Spiritual Journey【1】運命の出逢い
新しい仕事を始めて1ヶ月弱。新しく加入した3人のアメリカ人を駅に迎えに行き、これから彼らの宿舎になる1Kの小さなアパートへ送るというのがその日の私の仕事だった。
1人は若いイケメン、もう1人はチャラ男、そして残る1人は大人しそうなベビーフェイスの大男。いわゆる一目惚れ的な、雷に打たれる衝撃はどこにもない位印象のない出逢い。
それより私の心配は、これから彼らが目の当たりにするアパートの狭さ。きっと文句が出るだろうし、私がアパートを決めたわけじゃないんだから私に文句を言わないで欲しいなぁ.....言われたら面倒だな....といった感じの仕事ぶり。
まさかこの出逢いが私の人生を180度変えてしまうとは夢にも思わず、その「運命」に気づいたのはこの出逢いから1年以上経ってから。
それまでの私は、長い間アメリカに住んでいたので、周りからは「行動力がある」とか「バリバリやっている」とか見られていたけど、10年のアメリカ生活を終了して日本へ戻ってきた私の中身は空っぽで、何をするにも自信のかけらはこれっぽっちもなかった。
プロの仕事師としての「知識」はあっても、自分の中に芯がない状態。だから、自己主張は出来ても、相手の意見に合わせて歩み寄るという方法もしない。故にコミュニケーションも上手く取れないので、仕事はうまく回らない。当時は相手が悪い位にしか思えない視野の狭さ。例えるなら、物事を目の前にある小さな覗き穴から覗いている感じで、全体図が見えない状態。
そんな状態を軽減してくれたのが、ベビーフェイスの大男トニーと、数週間遅れで加入した凶悪犯ばりなコワモテのプロフィール写真で、迎え入れるのにドキドキしたけど中身は超が付くほど誠実で紳士だったボビー。
アメリカ人の身の回りの世話をするのも仕事のうちだったので、何かと用事を言われて彼らと行動をするのは楽しみの一つだった。
ある時、いつもの様に練習終わりにトニーの用事に付き合っていたら、トニーからの質問攻めに合う。
「君は黒人の友達はいるのか?黒人と付き合った事はあるのか?」
「君のこの車はローンなのか?直ぐに手放すことは出来るか?」などなど矢継ぎ早な質問。
そもそも恋愛が苦手で「誰も私の事なんて好きになる人はいない」と言葉の魔法を長年かけていた私にも分かりやすい位のアプローチをしてきたトニー。数回恋愛に失敗してから、それまではアプローチをアプローチと気づかず、デートをデートだと気づかない位残念すぎる女性を生きてきた。
自分に恋愛が出来ないように呪文をかけていた上に、恋愛がオープンなアメリカ人の教授からでさえ「自分が担当している選手との恋愛はご法度」と言われており、ましてその辺の感覚は超日本人だった私は選手との恋愛はありえないと思っていた。
「いやいや、君はもっと若くて可愛い子を探しなさいよ」と心の中で、喜びながらもそれをトニーに伝える事はなく、やり過ごしていた。その後もトニーの妄想アプローチは何ヶ月も続き、ボビーもトニーを陰で応援する形で寄り添ってくれた。トニーが好意を持ってくれているとう事と、ボビーも常に私の味方でいてくれた事がこの先続いた闇のトンネルをうっすらと灯してくれる燈となりました。
第1段階:認識(出会い)
出会ってすぐにお互いを魂レベルで認識し、以前にもどこかで会った事があるように感じます。
シンクロニシティな出来事が起こります。
ハートチャクラは開き、両者は一時的に霊的な目覚めを経験します。
それぞれの魂を目覚めさせ、お互いの意識をより高いレベルに引き上げます。
男性側が一目惚れするケースが多いようですが、可愛いとか好みのタイプというよりも、出会った瞬間愛おしく思えるような不思議な感覚であるようです。生まれ故郷に帰ってきたような、とても懐かしく心地の良いものです。一時的に天国を垣間見る時期でもあります。