ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

兼題は…今度こそ〝水鳥〟ですよ!

2020年11月18日 | 俳句

 このところ午前中は晴れて、午後より曇りの日が続いています。気温も20度と…最低でも14、5度ですよ。先日の寒さがウソのよう、こんな暖かいのはとても嬉しいことですけれど…、今度は異常気象への不安が高まります。

 月曜日に代車が来ましたが、今までのよりもちょっと大きい車…、こわごわの運転です。昨日も、リハビリへは行きましたが、余りあちこちへ出歩く気にはなりませんので、用のないときは家でおとなしくしています。

 しかし、今日もナント暖かかったこと、最高気温は22度でしたよ。またまた恒例の吟行会の日でしたから…アハハッ…。でも、その話は今度にして…

 では、やっと持ち越している兼題〝水鳥〟について書きましょうか。何だか気の抜けたビールのようですが…ゴメンナサイ!

 〝水鳥〟というのは、水に浮かぶ鳥をまとめていう冬の季語です。鴨(かも)、雁(かり)、鳰(にお)、鴛鴦(おしどり)、白鳥、百合鷗(ゆりかもめ)など、多くは秋に北から来て春に北へ帰る冬鳥のこと。また、水に浮いたまま眠る姿を浮寝、浮寝鳥といい、詩歌にとってはこちらの言葉の方が重要だったようです。平安の歌人たちはこの浮寝に「憂き寝」をかけて恋の独り寝の心もとなさを歌に詠んだんですよ。例えば、『古今集』の〈なみだ河枕ながるるうきねには夢もさだかに見えずぞありける〉(読み人しらず)の歌のように。この和歌は〝涙で枕が流れるほど泣き続けて、そんななみだの河の上で浮き寝(憂き寝)をしたんでは夢すらはっきりとは見えませんでしたよ〟というような意味です。

 さて、歳時記の例句として次の二句を…

  水鳥や夕日きえゆく風の中       久保田万太郎  

  浮寝鳥一羽さめゐてゆらぐ水      水原秋櫻子

 前句には向島と前書きがあるそうですから、隅田川に棲む水鳥でしょう。日が落ちて暮れていこうとする中、風に吹かれながらただ水に浮かんでいる…これはきっと鴨の群でしょうか。夕方は餌をあさるので忙しいはずなのに、それももう一段落したのか、ここでは全く動く様子は見えません。後句の方は、〈一羽さめゐて〉とありますから、殆どが眠っている中の目覚めている一羽…静の中の動です。しかし、それは水の揺らぎで分かる程度のものだとすればかすかな動きでしょうか。とするとどちらも静謐な写生句なんですね。

 今回の句会では、〈水鳥や水面狭しと草をさけ〉という面白い句がでました。〝水面狭しとは分かるけど、草をさけというのはどういうこと?〟と聞くと、〝鴨たちがいっぱいで、中から草の方へ逃げてきたのがいたんです…〟と、作者。〝それじゃ〈草へさけ〉といわないと…〟(笑)

 そうなんですね。この助詞一字の違いは大きいですよ。先日の句会でもたくさん目にしました。特に初心者は自分の思いを詰め込もうとして無理をしますから、そのため助詞の使い方を間違ってしまうことが多いのです。音数に限りがあるからこそ、助詞の一音に集中して詠むことが大切ですね。

 そこで、この句は〈水鳥も三密避けて草の上〉と直してみました。「三密」などという今時だけの流行語(?)を使ってもいいの?という思いはありましたが…でも、面白いと思いませんか。しかしこうなると、これは川柳といっていいかも。

 ところで、ここでの〝三密〟とは、もちろん今のコロナ時代の「密閉・密集・密接」を指すのですが、これを辞書で引いてみると、「密教で、仏の身・口(く)・意のはたらきをいう。人間の思議の及ばないところを密という」とありました。即ち仏の不思議な働きが三密なのです。もしこのままコロナウイルスが収らず延々と自粛生活が続けば、そのうち辞書にも現代の三密の意味が加わるかもしれませんね。今のこの状態を、〝第二のスペイン風邪〟のようなものとして、将来子供たちが学ぶ日が来るのかもしれませんよ。おお、コワッ!

 それはそうと、先日〝鳥インフルエンザ〟が今年もどこかで発生したというニュースが流れましたが、それを聞くと、私はすぐにあの悪夢のような日が蘇ってくるんです。

 それは、2011年2月のこと。常盤(ときわ)公園で強毒の高病原性鳥インフルエンザの感染により黒鳥が死亡していて、そのため常盤湖で放鳥飼育する白鳥類358羽及び鴨類41羽が捕えられ、一羽残らず殺処分が行われたということ。

 それまで白鳥は宇部市のまちのシンボルでしたし、また、常盤公園の最大の売りの一つでもありました。友人や親戚の人が来た時は必ずこの白鳥を見にここへ案内しましたし、本当に自慢の公園だったんですよ。それがあっという間に一羽もいなくなって、まるで湖そのものが死んだようでした。後で知ったのですが、その時のことを題材に、2013年11月、児童文学者の中山聖子氏が児童書『ふわふわ 白鳥たちの消えた冬』を出版されているとか。今度是非読んでみたいと思っています。

 今の常盤公園では、冬の間は鳥インフルエンザ防疫対策のため、湖で飼育されている白鳥たち(今はまだコブハクチョウ4羽とコクチョウ1羽しかいませんが…)は屋内施設へと収容されていて安全なんだそうです。でも、あのかつての常盤公園の〝白鳥湖〟の雄姿をもう一度拝めるような日が…私には来るのかしら?

 写真は、我が家の〝茶の花〟、初冬の季語です。この木も台風の塩害で葉がチリチリになっていたのが、茶摘が出来るくらいの若葉が出てきて、花も咲かせたんですよ。生物はみな逞しいですね!

 


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2 コメント

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水鳥 (ミルク)
2020-11-19 17:24:38
こんばんは。
北から飛んで来て・また北へ帰る 水に浮いている渡り鳥の事を、まとめて水鳥ですか。
知りませんでした。勉強になりました。個別で名前をよんでいるものですから。

お茶の花って、見ること無いですから、清楚ですね。
北限の茶として、秋田市より北にある能代市で栽培されています。
パソコンのご機嫌次第の訪問です<(_ _)>
Unknown (ちわき)
2020-11-19 19:55:32
ミルクさん、こんばんは!
パソコンの調子が悪いのに…コメント有難うございます。
ミルクさんのブログはコメント欄が閉じてあることが多いですものね。
鴨や雁や鳰など、全て単独でも冬の季語なんですけどね。どういう鳥だと見分けの付かない人も沢山いますからね。
まあその情景で、種類が必要なら個別名でもいいのですが、浮寝鳥などは大体水の上での鳥ですので、まとめて水鳥なんですよ。
菊や桜などでも種類までは言わないのが多いです…というより必要性がないということかしら。
茶の花は秋田が北限ですか?知りませんでした!教えて下さって有難うございました。

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