今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。
好きなピアニスト、藤田真央のツイッターに、彼が自宅で弾く演奏動画がアップされた。
動画はこちら。
Mao Fujita 藤田真央@DeBay1128コンサートや音楽祭の中止が続きますが、感染が拡大する事なく安心できる日々が戻って来ることを祈るばかりです。おうちでコンサートしてみました😄 シューマン:子供の情景より第12番「眠っている子供」 #おうちで真央 https://t.co/PotgZ1ORTg
2020年03月28日 21:22
Mao Fujita 藤田真央@DeBay1128不安な日々が続きますが、またコンサートが開催される日を楽しみに毎日勉強の日々です。 今日はショパン作曲 3つの新しいエチュード第2番 変イ長調です😄 #おうちで真央 https://t.co/w62xqdFjYQ
2020年03月31日 21:39
曲目は、上側がシューマンの「眠っている子供」、下側がショパンの「3つの新しいエチュード」第2番 変イ長調。
自宅での録音ということで、音質もピアノの状態も最上とは言えないけれど、くつろいだ様子が伝わってくるのが良い。
特にショパンの新エチュード第2番は、ショパンのエチュード全27曲の中でも一番好き、といったら言い過ぎかもしれないけれど、それくらい好きな曲。
和音連打と倚音がひたすら連続するシンプルな書法でありながら、かくも繊細に感情の襞を表現できるか、とショパンの手腕に感嘆するほかない隠れた名曲である。
優しい曲調が藤田真央にぴったり。
彼の弾くこの曲の個人的な「萌えポイント」は、中間部から再現部へと流れ込むところ。
動画でいうと、1:00~1:20あたり。
ここで彼は、(この曲において私の好きな演奏家である)コルトーやロルティといった大家でさえしていないような、濃厚な表現をする。
ここの絶妙なタメの取り方、ふっとテンポを落とすその仕方、左右の手のわずかなずらし方、そして低音部の活かし方。
濃厚なのにいやらしさのない、ロマン的な感性の優しい飛翔である。
冒頭ではここまでやらず、もっとさらりと弾いて、再現部で初めてここまでやる、というのがまたニクい。
天性のセンスなのだろう。
彼をはじめ、たくさんの音楽家たちが最近こうしたプライベートな演奏動画をアップし、新型コロナウイルスの影響でコンサートを聴けない私たち音楽ファンを元気づけてくれている。
ありがたい限りである。
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