気圧の影響を受けて、
昨晩から、頭の芯がずきずきと痛む。
寝込むほどではないけれど
実家に顔が出せなかった。

トマトをもいでほしかった。
カサブランカに支柱を立ててほしかった。
お気に入りのパンやさんの
クルミパンを買ってきてほしかった。

母の電話に、
うんうん、ごめんね、と生返事をして
ぐたりと、横になる。
たまに、こうして半仮病を駆使して
手を抜くのが
エセ親孝行のコツなのだ。

薬が効くまでの数分間。
目を閉じて、
ワタシの外側の音を聴く。
何かのモーター音。
甲高い犬の吠える声。
雨の滴り。
遥か彼方の道路。アスファルトが
タイヤに削られる音。
台所で家族の誰かが
湯を沸かす。

世界が鳴っている。
時間の経過や、
生活や、
天の巡りまで、
雑多にごっちゃに
ワタシを囲んでる。

頭痛すら、
愛しい。

なーんてことには
ならないが、
生きてる証しと思えば
何時もほど、いらいらとはならずに
過ぎ去るのを待てるのだ。

とどのつまり、
頭痛も味わえるほど
心にゆとりが出来たということ。
この、非常時と、非日常を
切り抜けるすべを、
心は知らず習得するものなのだ。

負けない。
人間、強い。