「ボイス 110緊急指令室」第1回感想 | 感想亭備忘録

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アイデアはとてもいいと思います。

音声、会話、雑音。音だけから状況を推測し緊急事態を解決に導く。推理モノの形体として新しく興味深く感じました。

冒頭の追い詰められた女性を救えなかったシーンはその期待に応えるだけの迫力と緊張感があったと思います。

同時進行のアクションシーンはとんでもなくチープで雰囲気ぶち壊しではありましたが…。

 

かなり面白そうな題材ではあるのですが、初回はチープなアクションシーンだけでなく、問題点がありました。

一番気になったのが、クライマックスです。被害者が今まさに犯人に襲われているそのタイミングで、延々その犯人が単なる誘拐犯じゃなく連続殺人という重大犯罪の容疑者だということを演説するのですが、それ必要でしょうか。単なる誘拐犯であれ連続殺人鬼であれ、今通報者が襲われているのですから、それを解決に導くように推理、指示するべきシーンなんじゃないでしょうか。

現場の刑事に言われて初めて監禁場所の手掛かりについて考えだすとか優先順位がおかしすぎます。

 

それに次回への引きのつもりか、事件を解決せずに終わってしまいましたがこれもダメです。事件モノである以上一話完結を求めてみているのです。きちんと解決してほしいところですし、それよりなにより今回のラストシーンを見る限り何をどうしても間に合わない状況ですよ。犯人がハンマーを振りかぶって、まさに撲殺しようとしている瞬間に、刑事は建物にたどり着いてもいない描写でした。どうするんでしょう。なんらかのSF要素でも入れない限り絶対助けられないタイミングですが。

 

事件がどのように収束するのかはまあ次回を楽しみにすることにして、もっと生の通話で拾える音声から推理を広げて真実を突き止める、という部分を丁寧に作ってほしいところです。

緊急指令室という興味深い題材をきちんと生かした脚本になることを願っています。