今日は大阪で韓国から来た天才ピアニスト、イ・ヒア(21)という子のコンサ-トがあった。
コンサ-ト中、会場内は終始笑いと感動、涙と拍手喝采の最高の雰囲気に包まれた。
これは大げさな表現ではない。
おれ自身も何回も目頭が熱くなった。
ヒアは先天性の障害で手の指が左右2本ずつしかない。
膝から下の足もない。
10本の指が揃っていても難しいピアノ演奏をヒアは4本の指で完璧に弾いてしまう。
ヒアが選ぶ曲は「愛」と「勇気」と「希望」に満ちている。
ヒア自身、世界の人々にこれらを伝えるためにピアノを弾くのだと言っている。
片方2本の指は幼い頃、何かを掴む力すら無かった。
ヒアのオモニはヒアが5歳の時、指の力を鍛えるためにピアノをさせようと決意しその先生を探した。
しかしピアノの先生たちは皆10本の指でも難しいピアノを4本指で弾ける訳がない!あきらめろ!と相手にしてくれなかったと言う。
とても悔しかったとオモニは語る。
オモニは必ずこの子にピアノを教えてあげようと、まず自分が独学でピアノを習い、そしてヒアに自ら教えた。
オモニの愛。
それは本当に空よりも高く海よりも深いんだ。
それから、どんな苦労が、困難が、この母娘を襲ったか。
どれほどの努力を母と娘は重ねてきたのか。
常人の理解を遙かにしのぐ世界がそこにはあると思う。
体力的にも劣るヒアが数年間、毎日10時間のレッスンを続けた。
それを傍でサポ-トし続けたオモニ。
それらの苦労を感じさせない明るく軽快なヒアのピアノの旋律が人々の心を打つ。
ショパンが好きだと言う彼女の18番は、もちろんショパンの曲。
いったい、どのように指が動いているのだろうか。
演奏が終わると同時に満席の会場から感動と興奮の拍手が溢れた。
彼女が抱えていたハンディ。
この領域までくれば、それはもはやハンディではない。
深い愛と高い志に一貫された彼女の姿。
語り尽くせぬ苦労と努力がその柱を太くし確固たるものにしている。
そして人々は彼女を「奇跡の天才ピアニスト」と呼ぶ。
是非ウリハッキョの子どもたちに見せてあげたいヒアの姿、聞かせてあげたいピアノ。
それを見て、聞いて、何を感じるかはその人次第だが、自分の抱えていた悩みがいかにちっぽけな物なのか!そう感じるほどイ・ヒアのスケ-ルは大きい。