オットプロデュースの、
日帰り旅行。

義父さん義母さんに
遊びのためなら、早起きだねーと
あきれられながら、
朝 4時起床。5時出発。
うとうとしてたら、

「着いたぞ!」

むにゃむにゃ しながら車外に出れば、


なんじゃここは?!


極楽浄土か?

半分、当たり。
ばばーん!


ひいいいいいいいいい!
シュウジ・テラヤマ!
田園に死す!ね!

「うるさいなあ。
とても、きれいな場所なんだから
静かにしなさいね。」

だって、あれでしょ?
イタコさんがいて、
死者の霊魂を呼び寄せちゃったりして
たーたーりーじゃー!
とか、言うんでしよ?
めそめそ。

「それは、八墓村よ、かーさん。」

娘っち、冷静。

二人がどんどこ行ってしまうから、
めそめそしながら、着いていきました。


やっぱ、恐いー。
なんか、草鞋とか手拭い下がってる~。
煙上がってる~。ひー!

日本三大霊場のひとつといわれていますが
とにかく、参道を越えたあとは、
荒涼とした景色です。
そこここに、小石が積まれ風車が
きいきいと、小さな音をたてて回ってるの。

気味悪いなあ、とつま先立ちで歩いていたら、
先に歩いていた女のひと、ふたり連れ。
ガイドさんといっしょでして、
その解説が聞こえてくるの。

ここは、
亡くなったひとが、
無事極楽浄土へたどり着くよう
祈りを捧げる土地です。
思いがけず、子を失った親は
幼い面影を偲び
幼い魂は、親の安楽を念じ
共に小石を積むのです。
小石が早く積み上がり
幼い魂が成仏できるよう、
功徳のために、積んで
手伝ってあげてください。

ふと、横を見ると娘が小石を積んで、
手を合わせていました。
ワタシも思わず、積んで手を合わせる。

そうか。
そうなんだ。

ちいさいひとが、
安心して、旅立てるよう、
ここで、心寄せて
祈ることが
大切なのね。

そして、気味悪く感じた
手拭いや草鞋も、
亡くなったひとが、
極楽までの道を、
苦労なく、辿れるように
贈るのですって。

いろんな、地獄の名前がついてるけど

よく見れば
小さく命は
灯っているし


風車は幼いひとたちを、
喜ばせる、お花のかわりなんですって。


寂しさのなかにも、
暖かく、思いやる、そんな土地てあったのだな。
何百年も。

最後はこんなに美しい景色。





浄土が浜。

涙を流して
そっと、手を合わせるひとたちが
なん組も見えました。

風が優しく、
大丈夫  大丈夫と背中をなでていました。


ワタシは、
ワタシは どうかな?この世とあちらに
別れ別れになった、
想い出の中だけの
いくつかの笑顔に、
今、逢いたいかなあ、と、
考える。

切ないけれど、
悲しい別れ方が
ワタシの中に
あまりないからなのか、
この浜辺で
逢いたいひとは、今はいない。

たった一人、
思いがけず、千切れるように
あちらに行ってしまった
幼なじみには、
ワタシが、あちらへ行った時に
ごめんね!
あいにきたよ!と、言いたい。
ずっと、言えなかったごめんね、を
この世からは届けられない。

砂を強く握ると
指の間で きしきし鳴りました。


ガラスのように、すきとおった砂粒。


とても。とても美しい。

それが、恐山でありましたよ。

後半は、また、明日‼