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7月の集中豪雨に関する気象庁の解析レポート

2018年08月12日 10時02分52秒 | 日記

7月の西日本の集中号に関する原因究明のレポートが気象庁の報告書に出ていた。平成30年8月10日発行の”「平成30年7月豪雨」及び7月中旬以降の記録的な高温の特徴と要因について”

URLは   https://www.jma.go.jp/jma/press/1808/10c/h30goukouon20180810.pdf

せっかくの労作なので、素人にもすぐわかるように、一般市民向けの講習会を開いたり、わかりやすい教育用解説動画を着作ったらと思う。予算や人手がないだろうが、退職した職員に動員を掛けたり、有料にすることで費用を賄うとか色々工夫のしようがあるのでは?

以下、上記の要約::::::


「平成30年7月豪雨」の原因は
「平成30年7月豪雨」では、西日本から東海地方を中心に広い範囲で数日間大雨が続き、その総雨量は1982年以降の豪雨災害時の雨量と比べて極めて大きいものとなりました。7月5日から8日にかけては、西日本付近に停滞した梅雨前線に向けて、極めて多量の水蒸気が流れ込み続けるとともに、局地的には線状降水帯が形成されました。この広域で持続的な大雨をもたらした要因は、梅雨前線が、非常に発達したオホーツク海高気圧と日本の南東に張り出した太平洋高気圧との間に停滞したことです。それぞれの高気圧の強まりには上層の寒帯前線ジェット気流及び亜熱帯ジェット気流の大きな蛇行が持続したことが影響しました。
なお、今回の豪雨には、地球温暖化に伴う水蒸気量の増加の寄与もあったと考えられます。

7月5日から8日にかけての西日本を中心とした記録的な大雨の気象要因について  
解析した結果、西日本を中心に長期間かつ広範囲で記録的な大雨をもたらした気象要因
は、次の3つと考えられる(図1-2-1を参照)。
(A)多量の水蒸気を含む2つの気流が西日本付近で持続的に合流
(B)梅雨前線の停滞・強化などによる持続的な上昇流の形成
(C)局地的な線状降水帯の形成
ここで、(A)と(B)が主な要因であり、(C)の寄与が大きい地域もあった。

図1-2-1 7月5日から8日の記録的な大雨の気象要因

 

そして、広域で持続的な豪雨をもたらした大規模な大気の流れの特徴として以下の分析をしている。

今回の西日本を中心とした記録的な大雨をもたらした大規模な大気の流れの特徴は以下のとおりである(図1-3-1)。以下の○数字は、図1-3-1中の○数字に対応している。

太平洋高気圧の日本の南東側への張り出しの一因は、日本の東海上で上層の亜熱帯ジェット気流(①)が北へ大きく蛇行し続け、上空に停滞性の高気圧が発達したことである。オホーツク海高気圧が日本の西側で非常に発達した一因は、上層の寒帯前線ジェッ
ト気流(②)が、非常に大きく蛇行し続け、東シベリアの上空に停滞性の高気圧が発達したことである。

これら2つのジェット気流の持続的な蛇行が、太平洋高気圧とオホーツク海高気圧に影響し、梅雨前線は西日本付近に4日間にわたり停滞し続けた。朝鮮半島付近の上空の気圧の谷は、上層の亜熱帯ジェット気流(①)の南への蛇行に伴うものである。
夏季のユーラシア大陸上空では、亜熱帯ジェット気流(アジアジェット)の大きな蛇行はしばしば現れ、「シルクロードテレコネクション(シルクロードパターン)」と呼ばれている。今夏は「シルクロードテレコネクション」に伴う亜熱帯ジェット気流の大きな蛇行がたびたび現れており、6月下旬頃に発生した特に大きな蛇行は、関東甲信地方の歴代1位の早い梅雨明け(速報値)をもたらした。

図1-3-1 西日本を中心とした記録的な大雨(7月5日から8日)をもたらした大規模な大気の流れ

 

合わせて地球北半球の熱波に関する原因にも言及している。

今年の7月は世界各地で猛暑を含む極端な気象現象が発生しており(図2-2-3)、世界気象機関(WMO)6も報じている7。図2-2-4に示すように(以下の○数字は、図中の○数字に対応)、特に極端な高温については、亜熱帯ジェット気流(①)や寒帯前線ジェット気流(②)が北へ大きく蛇行し続けたことによる気温上昇に加え、地球温暖化の影響(③)及び北半球中緯度域で対流圏の気温が全体的に顕著に高かったこと(④)の影響により、日本と同様に極端な高温が発生した地域が多く見られたと考えられる。

図2-2-3  2018年7月の世界の異常気象分布


2018年7月を含む週を対象とした「全球異常気象監視速報」(毎週水曜日に発表)から、「異常高温、異常低温、異常多雨及び異常少雨」を重ね合わせて作成。

図2-2-4   2018年7月に北半球の各地に高温をもたらした大規模な大気の流れ

極端な高温が発生した地域の多くが、亜熱帯ジェット気流や寒帯前線ジェット気流が大きく北に蛇行し続けた地域と合致することがわかる(例:ヨーロッパ北部)。

 

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