11月9日には一時1,966ドルを記録していたNY金でしたが、特にこの1週間で4か月ぶり安値にまで下落しています。
NY金が下落する間、ダウは史上初の3万ドル乗せ、ユーロドルは7月以来の高値を記録、実質金利は再びマイナス0.9%を下回るなど、NY金にとって強材料が並んでいます。
確認すると、明らかに「11月20日」以降は、ダウ、ユーロ、債券が買われ、NY金は売られる展開に、逆相関の動きです。
このように、全体的に上がるはずなのにNY金だけ置いてけぼりの動きを見ると、考えられる可能性は「大口投機玉によるロスカット」。
いったい、どれくらいの規模の投げが発生したのでしょうか。
CFTC発表による、建玉明細を参考にします。
米商品先物取引委員会(CFTC)
CFTCとは"U.S. Commodity Futures Trading Commission"の略で、米商品先物取引委員会のことです。
米国内での先物取引を監視する権限を持ち、取引参加者の保護に努めています。
CFTCは各取引所に各々の上場商品の建玉明細を公表するように義務付けており、毎週金曜日にその週の火曜日時点の参加者別建玉明細"Commitments of Tradersを公表しています。
当サイトでも金、銀(COMEX)、白金、パラジウム(NYMEX)、最近は米10年債(CBOT)を掲載しており、主に大口投機玉買い越しポジションを表示しています。
ロングが増えると資金流入を示しており価格は強含む傾向(後の弱材料)、減るとその逆です。
(2017年10月30日「CFTC建玉明細とは?」より)
参考までに、これまでの記録を掲載いたします(2017年12月18日記事より)。
・2017.12.05→12.12(173,329枚→107,068枚) -66,261枚
・2016.05.17→05.24(266,288枚→206,632枚) -59,656枚
・2017.11.28→12.05(224,417枚→173,329枚) -51,088枚
・2016.10.04→10.11(245,508枚→195,219枚) -50,289枚
・2016.09.27→10.04(291,904枚→245,508枚) -46,396枚
・2011.08.02→08.09(247,175枚→203,573枚) -43,602枚
<参考>2017年末から2018年夏にかけてのNY金大口投機玉買い越し推移
大規模な投げが発生すると、価格へも影響が出そうです。
2017年末のケースでは、大口投機玉による投げは2週間続き、その後急速な買い戻しが見られました。
今回は実際に「投げ」が発生したのか?
今朝発表された先週11月24日終了時点でのNY金大口投機玉買い越しは、次のようになっています。
243,902枚(前週比-7,368枚)
大規模な投げは見られませんでした…。
そもそも「連動していないのでは…」というご指摘もいただいておりますが、1,800ドルまでの下げ過程で、大きな投げは観測されていません。
取組にも大きな変化は見られません。
ファンドが投げた場合は、2017年末の経験から買いポジションを検討する必要があります。
今週はいよいよ1,700ドル台へ突入、さすがに投げが予想されます。
大口投機玉が投げるとすればこれからなので、引き続きCFTC建玉明細に注目しましょう。
お読みいただき、本当にありがとうございます。
清き1票をよろしくお願いいたします。
お問い合わせ Tel:06-6267-2761(平日08:00~17:00)
日本フィナンシャルセキュリティーズ㈱ 谷本 憲彦
商品アナリスト・東京商品取引所認定(貴金属、石油、ゴム、農産物、オプション)、証券一種外務員