前脛骨筋の筋力トレーニングやストレッチ、神経支配、起始、停止を解説!

本記事では、下腿の前面にある筋肉、前脛骨筋(Tibialis anterior muscle)の起始、停止、神経支配などの基本的情報から、ストレッチ、負荷量別の筋力トレーニング方法などを解説していきます。

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前脛骨筋の起始、停止、作用

前脛骨筋

起始 脛骨外側面、下腿骨間膜の上部
停止 内側楔状骨、母趾中足骨底の足底面
神経支配 深腓骨神経(髄節:L4、L5、S1)
作用 背屈、内反(回外)

脛骨前面に付着している筋肉だから「前脛骨筋」です。

覚えやすいですね。

 

前脛骨筋の作用は、背屈と内反です。(文献によっては「内反」を「回外」と記載しているものもありますが、ほぼ同じ動きだと思って頂いて結構です)

背屈とは、足首を上にあげる動きで

内反とは、足の裏を内側に曲げる動きです。

足関節の背屈と底屈

足関節の外反と内反

前脛骨筋が収縮することで、背屈・内反の複合的な動作になります。

 

歩いているときに足が地面と擦らないのも、この前脛骨筋が無意識に収縮しているからです。

そのため、過度のランニングや歩き過ぎたりすると「前脛骨筋腱炎」となり、痛みが生じる場合もあります。

 

また、脳卒中などの疾患により前脛骨筋が麻痺してしまうと「下垂足」と呼ばれる状態になります。

下垂足になると歩行中に足首が上がらずに地面と擦ってしまい、転倒してしまいます。

シロマツ
前脛骨筋は、歩くのに必須な筋肉や!

チェック

歩行時の前脛骨筋の役割に関しては下記記事を参照下さい。

歩行分析~観察すべきポイントと臨床でよくみる異常現象のまとめ~

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前脛骨筋と足部のアーチ

前脛骨筋は、脛骨の外側面から「内側楔状骨」と足の裏の「母趾中足骨底」に付着します。

前脛骨筋の停止

前脛骨筋腱

足関節の内側を通って足の裏に付着しているため、前脛骨筋は足のアーチのうちの一つ「内側縦アーチ」を形成します。

 

内側縦アーチはいわゆる「土踏まず」を形成するアーチです。

この土踏まずは、足の裏に付着した前脛骨筋腱などの張力によって、作られています。

もし、前脛骨筋などの内側縦アーチを形成する筋の筋力低下が生じると、扁平足となる可能性があります。

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前脛骨筋の触診

筋腹の触診

脛骨の前外側のほとんどが前脛骨筋の筋腹です。

足首を上下しながら、腓骨頭の内側を触診すると非常にわかりやすいです。

前脛骨筋筋腹

腱の触診

足首を底屈、背屈運動をしながら足関節の前面に触れると、収縮する太い前脛骨筋腱に触れます。

とても触診しやすく、わかりやすいです。一度おためし下さい。

前脛骨筋腱

前脛骨筋の神経支配 

総腓骨神経

解剖学的に、坐骨神経から膝の外側付近まで下降すると総腓骨神経となり、浅腓骨神経深腓骨神経に枝分かれします。

そのうち、前脛骨筋は「深腓骨神経(髄節L4,L5,S1)」によって支配されています。

長期間のギブス固定で腓骨頭付近を圧迫され続けると、腓骨神経麻痺となり、前脛骨筋や腓骨神経が麻痺して下垂足となります。

前脛骨筋のストレッチ

前脛骨筋のストレッチ

前脛骨筋がつってしまったり、筋肉痛となった場合は、ストレッチをおすすめします。

方法は、足首をつま先を下に向けて底屈させると同時に、足の裏を外側に向けて外反(回内)させます。

それでも伸張感が得られづらい方は、筋腹を抑えてダイレクトストレッチも行いましょう。

反動をつけずに、ゆっくりとジワジワと行うことをおすすめします。

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前脛骨筋の筋力トレーニング

ここでは、高齢者の方からアスリートまで前脛骨筋の筋力トレーニングが行えるように低負荷、中負荷、高負荷の3段階にわけてご紹介していきます!

低負荷

椅子に座っての前脛骨筋の筋力トレーニング

低負荷でのトレーニングであれば、膝を伸ばして、つま先を上に持ち上げて、背屈させましょう。

このトレーニングを「トゥーライズ(toe-raise)」といいます。

 

膝や足首にしっかりと力を入れて、そのまま5秒間キープを何回か返しましょう。

椅子に座ったままでもできるので、高齢者でも可能なトレーニングです。

中負荷

壁にもたれ掛かりながら背屈運動

壁にもたれての前脛骨筋の筋力トレーニング

先程のトゥーライズでは少し負荷量が物足りないという方におすすめしたいのが、壁に持たれながら足首を前に出し、つま先を上に持ち上げる運動です。

壁に持たれながら行うので負荷量が上がって尚かつ、安全に行うことが可能です。

台の上で背屈を保ったまま荷重運動

台を使った前脛骨筋の筋力トレーニング

踵を階段や、段差の端に乗せた状態で、足を背屈位にして、体重を掛けていきます。

つま先が下に下がりそうになりますが、下がらないように耐えつつ体重移動を繰り返します。

高負荷

立位での前脛骨筋の筋力トレーニング

先ほどは、体重を掛けるだけでしたが、高負荷では、階段に乗せていない方の足を持ち上げます。

バランスを崩しやすいので、必ず支持物を持って下さい。

また、結構きついので肉離れしないように注意して下さいね!

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まとめ

前脛骨筋の起始、停止やストレッチ、筋力トレーニング、触診について解説しました。

あまり知られていない筋肉かもしれませんが、歩行や立ち上がりなどの重要な役割を果たしています。

不安な方は、しっかりと筋力トレーニングを行い鍛えて上げましょう。

シロマツ
最後までお読みいただきありがとうございました!
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