こんにちは。
今日も民法をやりたいと思います。
民法は、ボリュームのあるところですが、基本のところと言っても過言ではありませんので、しっかりと理解することに努めましょう。
それと覚えた知識はアウトプットが大切です。
覚えた知識を身の回りで起きていることに当てはめて考えてみることは有効です。
今日の過去問は、平成20年度問35の問題を○×式でやりたいと思います。
養子縁組に関し、民法の規定及び判例に照らして○×れって問題ですね。
それでは、早速。
問題
真実の親子関係がない戸籍上の親が15歳未満の子について代諾による養子縁組をした場合には、その代諾による縁組は一種の無権代理によるものであるから、その子は、15歳に達した後はその縁組を追認することができる。
正解は?
○
今日は養子縁組です。
いろんなケースがありそうですよね、これもその一つと言うことでしょうか。
問題にある「15歳」と言う年齢ですが、親族や相続の辺りではよく出てくる年齢です。
問題に照らした条文を確認してみますね。
(十五歳未満の者を養子とする縁組)
第七百九十七条 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。
1項条文に「法定代理人」がとありますが、問題で言うところの「戸籍上の親」ですね。
「戸籍上の親」と言うことは、真実の親子関係がない場合でも「親権者」のことです。
ですので、養子になった後は養親が法定代理人ですね。
それと追認について書かれた条文を見てみます。
(子の監護をすべき者の同意のない縁組等の取消し)
第八百六条の三 第七百九十七条第二項の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、その者が追認をしたとき、又は養子が十五歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたときは、この限りでない。
2 略。
「養子が十五歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたとき」
若しくはは、「又は」と同じことです。
「養子が十五歳に達した後六箇月を経過」、「養子が十五歳に達した後、追認をしたとき」ってことですね。
ですので、15歳になれば追認できると言うことです。
判例を見てみますね。
昭和24(オ)229 養子縁組無効確認請求 昭和27年10月3日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 福岡高等裁判所
旧民法八四三条の場合につき民法は追認に関する規定を設けていないし、民法総則の規定は、直接には、親族法上の行為に適用を見ないと解すべきであるが、十五歳未満の子の養子縁組に関する、家に在る父母の代諾は、法定代理に基くものであり、その代理権の欠缺した場合は一種の無権代理と解するを相当とするのであるから、民法総則の無権代理の追認に関する規定、及び前叙養子縁組の追認に関する規定の趣旨を類推して、旧民法八四三条の場合においても、養子は満十五歳に達した後は、父母にあらざるものの自己のために代諾した養子縁組を有効に追認することができるものと解するを相当とする。
しかして、この追認は、前示追認と同じく何らその方式についての規定はないのであるから、明示若しくは黙示をもつてすることができる。
その意思表示は、満十五歳に達した養子から、養親の双方に対してなさるべきであり、養親の一方の死亡の後は、他の一方に対してすれば足るものであり、適法に追認がなされたときは、縁組は、これによつて、はじめから、有効となるものと解しなければならない。
追認の方法(判例で書かれた前示追認)について補足です。
民法戸籍法を通 してこの追認に関してその方式を規定したものは見当らないのであるから、この追認は、口頭によると、書面によると、明示たると黙示たるとを問わないものと解するの外はないのであつて、わが民法上、養子縁組が要式行為であるからと云つて、追認が、これと全く相容れないものの如く解することはあやまりである。
問題
真実の親子関係がない親から嫡出である子として出生の届出がされている場合には、その出生の届出は無効であるが、その子が成年に達した後はその出生の届出を養子縁組の届出とみなすことができる。
正解は?
×
この問題、司法書士試験の平成13年問20をちょっと変えているものです。
前半の「真実の親子関係がない親から嫡出である子として出生の届出がされている」→その出生の届出は無効○
ちょっとずれますが、行政書士試験で有名な問題は、「嫡出でない子につき、これを嫡出子とする出生届」です。
有名な判例がありますね。
昭和51(オ)361 貸金 昭和53年2月24日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
嫡出でない子につき、父から、これを嫡出子とする出生届がされ、又は嫡出でない子としての出生届がされた場合において、右各出生届が戸籍事務管掌者によつて受理されたときは、その各届は認知届としての効力を有するものと解するのが相当である。
これは、「認知届」として有効です。
問題に戻しますね。
そして、後半です。
問題後半、「その子が成年に達した後はその出生の届出を養子縁組の届出とみなすことができる。」は、明らかにおかしいですよね。
出生の届出が、「成年に達した後」にならないとみなされないって
昭和24(オ)97 身分関係不存在確認請求 昭和25年12月28日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所
養子縁組は本件嫡出子出生届出当時施行の民法第八四七条第七七五条(現行民法第七九九条第七三九条)及び戸籍法にしたがい、その所定の届出により法律上効力を有するいわゆる要式行為であり、かつ右は強行法規と解すべきであるから、その所定条件を具備しない本件嫡出子の出生届をもつて所論養子縁組の届出のあつたものとなすこと(殊に本件に養子縁組がなされるがためには、上告人は一旦その実父母の双方又は一方において認知した上でなければならないものである)はできないのである。
書いてありますね、「出生届をもつて所論養子縁組の届出のあつたものとなすことはできない」と。。。
この内容を考えるとこんがらがりますね。
嫡出子=法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子ども。「推定される嫡出子」と「推定されない嫡出子」。
非嫡出子=法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子ども。
真実の親子関係がない親=夫婦+子→第三者+子の第三者を指します。
何とな~く違いが解りますか
問題
配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、原則として配偶者と共に縁組をしなければならないが、配偶者の嫡出である子を養子とする場合には、単独で縁組をすることができる。
正解は?
○
この問題は大丈夫ですね。
ほぼ条文通りです。
(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第七百九十五条 配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
・配偶者の嫡出である子を養子とする場合
・配偶者がその意思を表示することができない場合
これらの場合は、「この限りではない。」訳ですから、配偶者とともにしなくても良いので、配偶者の嫡出である子を養子とする場合は「単独で縁組をすることができる。」と言うことになりますね。
問題
配偶者のある者が成年者を養子とする場合には、原則として配偶者の同意を得なければならないが、配偶者がその意思を表示することができない場合には、その同意を得ないで縁組をすることができる。
正解は?
○
縁組は、夫婦にとって重要なことですので配偶者がいれば同意は必要ですよね。
(配偶者のある者の縁組)
第七百九十六条 配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
問題には「成年者」とありますが、条文には書かれていませんね。
養子とする相手が「成年者」「未成年者」問わず、夫婦であれば原則は配偶者の同意が必要と言うことです。
そして、例外ですね。
・配偶者とともに縁組をする場合
・配偶者がその意思を表示することができない場合
これらの場合は、同意は不要と言うことです。
問題
配偶者のある者が未成年者を養子とする場合には、原則として配偶者と共に縁組をしなければならないが、配偶者もまた未成年者である場合には、単独で縁組をすることができる。
正解は?
×
この問題は面白いですね。
配偶者の意味から確認してみます。
配偶者=夫婦の一方からみた他方。配偶者としての身分は、婚姻によって取得し、婚姻の解消によって失う。
配偶者としての身分は、婚姻によって取得する訳ですから法律上の関係にあると言うことですね。
次に養子をする場合です。
(養親となる者の年齢)
第七百九十二条 成年に達した者は、養子をすることができる。
養子をするには、成年に達していなければなりません。
問題では配偶者が未成年者ですが、未成年者が婚姻すると。。。
(婚姻による成年擬制)
第七百五十三条 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。
年齢的に未成年者の歳であっても、婚姻することにより未成年者の配偶者は成年に達したものとみなされます。
と言うことで、先ほど見ました第七百九十五条(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)の原則通り、配偶者とともにしなければならないことになります。
ここからは余談です。(笑)
一番最初にいろんなケースがありそうと書きましたよね、覚えてます
そこで面白いケースを考えてみました。
(婚姻適齢)
第七百三十一条 男は、十八歳に、女は、十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。
女性は、十六歳で婚姻することができます。
旦那さんが三十歳、あり得ますよね。
ひょんなことから旦那さんが未成年者を養子にする話を持ってきました。
これ、養子にできない場合があるんですがどういった場合でしょうか
(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
第七百九十三条 尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。
尊属=ある人を基準として、親族関係において先の世代にある血族。
年長者=年上の人、より年を取っている人
これ以前見てますね、十六歳より年上の未成年者は養子にすることが出来ません。
養子が男性の未成年者だった場合、旦那さんを差し置いて恋人通しに近くなるかも知れませんね。(下衆でした。。。)
今日のところはここまでです。
んでまずまた。
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