昨夜「となりのトトロ」(1988年)がテレビで放映していましたね。子どもにしか見えない精霊トトロとサツキとメイ姉妹のノスタルジックなファンタジーです。
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舞台は昭和30年代。サツキとメイ姉妹のお母さんが病(結核でしょう)のため、空気が綺麗な田舎の病院で療養する必要があり、一家は都会から引っ越してきます。
お父さんも優しい人ですが、お母さんが不在ですから幼い姉妹は寂しいわけですね。
その分サツキとメイ姉妹の絆は強く、仲良しで互いを思いやっています。
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村のみんながサツキとメイを気にかけ、可愛がります。メイがいなくなると畑仕事を放りだして村中が総出で探す。
現代社会は特に街中の暮らしは誰がどこに住んでいるかも知らないわけです。核家族なので祖父母も遠方ですし。
我々は便利さと気楽さと引き換えに温かさを喪失しているのでしょうね。
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トトロはサツキとメイが寂しくなったり不安になった時に現れるファンタジックな存在です。
サツキとメイはトトロに遊んでもらい、癒され、そしてピンチのときはトトロたちを頼り、トトロはそれに応えてくれる。
何て頼りになることか。安心感とはこのことですよ。トトロは友人・癒し手・守り神なんですね。
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大人になったら見えなくなるトトロ(※ネコ好きにはネコバスもたまりませんな)。
人は成長して大人になればトトロがいなくてもやっていける、ということかもしれませんが、それはそれで寂しい気がしますね。
我々は子どもの純粋無垢な心を成長の過程で喪失する、とも言えます。
まぁ、それが社会化なのかもしれませんけれども。人は無い物ねだりなのかな・・・。
憧れの世界の喪失感。だからこそ必要な世界。それがこの作品のノスタルジーの由来なんじゃないかな。
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そして親子関係も素晴らしいですね。サツキとメイのお母さんは自分には見えないけどもトトロの存在を「あの子達がそう言うならいるのよ」と信じる。
お父さんも自分にはわからないけど、子ども達が見えない存在と楽しそうにしている気配を感じてフッと独りささやかな笑みを浮かべる。
こういう基本的信頼とも言うべき姿を見て「あぁ、いいなあ」とジンワリするのです。
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現代社会が喪失しつつある大切なもの。あるいは現代人の心の奥底に眠る古き良き日本の原風景。
私たちはそれを求め憧れている。それが「となりのトトロ」という物語の魅力なのでしょう。
個人、そして社会として憧れる世界が「トトロ」にはある。というわけで、夏休みは大人も子どもも「トトロ」なんですよ。