好きか嫌いか?
好き……ではないんですけど、
笑っちゃいます。。。
□□□□□□はじめに□□□□□□
下ネタが嫌いな人って多いでしょうね。
でも下ネタで笑う人も、もちろんいます。
私も好きではありませんが、
思わず笑っちゃう事はあります。
好きとか嫌いとは関係無く、
その笑いを考察する事はできますね。
□□□□□□禁忌の侵犯□□□□□□
そもそも、下品な事を言うのを聞いて何が面白いんでしょう?
基本は「禁忌の侵犯」だと思います。
別に、笑いを説明する言葉ではありませんが、
笑いを引き起こす本体は、
この「禁忌の侵犯」という「ディスコミュニケーション」でしょう。
デジタル大辞泉を見ると、
「禁忌」とは、「忌(い)み嫌って、慣習的に禁止したり避けたりすること。また、そのもの。タブー。」
簡単に言うと、
「してはいけない事」「触れてはいけない事」の意。
「禁忌の侵犯」とは、
そのルールを破る事です。
つまり、そもそも、
口に出す事が躊躇われる言葉を口に出す事自体が、
社会的な常識からの逸脱(=ディスコミュニケーション)になっていて、
笑いのフォーマットを提示していま。
< 基準 >:下品な言葉を口に出してはいけないにも拘わらず(禁忌)
< ズレ >:下品な言葉を口に出す(侵犯)
<ツッコミ>:「そんな事、聞きたないわ!」「テレビで、何言うねん?」
□□□□□□最強?□□□□□□
上述の様に、
この笑いのフォーマット自体は、
共有する価値観から逸脱した「ディスコミュニケーション」を表現していますが、、、
禁忌である以上、そんな下ネタの話になるとは思っていない事も多いでしょうし(思い込みの間違い)、
直前までの話の内容によっては、
下ネタがその雰囲気を大きく変化させる場合も多いでしょう(緊張の緩和)。
そして何より、
「禁忌のルールを理解しない事」、
あるいは、
「理解しているのにそのルールを破るという判断」、
そして、
「そうまでして発する下ネタの内容そのもの」が、
くだらない、バカバカしいという「下方評価」の笑いである事も多いと思います。
つまり下ネタは、
笑いを生み出す要素、切り口の多くを含有する、
ある意味最強の笑いのカテゴリー。
大人は、下ネタに関して一歩退いて見てる所があると思いますが、
余計な色眼鏡を持たない子供にとって、
下ネタは、上記の笑いの要素を感受させてくれるストレートな手段です。
前振りも無く、
何の技巧もなく、
そういう言葉を聞くだけで、
子供が大笑いする事ありますよね。
かなり古くなりますが、
加藤茶さんの名作?「う○こち○ち○」など、
どんだけストレートやねん!
これで当時の子供達は爆笑していた訳ですから。
□□□□□□落差拡大□□□□□□
さらに、子供の立場からは、
テレビでみる芸人さんが大人であるという事実は、
下ネタにとっては有利です。
禁忌のルールを守る事がより期待される大人の方が、
それを破り、禁忌の侵犯をした場合、
その落差を大きく感じる事が出来ますよね。
上記笑いのフォーマットに加えて、
< 基準 >:大人はルール遵守がより期待されるにも拘わらず
< ズレ >:大人がルールを破る
<ツッコミ>:「いい歳して何してんねん!」「大人が破るんかい!」
…という笑いのフォーマットも成り立ちます。
合成すると、こんな感じ。
< 基準 >:ルール遵守が期待される大人は下品な言葉を口に出してはいけないにも拘わらず(禁忌)
< ズレ >:ルール遵守が期待される大人が下品な言葉を口に出す(侵犯)
<ツッコミ>:「大人の口からそんな事、聞きたないわ!」「いい大人がテレビで、何言うねん?」
学校の先生等、
ルールを守る側の人である事がより期待される立場の人の方が、
子供にとってはさらに面白く感じるでしょう。
先生がそんな事言うと思わないので「思い込みの間違い」も大きいでしょうし、
真面目な先生ほど緊張感を醸すので「緊張の緩和」も大きくなるでしょう。
さらに、
先生は物知りで知性の面では上の立場なので、
そんな先生のくだらない下ネタは、
「下方評価」に関しても、
そのギャップはさらに大きい笑いになると思います。
このように、
下ネタは「禁忌の侵犯」という「ディスコミュニケーション」で、
それは同時に、
「思い込みの間違い」
「緊張と緩和」
「下方評価」
を伴う事も多い最強の笑い。
ここまでは、下ネタ単体に成り立つ基本の笑いです。
□□□□□□組み込み1□□□□□□
ただ実際の下ネタは、
その他の種類の笑いに組み込まれて使われる事も多いです。
例えば、あるあるネタの材料として、下の話や性の話をする事ありますよね。
例えば、
自分の彼氏とのエッチの時の事を、
友人に話して笑いを獲る人もいるでしょう。
「○○さぁ、エッチの時こんな事するんだよねぇ♡」
「男ってそういうとこあるよね~♪」
とか、言いながら。
これは「あるある」ですよね。
「あるあるネタ」は、
存在するけど、意識されていない事を、
あらためて再現、提示し、意識させる事により笑いにします。
それが何故笑いになるかというと、
冷静な視点から客観的に判断すると、
その再現、提示される「あるある」自体に笑いのフォーマットが存在するからです。
この例の場合は、
ちょっと強引に分解すると、
女性の価値観の思考から見て、
男性の性行動に、
・合理的ではない事を(下方評価)、
・何故するのか解らない(ディスコミュニケーション)
という複合的な逸脱があります。
フォーマットにすると、
「下方評価」
< 基準 >:(女性の考える)合理的な言動と比較して
< ズレ >:合理的ではない言動
<ツッコミ>:「男ってバカだよね!」
「ディスコミュニケーション」
< 基準 >:男性も女性も同じ価値観を共有するはずにも拘わらず
< ズレ >:同じ価値観を共有しない男性の言動
<ツッコミ>:「何であんなんすんの?」
強引に分解していて解りにくいですが、、、
要するに、
女性から見て、男性の行動の不可解なところがおかしい訳ですね。
これらの笑いに加えて、
こういう話題を口にするという事自体が、
下ネタの「禁忌の侵犯」の「笑いのフォーマット」をも感受させています。
< 基準 >:下品な言葉を口に出してはいけないにも拘わらず(禁忌)
< ズレ >:下品な言葉を口に出す(侵犯)
<ツッコミ>:「そんな事しゃべっちゃう?」「ばらしちゃダメじゃん!」
(↑↑ツッコミの言葉を変えています)
下ネタの「他人には聞かせられない」という気持ちそのものが、
「禁忌の侵犯」の本体で、それが、
ただの「あるあるネタ」にはない、
「ここだけの話」的な笑いを付け加えています。
□□□□□□組み込み2□□□□□□
ザキヤマさんの「包○いじり」なんかどうでしょう。
他の出演者に振られる事がきっかけの事も多いですし、
表現上は、結局否定する訳ですが、
真偽に係わらず、
ことさらに包○に言及するのは、
「下ネタ」であると同時に、
「自虐」でもあります。
過去記事で書きましたが、
自分自身の低い評価を提示する事で笑いを獲る「自虐ネタ」も、
「下方評価」と「ディスコミュニケーション」の笑い。
「下方評価」
< 基準 >:平均的な身体と比較して
< ズレ >:劣っている自分の身体
<ツッコミ>:「ち○ぽ被ってるやん!」
「○○という劣っている自分」自体が「ズレ」で、
自虐発言で「笑いのフォーマットを再提示」する事で、笑いにします。
「ディスコミュニケーション」
< 基準 >:自らの低評価に言及する事は好ましくないにも拘わらず
< ズレ >:自らの低評価に言及する
<ツッコミ>:「そんなん言わんでええねん!」「自分で言うてるやん!」
これは、普通は言いたくない事をわざわざ言うという、
普通の価値観とは異なる言動を笑います。
これらの笑いに加えて、
下ネタの「禁忌の侵犯」の「笑いのフォーマット」をも感受させる事で、
より大きな笑いにしています。
< 基準 >:下品な言葉を口に出してはいけないにも拘わらず(禁忌)
< ズレ >:下品な言葉を口に出す(侵犯)
<ツッコミ>:「そんな事聞きたないわ!」「テレビで何言うとんねん?」
□□□□□□マ○ター○ーション□□□□□□
印象に残ってる下ネタは、
かなり前ですが、
BS12トゥエルビの「ミッドナイト寄席」で見た、
笑福亭羽光さんの「私小説落語〜青春編2〜」というネタ。
内容は、、、
え~と、、、
まぁ、ただひたすら、
「マ○ター○ーション」というワードのオンパレード、、、
音源が無いので正確ではありませんが、
こんなイメージです。
父親:「あんな雑誌を隠してどういうつもりだ。」
息子:「・・・・・」
父親:「マ○ター○ーションだろ!言ってみろ。」
息子:「マ○ター○ーションです。」
父親:「声が小さい。マ○ター○ーションだな。」
息子:「マ○ター○ーションです。」
父親:「発音がダメだ。正しい英語で!マ○ター○ーション!」
息子:「マ○ター○ーション!」
父親:「ダメ!マ○ター○ーション!」
息子:「マ○ター○ーション!」
父親:「アクセント!マ○ター○ーション!」
息子:「マ○ター○ーション!」
父親:「マ○ター○ーション!」
息子:「マ○ター○ーション!」
・・・・・・・(^_^;)
これを観衆の前で演じるんです、、、
しかも、一応全国放送、、、
……って言うか、宇宙経由?
……その勇気と馬鹿さ加減に脱帽!!!
なかなか観れないと思いますが、
機会があればぜひ観てみて下さい。
家族と一緒には観れないかな?
□□□□□□まとめ□□□□□□
何れにしても、
「下ネタは面白くない」
という一言で片付けられる事ではありません。
下ネタ自体に笑いのフォーマットが存在すると同時に、
他の笑いの素材として使う事で、
他の笑いのフォーマットと合成する事もできる。
他のジャンルの笑いに、
「禁忌の侵犯」という笑いをシンプルに追加する、ある意味万能薬ともいえるでしょう。
ただ、嫌いな人にとっては、
笑いを阻害してしまうという強い「副作用」があるって事ですね。
萩本欽一さんも下ネタが嫌いだそうですが、
意外に、
下ネタのイメージの無い萩本欽一さんだからこそ、突然、
「う○こち○ち○!」とか、
「マ○ター○ーション!」
とか、絶叫したら、
爆笑獲れるかも???
、、、、、そうでもないか。。。(-_-;)
□□□□□□補足□□□□□□
ちなみに、
2017/5/28の「教えて!goo ウォッチ」の記事より、、、
児童心理カウンセラー横山人美さんが解説する
「子供が『う○こ』という言葉が好きな理由」、、、
要約すると、、、
1:精神分析学者フロイトによると、1~3歳の子供は「肛門期」という発達段階で、この時期は肛門が性感帯で、排便に快感を覚える
2:トイレトレーニングの頃で、排便ができると大人が褒めてくれる成功体験を伴う
3:トイレトレーニングの過程で「う○こ」という言葉を耳にし、親近感を持つ
この3つの理由から、「う○こ」という言葉が好きになるそうです。
なるほど、
1~3歳だとさすがに「禁忌の侵犯」という概念は無いかな……?
m(__)m
にほんブログ村