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「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉔

2023-04-23 15:58:49 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉔

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

環境経営士Ⓡのホームページは「環境経営士」で検索をお願いします。

又はhttps://www.compact-eco.com/ で検索をお願いします。

 

(参考)「骨太方針」(2022年6月7日閣議決定)

(4)グリーントランスフォーメーション(GX)への投資

脱炭素社会の実現に向けた官民連携の取組を一気に加速し、エネルギー安全保障の確保に万全を

期しながら、国内投資を拡大しつつ新たな成長のフロンティアを開拓する。

2050年カーボンニュートラル実現を見据え、官民連携の下、脱炭素に向けた

経済・社会、産業構造変革への道筋の大枠を示したクリーンエネルギー戦略中間整理に基づき、

年内にロードマップをとりまとめる。

今後10年間に150兆円超の投資を実現するため、成長促進と排出抑制・吸収を共に最大化する効果を

持った、「成長志向型カーボンプライシング構想」を具体化し、最大限活用する。

同構想においては、150兆円超の官民の投資を先導するために十分な規模の政府資金を、将来の財源の

裏付けをもった「GX経済移行債(仮称)」により先行して調達し、複数年度にわたり予見可能な形で、

速やかに投資支援に回していくことと一

体で検討していく。

また、「規制・支援一体型の投資促進策」として、省エネ法 などの規制対応、水素・アンモニアなどの

新たなエネルギーや脱炭素電源の導入拡大に向け、新たなスキームを具体化させる。

加えて、企業の排出削減に向けた取組を加速させるためのGXリーグ(脱炭素化やカーボンニュートラルを

含む経済社会システム全体の変革の取り組みに関する基本構想)の段階的発展・活用、民間投資の呼び

水として、トランジション・ファイナンスなどの新たな金融手法の活用、アジア・ゼロエミッション共同体などの

国際展開戦略も含め、企業の投資の予見可能性を高められるよう、具体的なロードマップを示す。

こうした新たな政策イニシアティブの具体化に向けて、本年夏に官邸に新たに「GX実行会議」を設置し、更に

議論を深め、速やかに結論を得る。

 

(参考)新しい資本主義「実行計画」(6月7日閣議決定)

(1)GXへの投資

(略)官民連携の下、脱炭素に向けた経済・社会、産業構造変革への道筋の大枠を示したクリーンエネルギー戦略

中間整理に基づき、本年内に、今後10年のロードマップを取りまとめる。

①新たな政策イニシアティブ

国際公約達成と、我が国の産業競争力強化・経済成長の同時実現に向けて、今後 10年間に官民協調で150兆円規模の

グリーン・トランスフォーメーション(GX)投資を実現する。(略)

このため、政府は、規制・市場設計・政府支援・金融枠組み・インフラ整備等を包括的に「GX投資のための10年

ロードマップ」として示す。そのロードマップには、(略)、新たな5つの政策イニシアティブを盛り込む。

ⅰ)GX経済移行債(仮称)の創設

ⅱ)規制・支援一体型投資促進策

ⅲ)GXリーグの段階的発展・活用

GXリーグについては、約440社(我が国のCO2排出量の4割以上)の賛同を得て、本年度中に試行を開始し、来年度から

自主的な排出量取引の推進やカーボンクレジット市場の整備を含め本格的に取組を実施する等、将来的に大きく発展させ

る。

ⅳ)新たな金融手法の活用

国による大規模かつ中期・戦略的な財政出動等を呼び水として、世界のESG資金を呼び込む。グリーン・ファイナンスの

拡大に加え、トランジション・ファイナンスや、イノベーション・ファイナンス等の新たな金融手法を組み合わせる。企業の

情報開示の充実に加え、ESG評価機関の信頼性向上やデータ流通のための基盤整備等を行う。

ⅴ)アジア・ゼロエミッション共同体構想など国際展開戦略

以上のⅰ)~ⅴ)について、その具体化に向けて、本年夏以降に官邸に新設する

「GX実行会議」において議論・検討した上で、速やかに結論を得る。

 

今回のシリーズを終えて

24回シリーズでカーボンニュートラル-TCFD-トランジション・ファイナンス

についてお送りしました。

環境経営士としてこれからの基礎になる情報と考えます。

私を含めてですが今後2030年そして2050年までの日本国の基礎だと考えます。

 

 


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉓

2023-04-23 15:56:59 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉓

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

環境経営士Ⓡのホームページは「環境経営士」で検索をお願いします。

又はhttps://www.compact-eco.com/ で検索をお願いします。

 

トランジション・ファイナンスに関するロードマップのポイン

⚫ ロードマップは、①網羅性、②野心性、③実効性により信頼性を担保

網羅性 日本の排出量の7割弱をカバー

野心性 2050年のカーボンニュートラル実現

実行性 ロードマップの実現を政策で担保

NDC(2030年46%減)、長期戦略、グリーン成長戦略、エネルギー基本計画、グリーンイノベ

基金における研究開発・社会実装計

画等、各種政策の裏付けにより実現性を担保。加えて、これらの政策は国際競争力の向上も意図している。

 

トランジション・ファイナンスモデル事業

⚫ 経済産業省では、黎明期にあるトランジション・ファイナンスの市場形成につなげることを目的として、

モデル事例の募集・採択と、その事例に対する外部評価機関のコスト支援を実施。

12件のトランジション・ファイナンスに関するモデル事例を選定

本事業の背景と目的

✓ クライメート・トランジション・ファイナンス(以下、「トランジショ

ン・ファイナンス」)の黎明期にあり、健全な市場形成に向けて、まずは事例を積み上げていくことが重要

✓ 本事業を通じて、モデル事例を積み上げ、その情報を発信することで、トランジション・ファイナンスを

 普及を促進ロードマップとの関係

✓ 経済産業分野におけるトランジション・ファイナンス推進のためのロードマップ策定検討会で策定したロー

 ドマップ等を活用して個別事例のトランジション・ファイナンスとしての適格性を確認モデル事例の採択方法

✓ 有識者で構成されるモデル性審査委員会(第3者委員会)を設置し、対象事例について適格性等を審査

⚫ モデル事業では2022年3月時点、12件の事業をモデル事例として採択

日本の大企業

 商船、化学、重工業、航空会社、ガス、電力、鉄鋼

✓ トランジション・ボンドであることは、中央投資家の投資検討を後押ししている

✓ 中央投資家の大宗はトランジション・ボンドへの投資をESG投資として整理

しているものの、地方投資家ではそもそもESG投資自体を整理していない

等の理由で「トランジション・ボンド=ESG」とする投資家は6割に留まった

 


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉒

2023-04-03 15:53:39 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉒

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

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「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」のポイント

⚫ 「基本指針」は、トランジション・ボンド/ローンとラベリングして、商品化するために考慮

 すべき、基本的な考え方をまとめた手引き

⚫ トランジション・ファイナンスでは、脱炭素に向けた企業全体のトランジション戦略が重要で

 あることを明記。

⚫ また、脱炭素に向けた経路が、科学的根拠に基づいたものであることも必要。

ポイント

⚫ 脱炭素に向けた企業の「トランジション戦略」やその戦略を実践する信頼性・透明性を総合的に

 判断。

⚫ トランジション戦略は、科学的根拠に基づいたものであるかを示す必要が

ある。

⚫ 本指針では、国際的に認知されたIEA等のシナリオに加え、パリ協定と

整合的な各国のNDC、業種別ロードマップ等を参照。

 

(参考)鉄鋼分野①|技術ロードマップ

   省エネ・高効率化技術:AI/IoTの活用/排熱・副生ガス回収/廃棄物の燃焼利用(プラ、タイヤ等)

 /スクラップ活用/次世代コークス/効率性向上のためのコークス炉改修/高効率発電設備 等

(参考)鉄鋼分野②|技術ロードマップ

    高炉法 連鋳・圧延 電炉 直接還元法

     それぞれに 研究開発 実証 実用化・導入に具体的スケジュールあり

     実証は2025~2030 導入は2050年となっている。

(参考)鉄鋼分野③|科学的根拠/パリ協定との整合

⚫ 本技術ロードマップは、2050年カーボンニュートラルの実現を目的とした我が国の各政策やパリ協定と

 整合している。

⚫ 我が国鉄鋼業の競争力を維持・強化しつつ、着実な低炭素化と革新技術の実現・導入により、2050年

 カーボンニュートラルを実現していく。

2020~2030

既に我が国鉄鋼業は世界最高水準のエネルギー効率を達成しているが、引き続き、

高炉法の省エネ等による着実な低炭素化を図っていく。また、需要が見込まれるエコプロダクツ等、競争力の

源泉である高級鋼を生産。その収益をもとに、将来的な脱炭素技術の研究開発・実証に取り組む。

2030~2040

更なる省エネ・高効率化に加え、COURSE50等の新技術を導入。

また、研究開発・実証を継続し、脱炭素に向けた革新技術の確立を目指す。

2040~2050

水素供給インフラやCCUS等が整備されることを前提に、水素還元製鉄等の革新技術の導入により、2050年に向けた

CO2の大幅な削減により、カーボンニュートラルを実現。


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉑

2023-03-23 15:51:20 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ㉑

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

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トランジション(移行)概念の重要性

⚫ EUでは、ファイナンスに係る「タクソノミー」(分類体系)を策定し、環境的に持続可能な

 経済活動(いわゆる「グリーン」)を定義。事業会社に対し売上におけるグリーン比率の開示を、

 金融機関に対し自らの貸出債権等の金融資産のグリーン比率の開示等を義務づけ。気候変動の緩和・

 適応に係る目的のものは2022年1月1日から適用。

⚫ 一方で、全ての産業が一足飛びに脱炭素化できないのも現実。我が国は、脱炭素化に向けてのトラン

 ジション(移行)の概念を提案し、世界に先駆けて具体的な制度整備を進めている。

 

クライメート・トランジション・ファイナンスの重要性と政策の全体像

⚫ パリ協定実現のためには再エネを中心とする「グリーン」のみならず、省エネやエネルギー転換など

 着実な低炭素化を実現する「移行(トランジション)」が重要。

⚫ トランジション市場は未だ黎明期であり、民間での資金供給に向けた環境整備が必要。

⚫ トランジションの概念形成、ファイナンス促進のために、2021年5月に基本指針を策定。トランジションの

 適格性を判断するためのロードマップの策定とモデル事業を実施。

(1)基本指針の策定

✓ トランジションへの資金供給・調達を確立を目指し、国際原則と整合的な国内向

けの指針を策定(経産省、金融庁、環境省)。

(2)ロードマップの策定

✓ トランジションの適格性を判断

するための参考として、経済産業省において有識者等による検討会を設置し、CO2多排出産業向けの分野別

 ロードマップを策定。

✓ 2050年カーボンニュートラルを前提に、現時点で実用可能な最良技術から将来技術まで、我が国の政策、

 国際的な動向、パリ協定との整合を踏まえ策定。

✓ 2021年度は鉄鋼、化学、電力、ガス、石油、紙パルプ、セメントの7分野を策定。2022年度は自動車分野を

 策定予定。

(3)モデル事業

✓ トランジション・ファイナンスの普及のため、好事例の蓄積、発信を行うためモデル事業を実施。

✓ モデル選定案件はトランジションの適格性を判断する外部評価機関に要するコストの最大9割支援。

✓ 2021年度は12件のモデル事例を選定、調達金額(予定を含む)は約3,000億円。


「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑳

2023-03-13 15:49:12 | SDGs・CSR・環境経営

「カーボンニュートラルCN・TCFDとトランジション・ファイナンス」シリーズ⑳

7月に開催した環境経営士対象フォローアップセミナーのテーマは「カーボンニュートラル

CNに向けた日本の政策」副題として2050CN実現に向けた金融施策-TCFD-トランジション・

ファイナンスでした。講師は国の政策立案者の講演からです。

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TCFD賛同機関数の推移

⚫ 我が国のTCFD賛同機関数はTCFDコンソーシアム設立を境に世界最多となり、その後もTCFDサミット

 (グリーン投資ガイダンス公表)等、各種施策により着実に増加。

2022年6月 日本997社 アメリカ418社 イギリス456社

 

2050年ネットゼロの実現に必要な投資額

⚫ IEAによれば2050年ネットゼロ排出の実現に向けて、2050年までに2020年から世界全体(累計)で

 約140兆ドル(1.67京円)の投資が必要と試算。

⚫ 世界規模での地球温暖化対策に対して、どのように資金供給をしていくかが課題

 

サステナブルファイナンスを巡る動向

⚫ パリ協定実現に向けて、世界全体でCO2削減のための莫大な投資が必要。政府の直接支援だけでは

 不十分であり、サステイナブルファイナンスの役割は重要。ESG投資への関心の高まりを背景に2020年

 には投資総額が35.3兆ドルまで拡大。

⚫ ESGの中で、気候変動にかかるグリーンボンドの発行額も2,699億ドルまで拡大。ただし、グリーンボンドの

 発行は、エネルギーや建設分野等が主流となっており、CO2多排出の産業分野での発行はわずか。

⚫ 2050年カーボンニュートラル宣言の実現に向け、様々な分野で気候変動対策を行うためのファイナンスは

 重要な政策課題