絵本作家の赤羽末吉さんといえば、
日本の昔話に素晴らしい挿絵を描いた方。
だいくとおにろく
松居直・赤羽末吉・福音館 本体900.
大陸で暮らしたご経験からの、
モンゴルのお話スーボの白い馬が代表作で、
中国民話の絵本の挿絵も迫力があります。
そんな赤羽さんに、こんな作品があることをご存知でしょうか?
おおきなおおきなおいも
赤羽末吉・市村久子
福音館 本体¥1,200.
そらで言えるくらいよく読んだ幼年童話ですが、
初めて手にした時には、
どこが赤羽さん?と思いました、(← なまいき!)
でも、民話系とは作風が違うけれど、
間違いなく赤羽さんです。(← ほんと、なまいき!)
おおきなおおきなおいも のタイトルの前には、
鶴巻幼稚園・市村久子の教育実践による
と書き添えられています。
市村さんの実践を知った赤羽さんが、それを絵本にされたのですね。
他の赤羽作品群と趣を異にしている理由は、
市村さんの存在によるのでしょう。
そう言えば、こちらの詩集にも協力者があるらしく・・・
のはらうた
工藤直子とのはらみんな
童話屋 本体1,500.
工藤直子さんは、収録された詩の作者である、
かぜ みつる や へび いちのすけ や
かまきり りゅうじ や こぶた はなこ
たちの代表者を名乗っておられます。
講演会でご本人の口から、「わたしは代表者なだけ」と話されたので、
おそらく間違いないでしょう。
工藤直子さん、聞こえる耳を持つ方なんですね。
羨ましい!
さて、以前に新刊出ますよとご紹介した、ヨシタケシンスケさんの作品がこちら。
みえるとかみえないとか
ヨシタケシンスケ・佐藤亜紗
アリス館 本体¥1,400.
宇宙に調査に出かけた青年(かな?)が、
ある星に行ったとき 後ろが見えない人であることで大いに同情されます。
そこは、後ろも見える三つ目の目を持つ人たちの星だったのです。
ということで始まるお話ですが、
お話はヨシタケさんのいつものスタイルで展開して行きます。
見えるとか見えないとかはどう違うんだろう・どんなふうに感じるんだろう・何が便利で何が不自由なんだろうと、
あれこれ比べて確かめて、
行きつ戻りつ最後のページに来ると、自分の中に答えがうまれている・・・という。
その内容は実際に絵本を手にしてご覧いただくとして、
今ここでご注目いただきたいのは、表紙に書かれた作者の紹介。
ヨシタケシンスケ 作
佐藤亜紗 そうだん
そうだん
・・・。
相談・・・って。
実は、佐藤さんは 目の見えない人は世界をどう見ているのか の作者で、
ヨシタケさんはこの著書に触発されて、
絵本 みえるとかみえないとか を作られたそうなんです。
佐藤さんご本人に相談しながら。
だから著者紹介にそうだんと書かれているのです。
そういう紹介の仕方って見たことないんですけど、
でも、共著でも監修でもない。
まさにそうだんなんですよね~。
<人と違う>というデリケートな問題を含む内容でありながら、
こういう背景があって生まれた作品であるからでしょうか、
ヨシタケマジックによるのでしょうか、
人と人の違いに大いに興味を持ちつつ、
優劣をつけることのない世界観が、スッキリと出来上がっています。
腑に落ちるというか、まさに ストン! という感じの読後感です。
こうして見ると、絵本作家たちの背景には、
表紙や奥付けに並んで名前が載るかどうかは別として、
その作品に影響を与えた人がいっぱいいるんだろうと思います。
そして、さらに、その作品から影響を受けるたくさんの読者もいますよね。
うちのお店の小さいお客さんたちには、すでに今から、
ノーベル賞取ってインタビュー受ける時は、
ピコットの絵本で育ちました!って絶対言ってね!
と言い含めていますが、
将来、誰か絵本を出すとき えいきょう 夢文庫ピコット と
表紙に記してくれないだろうか!
と、妄想に生きるピコット店主です
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