高齢者の住まいとインテリア

数年前、高齢の母の部屋をリフォームしました。
主に断熱改修とクローゼットの新設、和室から洋室へのリフォーム工事です。


ご覧の通り、インテリア的に特に映える要素はありませんが
母はこのお部屋をとても気に入ってくれています。

父が亡くなって数年後のリフォームで、父のベッドを処分したぶん、お部屋を広く使えるようになりました。
そこで、机を新たに加え、書き物をしたり、本を読んだり、趣味の手芸をしたりできるようにしました。

寝ること以外の使い道をプラスしたことで、この部屋は【寝室】から【自分の部屋】になりました。
散らかそうと、何しようと自由な部屋です。

母の部屋をリフォームして数年経ちましたが
母の気持ちがあの頃よりわかるようになりました。
これまで何百件もの住まいをコーディネートしてきましたが
クライアントの多くは30歳代40歳代で、
私自身がとうにその年齢を過ぎ、ようやっと、母世代の年齢の心や体の変化に気づけること、わかってあげられることが増えてきたように思います。


このお宅は90歳を超えた方のお宅で
玄関ホールにカーテンを取り付けさせていただいた案件です。
カーテンを取り付け終わったとき、この方は
「これで安心だわ」とおっしゃいました。

それまで、「素敵になった」とか「嬉しい」と言われることが多く
開口一番「安心だわ」と言われたことがなかったので、とても印象に残っています。

この時私はカーテンだけでなく【安心】をお渡しできたのだな、と思いました。

30年この仕事をしてきましたが、高齢者の住まいに関してはまだまだ経験不足です。
機能や設備を充実させることも大事ですが、心にもたらす安心や幸福感を
インテリアコーディネートで叶えてみたい。

高齢者のお住まい、インテリアデザインの特性をもっと勉強しなくては。
来年は積極的に取り組みます。

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