中年空手百条委員会の有明省吾です。みなさん、いろいろと動画を見る機会があろうかと思いますが、忙しい日々のなか、動画を見ている数分間を稽古時間にしてみるというのはどうでしょうか。

 世間でよく言われるのは「イメージトレーニング」ですね。リラックスしながら動画を見る。私は上記の動画をイメトレで繰り返し見ています。まず私が生きているうちには到達できそうもない達人の組手です。フィリヨと松井といえば、いっときの極真の頂点を極めた人たちですからね。どっちも世界大会、そして、100人組手を達成しています。

 この通りに組手をするなんてことは不可能に近いことですが、こういう一流の動きをイメージとしてしっかりと焼きつけておくいことは重要です。いうなればこれは北極星みたいなもんです。進路の目標です。(たどり着くことはありませんが・・・・・・・・)

 しかし、天才的な蹴り技は無論として、松井の紙一重の見切りは神技ですねえ・・・・・フィリヨの後ろ回しを紙一重で見切るところなどはシビれます。現役時代は「合わせ技(カウンター)」の達人として有名でしたが、いまこんなきれいな合わせ技を出せる選手は数えるほどしかいないのではないでしょうか。

 また、ガードの技術はまさに教科書です。そして、本当に怖いところは、相手をコントロールしているところですね。あのフィリオですら、微妙にコントロールされる場面があるのはさすがです。ここでいうコントロールとは、一瞬下を見てから上段蹴りを出すというフェイントから始まり、
自分が上下運動することで、相手もつられて上下運動を始め、伸びきったところを回し蹴り、後ろ回しで狙うなど、はた目で見ていてよくわからない技術を使って相手をコントロールしているところです。絶対にまねのできるものではありませんが、この方向へ向かって進めというイメージができあがり、組手が少しづつ変わってきます。



 また、こちらの動画は、最近発見したものですが、東恩納盛男先生の指導風景です。私はパソコンの部屋を片付け、この動画を見ながら一緒に稽古をしてみました。時間はわずか9分程度ですが、これだけで汗をかいてしまいます。で、一休みしてから、さらに9分この稽古を繰り返します。これで相当汗をかきますが、最後にもう一回、9分間、この動画と一緒に稽古します。この反復練習が実にいいですね。技が自然に身についてきます。あっという間に30分が経過しますが、道場稽古のいいところを自宅で経験できます。それはつまり、号令に合わせて一斉に動くことで、マイペースを排除できるということです。自主稽古では、ときとして気が緩みがちになりますが、このような道場稽古を動画で見ながら一緒に動くというのは私のような意志薄弱な人にはもってこいですね。

 何より東恩納先生の指導を直接受けている気分になれるのがとてもいいです。また、こうした他流派の動きっていうのは、なかなか体験できません。こうして自分の流派の動きの意味を比較しながら理解することができるのも、こうした動画稽古のメリットです。妙に細かい解説がついているものよりも、道場の稽古を淡々と映しているような動画がとてもいい気がします。一緒にとにかく動きながら覚える気持ちでいくと、実際とても身になります。

 ご承知の通り、私はかつて空手通信教育を受けておりました。あのテキストをみながら稽古するというのは実に難儀なものでしたが、そういう経験があるだけに、動画稽古はもう完璧に思えるのです。むろん、組手などの稽古はなかなか動画では難しいでしょうが、それはイメージトレーニングで補うにせよ、基本稽古については、こういう動画とともに取り組んでみてはいかがでしょうか。ご自分の流派のものでもよし、いっそ他流を経験するもよし、極めて自由度の高い、楽しい稽古の一つになるのではないかと思います。

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