交渉に関しては、
・雇用類似等の多様な働き方が増加すると、これまでとは異なる労使関係の在り方となっていくのではないか

・団体交渉が理論上可能かどうかと、実態上仲間を見つけられるかどうかは分けて考える必要があるとともに、どの程度機能するかも考えておかなければならないのではないか

労働組合法上の労働者に該当する者については、労働組合として団体交渉等が可能であるが、その点が知られていないのではないか

・中小企業等協同組合法において、事業協同組合等による団体交渉が可能であるが、労働組合法とは実効性の確保手段が異なるのではないか

・原則として独占禁止法上の問題とならないとされる労働組合や事業協同組合等による団体交渉の類型等について、理解の促進が必要では ないかといった意見があった。

こうした議論を踏まえ、両制度の趣旨の違い等も踏まえつつ、必要に応じ検討していくことが適当である。(雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会・中間整理より抜粋)

「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」中間整理(厚労省HP)

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