映画「コーヒーが冷めないうちに」感想 | 感想亭備忘録

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4回泣ける映画、ということで見てみました。

レビューには「全く泣けない」とか「つまらない」とかの酷評もありましたが、自分はもともと涙もろいほうなので(笑)充分泣きました。

 

四つのお話が連作短編のように描かれていたのですが、原作がそういう作りだったんでしょうか。

 

まず印象に残ったのは、時間をさかのぼるシーンです。

タイムトラベルものなのですが、大きな水槽の中を落ちていくような演出でとても美しい映像でした。この演出を思いついただけでこの映画は価値があったんじゃないかと思えるぐらい素敵でした。

 

物語は、波留さんと林遣都さんの男女のお話、薬師丸ひろ子さんと松重豊さんの夫婦のお話、吉田羊さんと松本若菜さんの姉妹のお話、有村架純さんと石田ゆり子さんの母娘のお話の4つです。

 

波留さんのお話は一つ目ということもあって軽いラブコメ的な展開。さすがにこれで泣いたらちょっと泣きたがりすぎだと思うのですがそれでもさわやかでいいお話だったと思います。

薬師丸ひろ子さんのお話はこれはどっぷり泣けます。ああ、いいなあと素直に思えるお話ですが、実際自分の身に起きたら松重豊さんのように思い遣れるのか全く自信がありません。

吉田羊さんのお話は、吉田羊さん演じる姉の後悔や自責の念が痛切に感じられて辛い物語ではあるのですが、悲しみを抱えて前向きに生きようとする爽やかさも感じられました。

オムニバス形式なのでどのお話もそこまで深く抉るような物語ではないのですが、そのサラッと感がある意味リアリティがあるようにも思えました。

 

問題は主人公である有村架純さんの物語です。クドイ上に解決がご都合主義なところもあり、なんかもうひと捻り欲しかったなあと思ってしまいます。かなり尺を使った割にはトリック的にも意外性はなくなんかもったいない感じでした。

 

ということで僕はこの映画で2回泣けました、ということです(笑)