こんにちは
ホリスティック獣医Saraです
最近やはり手作り食やペットフードに関するご相談が多いです
あとは、ホメオパシー希望の方も結構いらっしゃいます
今回は、以前に少しだけお伝えしていた食材ココナッツオイルについて解説していきます
(以前の記事【プロバイオティクスは無意味?】が気になる方はそちらも合わせて参考にしてみてくださいネ)
さて、本題にはいります~
ココナッツオイルを手作り食に加えている方もいらっしゃると思います
しかし・・・
「ココナッツオイルは有害である」と、ハーバード大学の教授Karin Michels先生がドイツで栄養学について講義していたときに断言していた様子を写したビデオがYoutubeに投稿され、40万回も視聴されて炎上したことからニュースになっていました
(大元の記事はこちらをご覧ください ワシントン・ポスト(英語)
アメリカではココナッツオイルをスーパーフードと呼ぶ人もたくさんいて、健康志向の人たちに利用されています
実際に、人のほうでは以下の内容が報告されています。
ココナッツオイルを主食としている人々には心臓発作や虚血性の心臓病が全くない(1)(2)
ココナッツオイルに含まれるラウリン酸には抗菌作用がある(3)
ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸(MCT)は、血液中の中性脂肪(TG)の数値を下げて体重も減らせる(4)
など・・
でも今回、なぜココナッツオイルが有害と言われたか説明しますと、人のほうでは心臓病のリスクを高めることが指摘されているためです。
ココナッツオイルには動脈硬化による心臓病の原因となる悪玉コレステロール(LDL)を増やす働きがあるため、American Heart Association(AHA: 米国心臓協会)では、ココナッツオイルは全くお勧めできないとしています。
興味のある方はこちらを読んでみてください(AHA presidential advisory: Dietary fats and cardiovascular disease)
ただし、ダイエットに関しては効果があることが広く認められているため、減量したい人が殆ど毎日利用しているような状況です
でも、ワンちゃんや猫ちゃんの場合はどうなのでしょうか
ここでも、人と犬猫は違うという点を知っておいた方が良さそうです
詳細は次号メルマガにて解説します!
結論だけ先にここでお伝えしますと、ココナッツオイルに関する論文を読んで情報を得ていくと、人の場合とワンちゃんの場合とでは違う結果がでています。
そのため、人でメリットがあるからワンちゃんでも同じメリットがあるとは言えない場合があるし、逆に人でデメリットがあるからワンちゃんでも同じデメリットがあるとは言えない場合があるということです
ワンちゃんは人と同じような雑食動物ではありません。
猫ちゃんは完全肉食動物です。
分けて考えましょう
それから、人よりもワンちゃんに関するデータはかなり少なく、そして猫ちゃんに関するデータはワンちゃんよりもさらに少ないのが現状です
何かを証明するには科学的なデータが1番理解してもらいやすいのでここでもお伝えしていますが、全てのケースに当てはめられない場合があるということを知っておきましょう
だからといって、科学的なデータは意味がないとして無視するのも、もったいないこと
どちらか一方だけが大事で片方は必要ないというのではなく、すべてを知ってトータルで考えるのがホリスティックな考え方なのです
あたまを柔らかくして、柔軟に考えましょう
さて、「ココナッツオイルは有害である」との発言からYoutubeで炎上した件について戻りますが、なぜ炎上したのかというと、コメント欄で批判の声が殺到したとのことなのです(今では動画が見られない状態になっています)
それもそのはず・・・
インド周辺の国ではカレーにココナッツが広く利用されています。
彼らの主食はカレーで、大体カレーが1番好きだし、毎日カレーを飽きずに食べています
そして、動画を見たインド人たちが怒りはじめてしまったのです
そこにKarin先生からのちょっと過激な反論もあったようです・・・
インドの園芸学委員理事の人からハーバード大学の付属学校へ、Karin先生の発言の撤回を求めるメールが届く事態に・・
そんなゴタゴタがあったみたいですが、ココナッツオイルにも健康に良い面と悪い面の両方があると思います
ココナッツオイルにはメリットもたくさんありますので、基本的にはお勧めの食材です
ただし、問題を起こすかどうかは与える量しだいです。
完璧な人間がいないのと同じように、完璧に100%ヘルシーで有害物質が全く入っていない植物というのは、実は存在しないのです
例えば、ほうれん草にはシュウ酸カルシウムが入っていて、甲状腺を腫らすと(ネット上で)言われているゴイトロゲンはキャベツ・ブロッコリー・イチゴなどに入っていて、女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンは大豆に多く含まれているし、関節炎を起こすレクチンが入っているからトマト・ナスなどの野菜は与えられない・・・
などと考えていったら、与えられるものが全くなくなってしまいます・・・(汗)
「与え過ぎれば問題になる可能性がある」というだけです
良い食材も取りすぎれば有害になります
「白黒はっきりして!」と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら白黒はっきりしないのが手作り食や栄養学の世界です
生き物のカラダのしくみはそんな単純ではないということ
ここは1つ1つ知っていくしかありません!
特に、まだまだネット上の情報には偏りが見られます
何度もブログやメルマガを読んでくださったり、セミナーにもよく参加してくださって長年勉強している方は「うんうん、たしかに!」ときっと理解してもらえていますネ
バランスを考慮しましょう
是非参考にしていただければ幸いです
それではまた
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<参考文献>
(1) Lindeberg S, Lundh B. Apparent absence of stroke and ischaemic heart disease in a traditional Melanesian island: a clinical study in Kitava. J Intern Med 1993; 233(3): 269-275.
(2) Prior Ia, Davidson F, et al. Cholesterol, coconuts, and diet on Polynesian atolls: a natural experiment: the Pukapula and Tokelau island studies. Am J Clin, Nutr 1981; 34(8): 1552-1561.
(3) Hoffman KL, Han IY, et al. Antimicrobial effects of corn zein films impregnated with nisin, lauric acid, and EDTA. J Food Prot 2001; 64: 885-889.
(4) Xue C, Liu Y, et al. Consumption of medium-and long-chain triacylglycerols decreases body fat and blood triglyceride in Chinese hypertriglyceridemic subjects. Eur J Clin Nutr 2009; 63: 879-886.
(5) Fragua V, Barroeta AC, et al. Evaluation of the use of esterified fatty acid oils enriched in medium-chain fatty acids in weight loss diets for dogs. J Anim Physiol Anim Nutr 2015; 99 Suppl S1: 48-59.
(6) Rebecka SH. Canine Atherosclerosis: Why does it occur? ACVIM Conference 2008.
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