最終回までしっかり楽しめました。
素晴らしいドラマだったと思います。基本的には刑事のバディ物の王道に忠実な作りでした。冷静な切れ者と熱血漢のコンビが相いれないところがありながらも事件を通じて相棒として成長していく。志摩(星野源)と伊吹(綾野剛)、加えて陣馬(橋本じゅん)と九重(岡田健史)もこの組み合わせですね。
笑いとシリアスのバランスも良く、和ませるところと緊張させるところの配分が絶妙でした。何か新しいドラマの形を提示した、というわけではありませんが基本に忠実にやればここまで面白いものができるんだ、という証明になったのでは、と思います。
最終回で賛否が分かれるのが恐らく、あの違う世界線というか夢落ち的な展開ではないでしょうか。衝撃的な画を見せておいていや実はあれは、とやるのはあまり良い手ではありませんが…。
誰と出会うか、どんな決断をするか、些細なことでスイッチが切り替わり良くも悪くも人は変わってしまう、というバックボーンを持つこのドラマではこの表現方法は「あり」だと思う…んですが、ちょっとスイッチの描き方があまりにも他力すぎるというか納得できないというか。陣馬が目覚めるかどうかで変わってしまうなら本人たちの意志や決断なんて意味がなく、ただ神様のきまぐれな采配で人は変わってしまう、というようにも取れます。
それはまざに最終回で菅田将暉演じる久住が話していた事そのものじゃないんでしょうか。どうせ人なんて何をどうしてもどうしようもないことがある。すべてを押し流してしまう神の意志の前に人間は無力なんだ、みたいな諦観とも世界への憎悪ともつかない想いを肯定してしまっているような気もします。
そしてその菅田将暉さんは最終回、まさに圧巻でした。虚無そのものとでもいうべき人格の破綻した人間を明るく不気味に演じたあの演技力はやはりただモノじゃないですね。いつか野木亜紀子さんの脚本で菅田将暉さん主演でなんかやってほしいです。どんなものが出来上がるのかワクワクします。
色々考えさせられる最終回ではありましたが、全話通して充分見ごたえのあるそして面白いドラマだったと思います。次クールのドラマもこの水準であることを祈りたいです。