RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)はAI、機械学習といった高性能な認知技術を用いて、業務の自動化や効率化を行うソフトウェアです。ロボットと言ったのは、自動的に行うのでそういう言葉を用いたもので、PCの操作の自動化を行うもので、実際のロボットがあるわけではない。新しい概念であるが、色々なPC操作をするロボットソフトウエアーが市販化されていて、少なからずの企業が導入をしている。製品のパーツ組み立てや荷物の運搬といった労働をサポートする産業用ロボットに対し、RPAはデータ入力や情報チェックなどのPC操作業務をサポートしする。RPAなる言葉が誰が発明したかわからないが、一般社団法人日本RPA協会なるものが2016年7月20日に設立されているから、急激に立ちあがったものと思われる。
一般的なRPAツールには次以下のような機能がある。
- キーボードやマウスなどのパソコン操作の自動化
- 画面に表示された文字列の判別
- 画面に表示された図形や色の判別
- アプリケーションの起動や終了
- IDやパスワードなどの自動入力処理
- スケジュールの設定と自動実行
- 様々な業種や職種、現場条件に合わせた柔軟なカスタマイズ
- ノンプログラミングによる作業手順の設定
- 蓄積されたデータの整理や分析
- システムの異なるアプリケーション間でのデータの受け渡し
- 社内システムと業務アプリケーションのデータ連携
- 条件分岐設定やAI機能による適切なエラー処理や自動応答
RPAが得意とする業務
実際の現場では次のような形で活用されています。
- 会計システムへの売上伝票や領収書、請求書データなどの処理業務
- 過去データの分析と予測による受発注業務
- アンケート用紙のデータ入力作業と集計作業
- 従業員の勤怠管理や長時間残業に対する自動警告
- 派遣社員やアルバイトスタッフの雇用管理
- 問い合わせフォームに対する自動応答と自動処理
- 名刺のスキャニングと既存システムへの登録作業
- ライバル製品のWebサイト巡回による情報収集とマーケティング
- 顧客情報の管理分析
- 見込み客の洗い出しと購買意欲を高めるメッセージの自動作成
RPAにできないこと
現場の生産性を高める多くの機能が備わっているRPAですが、ライン業務を行うロボットのようにロボットアームなどの専用ハードウェアを持ち合わせていないため、物を運んだり組み立てるといったアナログ作業を行うことはできません。
また、クラス3のCAに含まれるディープラーニングという機能は発展途上中の最新技術であり、実用化に向けた取り組みが進められているものの、現時点ではまだ一般的に使用できる段階まで至っていないため、AIによる意思決定を実務レベルで活用することはできません。
RPA導入によるメリットと効果
RPAはアウトソーシングや派遣社員といった従来の人力による業務補助に比べ、多くのメリットを持ち合わせています。
- 大量の仕事を素早くこなすことができる
- 作業精度が非常に高く、エラーがほとんど発生しない
- キャパシティ一杯の仕事を与えても慌てることなく1つずつ確実に処理できる
- 休憩や休暇、有給を必要としない
- 業務時間外に仕事を与えても残業代が発生しない
- 部署変更や業務内容の変更に対して即座に対応できる
- 業務変更や作業環境の変化に対してストレスを感じない
- 業務ルールの追加や変更に不満を感じることなく素直に従える
- 体調不良による遅刻や早退がない
- 集中力の低下によるエラー率の増加や作業性の低下が起きない
- ボーナスや退職金、福利厚生制度が不要
- パワハラやセクハラなどの人間関係トラブルが発生しない
- 業務外におけるコミュニケーションやスキンシップが不要
このように多くのメリットを持ち合わせているRPAを導入することにより、組織は次のような効果を得ることができます。
生産性の向上
1台で人間2~5人分の仕事をこなしてくれるRPAを導入することにより、大量の事務作業を迅速に処理することが可能となります。また、その正確性によりエラー数を限りなく0に近づけることで、導入部門内の生産性を最大限にまで高めてくれます。
生産性向上という効果は売上高や労働生産性といった指標を用いて視覚化することができるため、RPA導入直後からその効果を実感することができるでしょう。
コスト削減効果
RPAの導入コストや運用コストは決して安価なものではありません。しかし、RPAの持つ作業速度の速さやエラー率の低さ、制限のない連続稼働時間といった数々の強みを十分に活かすことによって、人件費の大幅削減と高いコストパフォーマンスの実現を両立させることが可能となります。
RPAは無限の可能性を秘めており、組織内における活用方法によってコストパフォーマンスに大きな差が生まれます。各業務における人間とRPAの作業速度の比較やヒューマンエラー(人為的ミス)の多い業務の見極めを行い、業務内容と業務量を適切に設定することにより、RPA導入によるコスト削減効果を最大化させることができるでしょう。
顧客満足度の向上
RPAの導入により作業品質が向上することで、顧客とのトラブルを未然に防ぐことができます。また、ユーザーからの問い合わせに対しても内容をしっかりと分析し、質問の意図を正しく理解した上で適切な回答を瞬時に返すことができます。
品質向上と時短は顧客の満足度に直結する重要な要素です。PRAは安定性した処理能力と高度なAI技術によって顧客満足度の向上にも大きく貢献してくれるのです。
リスクマネジメント効果
RPAに業務を任せることにより、ヒューマンエラーによる機密情報や個人情報の外部流出を未然に防ぐことができます。また、個人従業員の偏見と独断によるコンプライアンス違反などのトラブルも防止することができます。
このことから、RPAはリスクマネジメントに対しても有効であるといえるでしょう。
アグレッシブな経営戦略の構築
RPAの導入と業務の自動化により、それまで担当していた従業員は業務オペレーションから解放されることになります。また、生産性の高いRPAに業務を行わせることで、より多くの業務を受け入れることが可能となります。
この開放されたヒューマンリソースとRPAを活用することによって、新たなイノベーションの創出や価格競争への積極的参加など、これまで以上にアグレッシブな経営戦略を構築することができるでしょう。