黒柴スポーツ新聞

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周東のファンブルは「できない人」の典型~一つ一つのプレーを確実に

バットで返せた。10月6日の西武戦でエラーした周東に対して、前向きな評価が記事になっていた。「ソフトバンク周東、痛恨失策のち…工藤監督は評価」(西日本スポーツ)。工藤監督が言わんとすることは分かるが、私はあえて反対する。このエラー、看過できない。

いわゆるタイムリーエラーではない。が、この時ダブルプレーが取れていたら森友哉による犠牲フライはない。森にはだめ押しタイムリーも打たれたが、高橋光成を打ち崩せない中で先制点をやったことが敗因と言える。周東がきっちり捕球して二塁に投げていたらダブルプレーは何とか取れたと思う。最悪でも一つアウトが取れていたらやっぱり犠牲フライは生まれていない。この日ロッテが敗れたから、もしソフトバンクが勝っていたら3ゲーム差。それでなくともロッテはコロナ禍に見舞われてしまったのだから、ここでソフトバンクと差が付くと決定的だったと考える。その可能性をなくしたのだから、周東のエラーはただのエラーとは見なせない。

プレーヤーでもないのに周東のエラーを論じられるのかと言われそうだが、素人目にも分かることがある。以前も周東は致命的なファンブルをしたことがあるのだが、周東は送球に意識がいって捕球がおろそかになった。今回もそうだ。捕る。そして投げる。コンマ何秒を争うプロ野球でそんなくっきりと一つ一つのプレーを意識してやれるかと言われるかもしれない。だが、周東は捕れてもいないのに意識の上ではもう送球してしまう。だから捕球がおろそかになるのだ。これは一般人、特に仕事が遅い人にありがちなパターンに思える。そう、私はその自覚があるので周東の動きに反応してしまうのだ。

逆に、仕事ができる人は一つ一つを確実に履行する。だから後から心配になって見返す手間も時間もかからない。私は7割8割うまくいったら、並行して次の作業に進む悪い癖がある。一見、いやぁ、並行して作業するなんておれってアグレッシブ、スピード感あるよなとポジティブにとらえそうだが、両方とも詰めが甘くてなかなかゴールできないパターンも。あれ、周東と同じく1個もアウト取れてないじゃないか……。

 

周東の持ち味は脚力。最近はそれに加えて打力も付いてきた。だが、地道さが求められる守備において、時々致命的なミスをするのはいただけない。まぁまぁ、周東は事実上初めてレギュラーとして優勝争いをするんだから少々のミスは……というのも分からなくない。挽回しよう、とエラー後に取り返す気持ちも評価する。しかし周東が守備において一つ一つのプレーを確実にこなす意識にならない限り、あのようなファンブルは繰り返される気がする。取り返すよりもまず、一つ一つのプレーを確実に終わらせる。周東に必要なのはその意識改革である。


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