先日、オーラの話をしたが

まだ子どもが小さかった頃
近所のママ友のBさんの事を思い出した。


初対面なのに突然

「うちの母が、ある日世界がくるくる回り、
天から光が自分に注いだと言うの。神様の声が聞こえて
その瞬間から超能力がついて、神様の声が聞こえる様になったの。
それ以来、母は占い師をしているのよ。
その母が言うには、
私の子は、神様の生まれ変わりだから
絶対に傷つけてはいけない、叱ってはいけないって。
最初は、信じられなかったけど、
この前お風呂でこの子の身体を洗っていたら
凄いオーラが見えて、眩しかったわ。
やっぱり、神様の生まれ変わりだと確信したのよ。」

と淡々と話してきた。

私は黙ってただ聞いているだけ。
返事のしようが無かった。

そう言いながら、その時のBさんは、
きちんと子どもに注意はしていたし、
躾けもしている様に感じたし
普通のママに見えた。

でも、話が変なので
あまり関わらないようにしていた。
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しだいに
あちこちから、Bさんの悪い噂が耳に入るようになった。

子どもの喧嘩に親が出るという話だった。

幼児の喧嘩なんて
あって当たり前で、いちいち相手に親がむきになって
怒るなんてありえないのだが
彼女は、「うちの子に何するのよ・神様なのよ!」と
遊んでいた子とその親にも怒鳴っていた。

そんな風だから、Bさんの子は
気に入らない事があると
すぐ泣き、ママに言いつける様になっていく。

Bさんの子が、よその家に遊びに行き
転んで、腕を脱臼した。

病院から帰ってすぐに
彼女は、そのお宅に怒鳴り込んだ。
「うちの大事な子をこんな目にあわせるなんて。訴えてやる」
と、玄関で叫んだという。


色んなお友達と遊ぶたびに
トラブルになり、
「あそこの子はおかしいわ。一緒にいるとうちの子まで
おかしくなる」とBさんの方が言いふらす始末。

「女の子は、ズボンを履いたら、男の子になる。
女の子はスカートじゃないとだめ。
ズボンをはいた女の子と遊ばせたくない」
と言ったり
活発に遊ぶ女の子を「あの子はおかしい、病気だ。
うちの子が走り回るのはあの子の悪影響だ」
とまで言い出し、子どもの遊び相手を選び始めた。

Bさんの異常さは近所のママ友にすぐに知れ渡り、
唯一、子どものいない仲良しの人だけが親しくしていた。

結局、Bさんは引越して行った。

引っ越す前に、彼女から電話がきた。

何故か、お礼の電話だった。そして
「人間不信になってしまいました。もう誰を信じて良いのかわからないの」
と言われた。

彼女には何を言っても
押し付けにしかならないし
信じている事を否定する事もできないので
「大事な家族がいるじゃない。あなたは独りぼっちじゃないですよ。」
と言うのが精一杯だった。